パルデンの会

チベット独立と支那共産党に物言う人々の声です 転載はご自由に  HPは http://palden.org

寄付に関する法律は社会的に必要と思われるので、政府が寄付一般の問題として制定したのは正解だったが、制定の動機が旧統一教会批判にあったので極めて稚拙な法律となった。

【宗教と政治】旧統一教会と信仰の自由 杉原誠四郎氏

  杉原 誠四郎  2023/4/14(金)  インタビュー 

 

 

武蔵野女子大学(現武蔵野大学)教授 杉原誠四郎

 文部科学省は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対し昨年11月22日から5回の「報告徴収・質問権」を行使している。宗教法人法は同権行使について、「信教の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない」「犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない」とくぎを刺しているが、解散命令を裁判所に請求するための「証拠固め」(東京新聞)に使われているのが実情だ。

 月刊誌『Hanada』5月号に「『統一教会』に信教の自由はないのか」と題する論考を寄せた元武蔵野女子大学(現武蔵野大学)教授の杉原誠四郎氏に旧統一教会と信仰の自由を巡る問題について聞いた。

 

解散と「被害」救済は別問題

 

 統一教会に対し解散権が行使されるかどうか。私はできないだろうと思う。

元武蔵野女子大学(現武蔵野大学)教授 杉原誠四郎

武蔵野女子大学(現武蔵野大学)教授 杉原誠四郎

 旧統一教会霊感商法等の批判と解散請求は本来、別問題だ。それを一緒くたにし、大きくは旧統一教会への解散請求まで動機に入れて、いわゆる被害者救済法(「法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律」)を制定した。寄付に関する法律は社会的に必要と思われるので、政府が寄付一般の問題として制定したのは正解だったが、制定の動機が旧統一教会批判にあったので極めて稚拙な法律となった。これについては、『Hanada』5月号の論考を参考にしてほしい。

 ただ、この法律はいかに旧統一教会の解散を目標に作ったといっても、過去にさかのぼって適用することはできない。法治主義というのは、どんな法律を作ってもよいというのではなく、立法や適用にいろいろな原則がある。その一つが遡及(そきゅう)禁止の原則だ。この原則を守らなければならないことについては法案審議の過程で立憲民主党も反対しなかった。

 だから旧統一教会の解散については、今の宗教法人法によってでしか解散権の行使はできない。今までは刑事事件を犯したものしか解散させていない。だから刑事事件を起こしたものが慣例になっている。もちろん行政権には法律の適用についてある程度の自由はある。けれどもそれは既存の法律の中で解釈できる範囲での自由だ。条文を見る限り、今までの例と比べて、あまりにも距離がある解釈はできない。

 もう一つ、旧統一教会を批判する宗教二世の中には、「自分たちのように苦しむ人を二度と出さないように、旧統一教会を解散させてほしい」と間違った主張をする人がいる。ちょっと聞くと同情するし、当然のように聞こえる。しかし、その苦痛が実際にあるならば、それは十分理解しなければならないが、そのことから直ちに宗教団体の解散に結び付けることは許されない。

 私は「論理上の完全解決」と呼んでいるが、自動車事故を起こさないことを100%実現させるとしたら、自動車を造らなければよいというようなことになる。このような完全解決法は採用してはならないし、実行してはならない。

 また、世界日報も報じていたが、実名で自分たちの存在は旧統一教会なくしてはあり得なかったから、解散させないでほしいと訴える宗教二世もいる。旧統一教会の信仰をして幸せになっている人が確実にいることを忘れてはならない。

河野氏は消費者担当相辞任を

 もうしばらく年月が経過すると世間の目が覚めてきて、旧統一教会を不公平にいじめたという反省が出てくるだろう。

 河野太郎氏は消費者担当相に就任早々、旧統一教会批判の急先鋒(せんぽう)の人を集めて「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」を立ち上げ、旧統一教会の解散請求を目指す審議を推し進めた。これはまさに管轄外のことを行う越権行為だ。また、それを通して首相まで巻き込み、自民党議員の過去の教会との接触まで問題にする批判の流れを作った。冷静に考えたらあり得ない誘導をしたわけで、そういう反省からいうと、河野氏は消費者担当相を辞任すべきだ。

(談)