渡航移植、4仲介団体関与 5年で38人死亡、厚労省
海外での臓器移植後に国内医療機関に通院する患者は543人 厚労省が実態調査
海外で臓器移植をした後、帰国して国内の医療機関に通院している患者が543人に上ることが厚生労働省の実態調査で分かりました。仲介団体が関わった事例も25人確認されています。 調査は、NPO法人が無許可で海外での臓器移植をあっせんした事件などを受けて厚労省の研究班が203の医療機関を対象に実施しました。 その結果、3月31日時点で、海外で臓器移植をした後、国内の医療機関に通院している患者が543人いることが分かりました。 渡航先はアメリカが227人で最も多く、次いで中国が175人、オーストラリアが41人でした。 543人のうち仲介団体を介して移植をした患者は25人でした。 無許可での臓器移植のあっせんは禁止されていますが、今回の調査では違法性の有無などは確認していないということです。 厚労省は、臓器移植は国内で完結させるという国際的な原則に基づき、国内体制の強化を進めていくとしています。
渡航移植患者の診療お断り 国内病院、公表相次ぐ
海外で売買された可能性がある臓器や、提供者(ドナー)の情報が明らかでない臓器の移植を受けた患者に対しては、経過を定期的に観察するフォローアップ診療をしない方針を、少なくとも国内の五つの病院がウェブサイトで公表していることが1日分かった。海外で横行する、倫理的に問題があったり手続きが不透明だったりする臓器移植を根絶するのが狙い。 国内では、ベラルーシでの渡航移植を仲介していた業者を無許可あっせんの疑いで警視庁が2月に逮捕、その後起訴した。ほかにも仲介業者を通じて海外で移植を受けた患者が、突然国内の病院を訪れるケースが相次いでおり、同様の対応をする医療機関が増える可能性がある。 方針を公表しているのは、東京都立大久保病院、東京大病院、群馬大病院、横浜市立大市民総合医療センター、沖縄の友愛会友愛医療センター。 医師法には「正当な理由がなければ患者からの診療の求めを拒んではならない」とする応召義務の規定があるが、いずれの病院も臓器取引などを禁じた移植学会の倫理指針に従って対応を決めた。