日ウイグル協会副会長 「これ以上の証拠ない」 内部資料流出
05/27 14:52
今国会会期末が6月15日に迫る中、中国の新疆(しんきょう)ウイグル自治区などでの人権問題に関する参院決議の採択が暗礁に乗り上げている。中国当局による少数民族ウイグル族への迫害の実態を示す内部資料の流出をめぐり、欧米が批判を強める中、先進7カ国(G7)の一員である日本の動きとして参院の対応に注目が集まりそうだ。
中国の新疆ウイグル、チベット、内モンゴルの各自治区や香港での人権問題に関する決議は北京冬季五輪開幕直前の今年2月1日、衆院本会議で可決された。衆院決議は当初、人権弾圧を重ねる中国政府への非難を盛り込むはずだったが、与党内調整の過程で公明党の提案を自民党が受け入れ、決議文からは「非難」「人権侵害」の文言は削除され、「中国」の国名も明記されなかった。
参院決議について、自民は北京パラリンピック終了直後の3月中旬ごろの決議採択を模索していた。衆院決議に先立つ1月25日、岡田直樹参院国対委員長は決議文案作成を指示した。自民の世耕弘成参院幹事長は2月22日の記者会見で「衆院決議後に起こったことも織り込める決議になればいいと思う。各党各会派とよく調整をしていきたい」と述べ、衆院よりも踏み込んだ内容を目指す考えを示していた。
参院決議に向けた調整が遅れているのは、ロシアによるウクライナ侵攻で機運が遠のいたとの見方もある。ただ、自民参院幹部は5月30日、決議文案づくりで自民、公明両党の調整が難航していることを認めた。衆院決議と同様、公明が中国に対する厳しい表現を盛り込むことに難色を示しているもようだ。夏の参院選を控え、公明との対立を避けたい自民側の事情も採択に向けた手続きが進まない一因とみられる。
日本維新の会の東徹参院国対委員長は30日、産経新聞の取材に「衆院で決議したのだから参院でも今国会で決議すべきだ。与党は決議文案をまとめてほしい」と語った。28日に発足した超党派「チベットを応援する全国地方議員の会」も、参院での対中非難決議の採択を求める方針を決めている。(原川貴郎)