パルデンの会

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中国の貯蓄率は異常な高さだが、消費に向かわず、高金利商品に群がり    異常な不均衡がつぎになにを中国経済にもたらすか?


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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
   平成25年(2013)5月30日(木曜日)弐
    通巻第3956号 
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中国の貯蓄率は異常な高さだが、消費に向かわず、高金利商品に群がり   異常な不均衡がつぎになにを中国経済にもたらすか?
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 中国の貯畜率は異常である。
 2005年統計で中国の貯蓄率は43・4%、2012年のIMF推計で52%、もちろん世界一(日本は20%台、米国のそれは最近、10%を割り込んでいる)

経済の原理原則から言えば、貯金の目的は住宅投資、学資、結婚資金の積み立てなど、将来の投資のための準備である。
健全な経済行為でもある。
しかし中国は普通の国とは異なって、政治体制が独裁であり、国民の大半は銀行に預金口座を持っていない。その日暮し、年収が200ドルもない貧困層がある。出稼ぎ農民は公式統計でも2億6000万人を越えている。

 「家計が悲惨で消費に回らない」という貧困家庭は、所得があまりにも低い結果であり、他方で貯金率が高すぎるのは「普通の国には見られない不均衡だ」と問題点を鋭く指摘するのはマイケル・ペティス(北京大学大学院教授兼カーネギー財団客員研究員)だ。

 ペティス教授によれば「この不均衡の逆を行ったのが90年代のドイツであるが、中国の異常な貯蓄率の高さは、政治独裁の中国の構造的問題であり、投資が貯蓄率に比べて低く、そのくせ海外投資率は異様に膨らんでいる。つまり国内生産が過剰で、国内消費を上回り、あまつさえ中国の不動産投資は価格上昇をもたらしているが、これは『消費拡大』ではなく、投機である。これが所得格差、冨と貧困の二極分化を生んだ原因である」という。

 所得が増大しないのに住宅価格が上昇すれば、投機はいずれ株式、債権市場にも向い、消費はネガティブになる。生産が消費を上回れば、失業率が急増し、失業者は預金を食いつぶし、親戚友人の貯金も減少し、ひいては貯金量が減少する。

 したがって住宅投資にGDPの50%が向かっている歪さは、GDP主義の表われ、偽りのGDPであり、モノとサービス分野で中国は決定的な遅れをとった経済構造をもたらしたと同教授は総括する(『アジアタイムズ』、13年5月29日)。

 中国ではクレジットカードの普及が遅れ、社会保障医療保険、養老年金のシステムが未整備であり、将来への不安から貯蓄に励む性向があることは多くのエコノミストが指摘している。
さるにても、不動産価格膨張、外貨準備率世界一のくにで、消費に向かわない貯蓄は、どうやって社会の安定に寄与できるのか?