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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和五年(2023)12月14日(木曜日)
通巻第8048号
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中国の融資残高は7280兆円。ノンバンクのシェアが四割
刻々と迫る金融壊滅の時限爆弾
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中国最大級の投資ファンド「中植企業集団」が債務危機に陥っていた実態が露呈したのは23年7月からだ。前々から「危ないぞ」と囁かれていた。
8月16日に開催した投資家を対象の「説明会」で中殖側は「流動性危機」に直面しており、「債務の再編」を行う予定と説明した。中殖への投資家はおよそ15万人、個人投資家が多い。目先の金利に釣られて欺された連中とも言えるだろう。
説明会での語彙がそもそも誤魔化しである。「流動性の危機」って、要するに手元資金がパンクしていることであり、高利の闇資金からの調達も難しいという悲惨な状況を別の表現をしているだけ。
「債務の再編」って、要するに投資家にお金返せないという婉曲表現だ。
中植は一社だけで1兆元(1367億ドル)以上の資産を運用。「シャドー・バンキングの王様」だった。この中植集団に類いする資産運用会社は、信託・理財商品部門を通じてシャドー・バンキングの高利回り投資商品(「理財商品」とか意味不明の言葉を使った)を販売して資金を調達してきた。
11月23日になって中殖企業集団の債務超過が邦貨換算で4兆6000億円であることが判明し、25日までに幹部ら数名が拘束された。その後、債務超過額は増え、5兆4000億円に登ることが判明した。
中国の民間企業、中小企業はまともな銀行から融資を受けられないので、シャドー・バンキングを使う。したがってノンバンク系が総融資量の4割近くを占めている。
ちなみに23年上半期の総融資残高は銀行系が230兆元(約4600兆円)、ノンバンク系が134兆元(2680兆円)で、ノンバンク系の比重が圧倒的に高い。ノンバンク系の融資額だけでも中国のGDPより多い。
金融危機の悲惨な一面が中殖集団の債務超過で判明した。
じつはこの問題、日本に連動するのだ。
つまり日本の低金利のカネが、キャリートレードでオフォショア市場に持ち出され、ドルに転換され、それが中国へ向かっているからだ。
日銀、財務省が円安を放置したからである。
田村秀男氏がこのカラクリをえぐった(産経新聞、2023年12月5日)
「2013年3月に日銀総裁に就任した黒田氏は異次元金融緩和政策に踏み出したが、安倍晋三首相(当時)の背中を押して消費税の大型増税を実行させた結果、デフレ圧力を招き入れ、マイナス金利政策に追い込まれた。(中略)マイナス金利付きの日銀資金の多くが海外にも流れ出し、中国への資金流入(対外負債)を後押しする。FRBのドル資金発行は縮小していたが、消費税増税に伴うデフレが背景のマイナス金利の日本マネーが国際金融市場を潤すと同時に、中国経済を救ったことになる」。
□☆み□☆☆□や☆◎☆□ざ☆□△◎き◎□☆◎