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昨年11月に364億ドルの資金不足を投資家に説明していた
中国のシャドーバンキング(影の銀行)大手、中植企業集団が破産申請を行った。ピーク時の運用資産が1400億ドル(現在の為替レートで約20兆2600億円)を超える巨大企業だったが、深刻化する不動産危機にのまれ、急激に転落し破綻した。
申請を受理した北京市第一中級人民法院は5日、中植は「明らかに」債務返済能力を欠いていると文書で指摘した。昨年11月の投資家向け書簡によれば、監査の結果、中植の債務は最大4600億元(現在の為替レートで約9兆3100億円)で、資産は2000億元だった。
中植の破産申請は中国史上最大の破綻劇の一つで、既に不安定な消費者心理や投資家のセンチメントに一層の負荷をかける。不動産市場の落ち込みや内需の弱さ、貿易不振が中国経済の重しとなっている。中国の主要株価指数は2023年、通年ベースで3年連続下落した。
中植が金融市場を最初に懸念させたのは昨年8月。傘下の信託会社、中融国際信託が複数の高利回り投資商品に関して顧客への支払いができず、北京市内で抗議活動が起きた。
中国不動産危機、影の銀行に波及-信託商品の投資家が異例の抗議
中国当局は昨年11月、中植系の資金管理事業について刑事捜査に着手したと発表。中植はその数日前、バランスシート上で364億ドルの資金不足に陥っており、「深刻な支払い不能状態」にあると投資家に説明していた。1月5日の営業時間外に同社にコメントを求める電子メールを送ったが、返答はなかった。
中植のような影の銀行は、一般世帯から集めた資金で融資を提供したり、不動産や株式、債券、商品に投資したりなどしている。
こうした企業への規制は緩く、競合する信託会社がここ数年リスクを縮小する中でも、中植とその関連会社、特に中融国際信託は経営難に陥った不動産開発会社への融資を拡大。中国恒大集団などの企業から資産を買い取っていた。
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原題:Troubled China Shadow Bank Zhongzhi Files for Bankruptcy (3)(抜粋)