中国恒大、再建見通せず 不動産不況が深刻化
【北京、香港時事】経営危機に陥っている中国不動産開発大手、中国恒大集団が17日、米国で破産を申請した。
【写真】建設が中断されたマンション群=6月20日、中国河南省鄭州市
資産が差し押さえられるリスクなどを減らし、債務再編に向けた債権者との協議を加速させる狙いがある。ただ、中国では不動産不況が深刻化しており、経営再建に向けた道のりは見通せない。 「米資本の銀行による訴訟リスクを回避し、中国で物件の引き渡しを続けるためだ」。
香港メディアは18日、専門家の見方として、恒大が米国で連邦破産法15条の適用を申請した理由を分析した。
同条項は、経営再建を目指す米国籍以外の企業が、米国内の資産を保護することを目的としている。中国当局は恒大の債務再編を支援しているが、影響力の及ばない外貨建て債務を巡る協議は難航しており、西村あさひ法律事務所の上野元弁護士は「手続きの効果を米国などの債権者らにも及ぼそうという意図で申請した」と推測する。 恒大は政府が融資規制を導入した影響で資金繰りが行き詰まり、2021年に実質的なデフォルト(債務不履行)に陥った。負債総額は22年末時点で2兆4374億元(約49兆円)。この一部を占める外貨建てについては、今年3月に再編案を公表したが、多くの債権者が受け入れを拒んでいた。米破産法の適用申請で、今後の交渉を有利に進める考えとみられる。
ただ、中国では景気の冷え込みを背景に、住宅販売が一段と低迷。碧桂園など恒大以外の大手デベロッパーの経営危機も相次いで表面化している。人口減少も始まり、不動産需要はさらに落ち込むとの見方は多く、経営環境の好転は望めない状況だ。