超党派の「中国による人権侵害を究明し行動する議員連盟」は26日、国会内で総会を開き、ドナーの同意を得ない強制的な生体臓器の摘出と臓器移植を巡って議論した。
同議連など中国当局の人権侵害を追及する議連は10月の衆院選で幹部の自民党前議員の落選が相次ぎ、新体制で再出発を図っている。
総会では、中国で不当に拘束された「良心の囚人」に対する「臓器収奪」を長年調査してきたカナダ人弁護士のデービッド・マタス氏が講演した。マタス氏は、ウイグル族、チベット族を含む拘束者の臓器収奪の「証拠はあり過ぎるほどある」と主張し、「日本政府、国会は中国の共犯者になるべきではない」と訴えた。違法な臓器移植を目的とした海外渡航を規制したり、仲介業者を罰したりする諸外国の法律を紹介し、日本に法整備を求めた。
同議連は、事務局長だった三ツ林裕巳前衆院議員(埼玉13区)が落選。後任に決まった自民の山田賢司衆院議員(兵庫7区)が中心となり、この日の準備を進めた。
三ツ林氏は、令和4年に中国の新疆ウイグル自治区や香港の人権状況を巡る国会決議を主導した超党派の「日本ウイグル国会議員連盟」の事務局長も務めていたが、後任は未定だという。
超党派の「日本チベット国会議員連盟」は会長だった下村博文前衆院議員(東京11区)と事務局長の石川昭政前衆院議員(茨城5区)がいずれも落選。後任の会長に山谷えり子元拉致問題担当相、事務局長に山田宏参院議員(いずれも自民)が内定し、再出発する。
来年6月には亡命チベット代表者議会の主催で、約30カ国から約100人の参加を見込む世界チベット議員会議が東京で開かれる。チベット亡命政権の代表機関、ダライ・ラマ法王日本代表部事務所のアリヤ代表は「日本チベット議連は世界最大のチベット支援議連だ。今後も力強いサポートを期待したい」と話している。(原川貴郎)