「民族が消える」と訴え 米国に亡命したチベット映画監督が初来日
中国でチベット族のドキュメンタリー映画用の映像を撮影するなどして罪に問われ服役したチベット族の映画監督、ドンドゥプ・ワンチェン氏(48)=米国在住=が27日までに初来日した。中国でチベット語教育が失われている現状などから「このままでは(チベット)民族が消えてしまう」と訴えている。
東京都内で26日行われた講演会では、中国チベット自治区では遊牧民を環境保護名目で強制移住させたり、幼稚園からチベット語ではなく中国語を教えたりしており「同化政策が進んでいる」と指摘。北京五輪後から締め付けの厳しさが増し「チベットは巨大監獄の中にある」と表現した。
ワンチェン氏は北京五輪前、チベット族の人々がチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世への思いを語った映像を収録。海外でまとめられた映画「恐怖を乗り越えて」は大きな反響を呼んだ。だが中国当局に拘束され、国家政権転覆罪で懲役6年の判決を受けた。2014年の出所後に米国に亡命した。(共同)