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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和五年(2023)12月27日(水曜日)弐
通巻第8069号
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「反プーチン」のナワリヌイがシベリアの刑務所へ移送
ロシア、プーチンの独裁政治は強まったか
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ロシアの反プーチンで知られるナワリヌイが、それまで収監されていたウラジーミル州の刑務所から、遠くシベリアの北極圏にあるヤマロ・ネネツ自治管区刑務所に移送されていた。現地で弁護士がナワリヌイと面会し、元気なことが確認された。
彼は12月上旬から所在不明になっていた。9月、確定済みの計10年以上の禁錮刑に加え、新たに19年の禁錮刑が加算され、凶悪犯収監の刑務所へ移送が決定されていた。
米国務省はナワリヌイの居場所が判明したことを歓迎する一方、その拘束は不当で即時釈放すべきだとの立場を改めて示した。
もし、香港民主化のアイドル周庭がカナダへ亡命せず、香港に居残っていたら、同じことをされただろう。現在、中国共産党の指令に基づいて香港で裁判中の黎智英(リンゴ日報創刊者)は、出鱈目裁判の『判決』確定後、過酷な条件の収容所へ移送される可能性がある。欧米では黎智英の即時釈放と、ノーベル平和賞受賞をはたらきかける運動が起きている。
ロシアではプーチの戦争を支持し、ウクライナを非難してきた言論人や民族主義の活動家がつぎつぎとウクライナ諜報機関と推定される集団によってテロに遭遇、何人かが暗殺されている。
民族主義的思想家で、「プーチンの頭脳」とまで言われたアレキサンドル・ドゥーギンは、 娘のダリアがドゥーギンの車で走行中に爆殺された。狭隘なロシア民族主義と欧州主義を謳う思想家は、しばし鳴りを潜めた。ドゥーギンの娘ダリアはギリシア思想史に詳しく学生時代には父親の思想とは距離を置いていた。次第に地政学と民族主義に接近し、ウクライナ侵攻作戦を支持する言論活動を展開していた。
SNSの世界では父親より影響力があったとされる。
2022年8月20日に起きたダリア暗殺は、ウクライナのSBU(保安庁)の仕業と見られる。容疑者として手配されたのはアゾフ大隊(ウクライナの強豪部隊)の流れをくむ活動家だった。
ついで23年4月、サンクトペテルブルグのカフェでロシアの右派集会が開催されたいたところ、爆発があり、ウクライナ戦争を支持していた著名ブロガーのウラドレン・タタルスキーが爆殺され、30人が重軽傷を負った。
捜査当局は、爆弾を運んだ女性活動家のトレポヴァ容疑者を「組織的な集団によって実行され、意図的な死をもたらすテロ行為」と「組織的な集団による爆発物の不法所持」の罪で起訴した。
このカフェは元ワグネル軍団を束ねたプリコジンの経営だった。
12月25日、Xマスプレゼントとなったのはロシアのオピニオン・リーダーのひとりだったアントン・クラソフスキの毒殺ニュースだ。ただし、この情報はウクライナポストだけが報じており、真偽は不明である。
嘗てRTチャンネルのディレクターだったクラスフスキーはジャーナリスト兼宣伝活動家で、2020年から2022年までロシア国営メディアチャンネルRTのディレクターを務めていた。この間、2022年10月、反ロシアを叫ぶウクライナ人の子供たちに対して大量虐殺を呼びかけたという。「彼らはティサ川で溺死すべきだった。アヒルが浮かび、子供たちを溺れさせ、溺死させたのだ」と彼は語った。
またウクライナ人の子供たちを火刑にするよう呼びかけた。当時、このコメントは大きな怒りを引き起こし、さすがのロシアにあっても、職を追われた。
ロシアの本格的な侵略が始まって以来、クラソフスキーはウクライナ民間人の死を祝い続けた。 2022年7月にヴィーンヌィツャでミサイル攻撃があり、23人が死亡したときも、「ヴィーンヌィツャだけでは十分ではない。最終的な解決策、本当の軍事的な解決策を望む」と付け加えた。ウクライナ人捕虜の斬首も擁護した。
あまりに露骨で残酷な言動に対して、ウクライナの裁判所は欠席裁判で、「ウクライナに対する犯罪」容疑でクラソフスキーに懲役 5 年の判決を下していた。
過去の一連のテロを振り返ると、彼の「毒殺事件」なるものも、ウクライナの諜報機関がやらかしたと解釈される。
◎○☆み□☆☆□や☆◎☆□ざ☆□△◎き◎□☆◎