パルデンの会

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中国は民間の年金積み立て制度を奨励し、国民に加入をうながしている。ところが国民がそっぽを向いている

■慶祝 小誌、通巻8000号となりました。愛読者の皆様に感謝申し上げます!
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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)11月14日(火曜日)
       通巻第8000号 <前日発行>
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 中国政府、年金基金の赤字を想定し、民間年金積み立てを奨励した
   どうせ積み立てても貰う頃には飢饉が潰れているさ、とそっぽ
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中国は民間の年金積み立て制度を奨励し、国民に加入をうながしている。ところが国民がそっぽを向いている。
 中国の年金制度は、

(1)公的年金「基本養老保険(基礎年金+個人口座年

        金)」 

(2)企業が任意に実施する「企業年金」、

(3)個人が任意に加入する 「商業養老保険(個人年

         金)」

の三つがある。

都市就労者と都市・農村の非就労者で年金制度が異なる 農村住民や都市部の非就労者が加入する

「都市・農村住民年金基本養老保険」に区別され、

会社員(自営業者を含む)は

都市職工基本養老保険(都市職工年金)に加入する。

 

農村住民や都市の非就労者は

「都市農村住民基本養老保険都市・農村住民年金)に加入する。

公務員や外郭団体の職員は、都市職工年金の一部に分類された

「公務員養老保険公務員年金)に加入する建前となっている。

国有企業や大手企業の会社員、公務員などは、加入が義務付けられている。ところが、農村住民・都市の非就労者は任意加入。このような任意の加入者数は、公的年金制度の加入者全体が6割に達する。

保険料負担は、賃金に比例し、原則的に、企業が賃金総額の20%、従業員本人は賃金の8%を納める。企業拠出分は基本年金の原資として基本年金基金で管理され、従業員が拠出した保険料は基本年金の上乗せとして、専用の個人口座で積み立てられる。主務官庁は「人力資源・社会保障部」。しかし保険料の徴収、基本年金基金の管理、年金給付といった実質的な運営や財政の管理は各地域に設置された社会保険管理機構が行う。 

 個人勘定は、年金専用の個人口座の残高を定年退職年齢に基づいて定められた年金現価率によって分割して支給される。中国では、法律で定められた定年退職年齢が即ち年金の支給開始年齢であり、男性が60歳、専門職の女性は55歳、一般職の女性は50歳となっている。
 問題は急速な高齢化社会の到来で、60歳以上の高齢人口は2055年頃にピークを迎える。
年金財政の悪化が懸念されるのは、「職工」と呼ばれる国有企業や大規模民営企業の就業者を対象とする都市職工基本年金保険である公的年金保険の一つである同保険は賦課方式と個人積立方式を合わせて運営されているため、高齢者扶養率が上昇すると年金財政は必然的に逼迫するのは火を見るより明らか。

労働力の流出と出生率の低下により高齢者扶養率が急上昇した黒竜江省では、2013年から同基金の支出が収入を上回るようになり、2016年には積立金も底を突き、基金残高がマイナスとなった。不足分を省財政で補填している。しかし実態としては維持が維持不可能だろう。

▼年金制度改革は期待薄

中国政府は制度改革を模索しているが、地方政府など負担増を嫌って改革案に乗り気とは言えない。
年金財政が明日にも破綻する懸念はないものの高齢化が急ピッチで進む状況があり、いずれ基金残高が減少、あるいはマイナスに転じるのは時間の問題である。

 都市職工基本年金保基金には2021年に1兆2763億元(25兆5260億円)の補助金が投入された。この数字は同基金の保険料収入の三割弱である。すでに補助金なしでは維持できない状態にある。 
 社会科学院「世界社保研究センター」は、都市職工基本年金保険基金が2035年に残高がなくなると予測している。つまり保険基金は財政を侵食する元凶となる。
 こうした予測に立てば政府がいくら民間の年金積み立てを推奨したところで、国民はそっぽを向くのである。
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