パルデンの会

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反プーチン陣営の現状  「宮崎正弘の国際情勢解題」より

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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024)3月6日(水曜日)
       通巻第8164号  
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 プーチンのロシアに「民主化」を訴える人々は多い
「ナワリヌイ以後」どのような動静にあるのか?
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「ナワリヌイ以後」の反プーチン陣営、いまどのような動静にあるのか? つぎの「ロシア民主化のイコン」は誰か?

懐かしい名前が再び浮かんできた。ミハイル・ホドルコフスキーである。
かれはプーチンの最大のライバルだったが、2003年に突然逮捕され、シベリアの刑務所で十年を送った。水面下でドイツのゲンシャー外相らが政治圧力と取引により、2013年、病気療養を名目にドイツへ出国した。爾来10年あまり、ホドルコフスキーは亡命先のロンドンから発信している。

 ホドルコフスキーは、 2003年に政治的動機に基づく詐欺罪で実刑判決を受けた。石油企業「ユコス」CEOとしてビジネス世界のヒーロー、新興財閥の代表選手だった。巨額を反プーチンの政党や政治家に献金した。
ホドルコフスキーはロンドンで、民主化団体『オープン・ロシア』やオンライン報道機関に資金を提供してきた。彼らのユーチューブは登録者数が 200 万人を超える。

ホドルコフスキーはユダヤ人で商才があり、最初は小さな銀行を経営し、党の資産を管理、タックスヘブンで運用し1995年石油会社を買収した。98年にはユコスをルクオイルと並ぶ巨大企業とし、それをエクソンに売却する手はずも整えていた。

ホドルコフスキーの外交哲学はパワーバランスを基軸としており、プーチン外交批判の論点は「中国に接近することは愚かであり、中国を裨益させるだけだ」とするところにある。
まっとうなことを言っているにすぎない。

 また現在のオリガルヒは「プーチンに奉仕することと引き換えに権力と財産を得ている」と鋭く批判し、「ロシアは巨大かつ多様な国であるから一元的に管理しようとすれば巨大な幕僚組織を持たねばならない。中央でこれほど大きな組織を持つことは、国民に対しては『外敵から国を守るということ』で説明されることになる。その正当性を保つために外敵に対する戦闘行為・侵略行為を続けることを余儀なくされるのだ」とプーチン大統領の行動原理を説明した。

日本の『文藝春秋』(2022年7月号)に登場し、「プーチン統領は「汚職と犯罪」でロシアを統治しており、経済社会問題を覆い隠すため「外敵」を利用して繰り返し戦争に訴えている」と述べた。
「ロシア人プーチン政権への抵抗運動がたいそう危険なため、取りうる手段はサボタージュくらい」とも述べている。

 ▼野党や野外活動家、そして外国から反プーチンを発信

ほかにロシア民主化のイコン候補は誰誰か?
ウラジーミル・カラ=ムルザとイリヤ・ヤシンは、ウクライナ戦争に反対し、投獄中である。カラ=ムルザは、米国とその同盟国が人権侵害者である世界中の政府高官に制裁を科す「マグニツキー法」に取り組んだため、「国家反逆罪」で25年の刑。

野党政治家のイリヤ・ヤシンは「ブチャの虐殺の背後にロシア軍がいる」と発言し、軍に関する虚偽の情報を広めた廉で懲役8年半。ヤシンは2000年に「ヤブロコ」に入党したが、ナワリヌイの攘夷的な過激ナショナリズムには染まらなかった。
亡命反政府活動家のマキシム・カッツはイスラエルにいる。

外野には大統領候補者とし署名をあつめたボリス・ナデジディン、エカテリーナ・ドゥンツォワ女史がいる。ふたりの立候補は阻止された。

ダンツォワは、政治経験がなく、慎重に「平和推進」の議題を掲げている。彼女は1月に新政党(「夜明け」)の組織委員会設立会議後に拘束され薬物検査を受けた。

ナデジディンはロシア国内外で数万人の支持を集め、立候補への支持を求める人々の長蛇の列ができた。彼を支持することが戦争反対を表明する唯一の方法と考える人もいれば、彼をプーチン大統領の真の代替者と見る人もいた。ナデジディンは15万筆の署名とダンツォワ、カッツ、ホドルコフスキーおよびナワリヌイ支持者ら署名を集めた。しかし案の定、文書不備などとケチをつけられて立候補を阻止された。

 他方、元エカテリンブルク市長のエフゲニー・ロイズマンや言語学者で元モスクワ市下院議員ユリア・ガリヤミナなど、プーチン大統領に批判的な政治家は釈放されている。
 ガリヤミナ女史は2017年の抗議活動中に警察に顎を折られた。プーチン大統領2036年まで政権を維持できるという憲法改正に反対する運動を行った。彼女は「外国代理人」の烙印を押され教職を解雇された。

 ▼急浮上したのはナワリヌイ未亡人だ

ナワリヌイの友人だったロイズマンは、ユーチューブでウクライナ戦争を批判したとして2023年5月に 罰金刑を科された。エカテリンブルクでは高い人気がある。

ナワリヌイの報道担当だったキラ・ヤルミシュや、元反汚職財団理事長のレオニード・ヴォルコフなど、著名な人物もいる。ボルコフは、ナワリヌイの2013年のモスクワ市長選挙運動や2018年の大統領選挙運動の責任者を務めた。2020年にロシアを離れてリトアニアに向かった。ボルコフはEU委員会に「ミハイル・フリードマンに対する制裁を解除するよう」求めていた。

急浮上はユリア・ナヴァルナヤ女史。ナワリヌイ未亡人だ。
2020年のナワリヌイ毒殺未遂事件の衝撃から政治行動を開始し、ナワリヌイの不審死後は、ミュンヘン安全保障会議で演説し、渡米してバイデン大統領とも会見するなど、世界の注目を集める。
彼女は亡き夫の仕事を引き継ぐことを認めた。
「私には諦める権利はない。国のために戦い続けるので、皆さんも私の隣に立ってください」と訴えた。

     ◎◎み○☆や◎☆ざ○☆き◎☆◎ま○☆さ◎☆ひ◎◎ろ○☆