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電気代値上げ、背後に中国共産党が仕掛ける「罠」

止まらない電気代値上げ、背後に中国共産党が仕掛ける「罠」

 
2024/06/12
 
更新: 2024/06/12

(YsPhoto / PIXTA)

 
2024/06/12
 
更新: 2024/06/12 大紀元
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脱炭素社会の実現に向け、電気料金に上乗せされる「再エネ賦課金」などの国民負担が増大しているが、実際には戦略的に再エネ設備を輸出している中国共産党政権がその利益を得ることになる。そうした「中国共産党によるグリーンエネルギーの罠」に、元トランプ政権高官はエポックタイムズの番組で警鐘を鳴らした。

2023年6月以来、日本国内で電気料金の値上げが止まらない。とりわけ、今月使用分からは政府が物価高対策で実施してきた補助金が終了するため、さらなる高騰が予測される。TBSの取材によると、東京電力の標準家庭向けの電気料金は、3月と比べて1500円ほど値上がりするという。

値上げの理由としては、ロシアによるウクライナ侵攻などに起因する燃料価格の上昇や円安による物価高などが指摘されているが、注目すべきは再エネ賦課金の増額だ。再エネ賦課金とは、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの普及のために電気料金に上乗せされる負担のことで、実質的な増税とも言われている。

この国民負担の増加に関して、キヤノングローバル戦略研究所杉山大志研究主幹は、「企業が払う分まで含めると、3人家族の世帯で年6万円を超える」とエポックタイムズに語っている。「再エネ賦課金だけで電気代が1.5倍に跳ね上がる計算だ」

政府は、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという目標のもと、こうした政策を進めている。しかし、日本の脱炭素推進によって最も利益を受けるのは、温室効果ガスの最大排出国でありながら先進国に太陽光パネルや風車を輸出する中国だ。

「脱炭素に伴うエネルギーコスト増は国力を毀損し、安全保障と経済成長を損なう」と杉山氏は警鐘を鳴らしている。このままでは、電気料金を下げることができず、安定した電力供給もままならないまま、改革自体が失敗しかねないという。

グリーンエネルギーの罠

中国共産党は、脱炭素などの先進的な環境アジェンダを利用して、他国のグリーンエネルギー源に対する支配を広げている。グリーントランスフォーメーション(GX:化石燃料中心の社会からクリーンエネルギーを中心とした社会への変革)に取り組む日本もその標的とされていると言える。

先月21日、トランプ政権の元国家安全保障副顧問で米シンクタンクヘリテージ財団の国家安全保障・外交政策担当部長のビクトリア・コーツ氏が、英語版エポックタイムズの対談番組に出演し、グリーンエネルギーをめぐって米中間で勃発する貿易戦争について解説した。

インタビューの中でコーツ氏は、米国が同盟国を中国の脅威から守るためにも、エネルギーで中国に依存してはならないと示した。以下、番組「Crossroads」司会のジョシュア・フィリップ氏とコーツ氏の対談をお届けする。

ビクトリア・コーツ氏:
バイデン政権は、気候変動をアメリカが直面する最大の脅威と位置づけています。これによってアメリカは、中国の安価な再エネインフラに依存するという罠に陥りました。ヘリテージ財団が最近発表した報告書で指摘しています。

中国共産党オバマ時代のグリーンアジェンダに注目しました。自分たちの富と国有企業を利用して、EVバッテリーや太陽光パネル、風力タービンなどのインフラを補助金付きで構築し、国際市場に投入して、欧米企業を市場から締め出し、依存関係を作り出そうとしました。これは非常に賢い戦略です。

中国共産党のビジネス手法について重要な点は、その多くが国営ビジネスであるため、少なくとも初期段階では利益を追求する必要がないことです。彼らは他国に進出し、すべてのプロジェクトで最低価格を提示し、時にはコスト以下で入札します。そうやって現地企業を排除し、市場を支配します。

これまで彼らは、通信分野やパンデミック時のPPE(個人用防護具)供給で同様の戦略をとりました。現在エネルギー分野で同じ戦略をとっていることは間違いありません。彼らにとってこれらの投資は、権力の投影なのです。

太陽光パネルは一見無害で、誰もが太陽エネルギーを望み、再生可能エネルギーに好意的ですが、それが中国共産党政権の支配下にあるなら問題です。

中国の手錠

ジョシュア・フィリップ氏:
中国は電気自動車のバッテリーや太陽光パネルなどを、どのくらい供給しているのでしょうか?

コーツ氏:
市場の大部分は彼らが支配しています。これは報告書の中の「中国の手錠(Chinese Handcuffs)」の章とその次の章で詳しく説明しています。

COVID-19が教えてくれたことは、中国のサプライチェーンへの依存はもはや許されないということです。これがバイデン大統領が直面しているジレンマです。「2030年までにすべての車を電気自動車にする」といった彼の野心的な気候目標を達成するためには、中国製品が不可欠です。それらを米国内で大量に低コストで製造することは不可能だからです。これが、行政が自ら進んで陥った罠です。「中国の手錠」という比喩が使われるのは、自分の意志で手を突っ込んで、抜けなくなるからです。

フィリップ氏:
中国共産党が最大の炭素排出国である一方で、最大のグリーンエネルギー技術の生産国であり輸出国であることが不思議です。

コーツ氏:
中国の排出量はますます急増しています。中国は自らを発展途上国と位置づけています。先進国が環境を汚染しながら産業化し、世界規模の気候危機を引き起こしたという理由から、「自国にアメリカやヨーロッパと同じ基準を適用するのは不公平だ」と主張しているのです。中国の排出量はアメリカの4倍です。

フィリップ氏:
矛盾しています。想像してみてください、「世界最高の太陽光パネルを取り揃えています」と宣伝していながら、ディーゼルエンジンに頼っているお店を。普通、太陽光パネルのお店ならパネルで稼働していると思いますよね。矛盾していると感じますが、どう理解すればよいのでしょうか。

コーツ氏:
それが持続可能ではないからです。再生可能エネルギーだけでは、現代の経済に必要な安定した電力は確保できません。

中国共産党は気候変動よりも深刻な脅威

フィリップ氏:
トランプ政権時代、アメリカはパリ協定(地球の平均気温上昇を「1.5度未満」に抑えることを目指す国際協定)から離脱し、規制緩和を行ないました。すると、アメリカのエネルギー産業は大きなブームを迎え、石油や天然ガスなどの生産を大幅に拡大しました。そこで、中国共産党は逆の戦略を取り、グリーンエネルギーの製品を世界中に売り込んでいました。

コーツ氏:
非常に興味深い話です。

多くのアメリカ人が気候変動と環境問題に関心を持っており、クリーンな気候と環境を望んでいます。私もその一人です。しかし、中国をより深刻な脅威と見なす人の割合は50%を超えています。

今週、フォード社が電気自動車の生産削減を発表しました。それは、電気自動車の販売で一台あたり10万ドルの損失を出しているからです。電気自動車の損失を補うためにガソリン車の価格が急上昇しました。つまり、不人気製品が人気製品の価格を押し上げています。驚くべきことです。

フィリップ氏:
私たちが自分たちの産業を破壊する一方で、中国共産党はその隙をついています。彼らは補助金を含む国際貿易協定を利用して、私たちを出し抜いています。どうすればいいのでしょうか?

コーツ氏:
アメリカ人はエネルギーにおいて脆弱であってはならず、中国に依存してはいけません。私たちには核エネルギーや天然ガス、石油、石炭があります。これらによって、アメリカは手頃な価格の豊富なエネルギー源を提供できます。

核融合が実現して炭素排出がゼロになれば素晴らしいですが、それを当てにはできません。現在の依存状態と脆弱性から独立するための代替案を提示するのが私たちの計画です。中国との戦争という最悪のシナリオで、アメリカは勝利しなければならないからです。中国が私たちの同盟国を脅迫しようとした場合、私たちには彼らを支援する能力があります。非現実的な気候目標の追求によってそれを手放すのは狂気の沙汰です。

フィリップ氏:
ありがとうございました。

コーツ氏:
ありがとうございました。

大紀元報道記者。東京を拠点に活動。