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湾岸エリアのタワマンに中国人富裕層の居住が急増、文京区立小学校に中国人が殺到――。なぜ今、日本で中国人の存在感が高まっているのか。強まる中国の影響力に日本はどう向き合っていくのか。中国社会に精通し、多くの現場を歩いてみてきたルポライター安田峰俊氏に、ドイツ出身で長年日本に暮らしてきた著述家のマライ・メントライン氏が聞きました。安田氏から次々と飛び出す衝撃のエピソードとは。JBpressのYouTube新番組「マライ・メントラインの世界はどうなる」、全3回に分けてお届けします。

【マライ・メントラインvs安田峰俊】(順次公開、YouTubeのチャンネル登録もお願いします)
(1)競争も金儲けもちょろい?中国人が日本を買い漁るワケ…湾岸タワマン、文京区立小「3S1K」に殺到、中学受験も席巻
(2)東南アジアに詐欺パーク乱立、「中華暗黒ベルト」がヤバい!日本の年寄りを「顧客」と呼ぶ日本人「管理職」に直撃
(3)DeepSeek、笑える活用術…「中国好き」キャラで逆洗脳してみると?中国AIは「核兵器より怖い」はどこまで本当か

 

 

 

 

 

 

 

コロナで日本に中国人急増、余裕の「500万円」ビザ

マライ・メントライン氏(以下:敬称略):このところ、日本に住んでいる中国人をたくさん見かけるようになりました。

安田峰俊ルポライター(以下:敬称略):在日中国人の数は今が一番多く、昨年末時点で87.3万人に達しています。2010年前後から70万人前後が続いていましたが、コロナ禍を経てグッと増えました。日本国籍を取った人や、シンガポールなど他の国籍を持って日本に滞在するお金持ちの中国人も増えています。そのような中国籍以外の華人や、日中結婚の二世なども合わせると、100万人を超えているのは確実でしょう。

(写真:Shutterstock.com)

メントライン:なぜ今、日本に来るのでしょうか。日本が物理的に近いからなのか、それとも中国に何か限界を感じているのですか。

安田:後者だと思います。2010年代なかばまでの在日中国人は、そんなにエリートでもないけど貧乏でもない中流の人たち。ただ2020年前後からは、中国の強権的な「ゼロコロナ政策」を経験したり、中国の不動産バブル崩壊を予想したりしたお金持ちが日本に逃げて来ています。

 富裕層の「逃げ先」の選択肢にはシンガポールなど他の先進国もありますが、高いお金がかかります。一方、日本への移住は比較的容易です。例えば、日本で会社を設立したり事業をしたりしている外国人向けの在留資格「経営・管理」なら、基本的に資本金500万円以上を出して会社をつくればOK。他の国で同様の在留資格を取ろうとすれば、必要な資金は桁が1つ2つ増えるのが一般的です。お金持ちの中国人にとっては、日本はかなり移住のハードルが低い。

文京区立の小学校に殺到、中学受験に「全集中」

メントライン:東京都の文京区に中国人が急にたくさん現れているというニュースも見ました。

安田:文京区は東京大学の近所で、お金持ちや学術関係者、医師や国家公務員などの在住者が多いとされるため、公立の小学校でもレベルが高いといったイメージがあります。文京区立の「3S1K」(誠之、千駄木、昭和、窪町小学校の4つの小学校の頭文字を取った言葉)と呼ばれる小学校が「名門」とされ、ある小学校では約半分の児童が私立中学に進学する。この情報は中国人にも知られています。中国では従来、名門校の近所に住所を置いて子どもを通わせる行為が一般的だったこともあり、日本でも同様の行動にはしっているようです。

 湾岸のタワマンをはじめ都心に住む中国人の子どもは、難関中学の受験を専門とする学習塾の「SAPIXサピックス)」などにも大勢通っています。中国のメッセージアプリ「WeChat」にはSAPIXの情報をやりとりする在日中国人のグループがあり、そこでは自分の子供の成績を自慢し合っている。近年の首都圏で過熱する中学受験競争は、日本人の間でも「教育虐待」と批判的に語られることがありますが、中国人コミュニティーの教育熱は桁違いです。

湾岸エリアのタワーマンションを多くの中国人が購入している=写真はイメージ(写真:momo.photo/イメージマート)
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メントライン:以前の「一人っ子政策」のときは子ども1人にとにかく資源を注ぐのもわかるのですが、今は2人、3人とかに増えていますよね。

安田:2人、3人と増えても、教育のための資源を子どもたちに注ぎ込んでいます。なにより、日本と中国の教育面で最大の違いは、中国は「勉強が全て」ということです。もともと、科挙儒教知識を試す王朝時代の文官登用試験)の伝統が千数百年もあった国ですから。

 日本なら、例えばスポーツも勉強もできる「文武両道」が理想とされたりしますよね。足の速い子やサッカー部の子が、いわゆる「スクールカースト(学校内で形成される序列)」の上位じゃないですか。勉強ができても、それだけだと優位にならない。陽キャで運動できるような子が上位に行きがちです。都心だとそこそこの地頭のよさも必要ですが。

 一方、中国はとにかく勉強が全て。すごく勉強できる子(学覇)が一目置かれ、できない子はもうダメ、みたいな感じになります。つまり、子供の評価軸が、勉強できるか否か、の1つしかない。社会全体がそうなので、強烈な教育熱が生じてくるワケです。

 子供が漫画や音楽・映画などの表現活動に打ち込みたいと思っても、中国では親や周囲の圧力でそれが難しいことも多い。だから、「外国に学びに行く」という格好をとり、好きなことをやるために日本に留学にくる中国の若者も増えていますね。

コンプラなんてない?中国人が見るちょろい日本

メントライン:あとは医療を受けに来たり、不動産を買い占めたりするような人もいるとか。

安田:それも当然あります。西側諸国で広がる「コンプライアンス法令遵守)」のような感覚が薄い中国人もそれなりに多くいる。自国のSNSで「(日本の)補助金をこんな方法で騙し取ったぜ」みたいに、日本人を馬鹿にしながら自慢するような風潮もあります。

 もちろん、街も綺麗で、自由に意見を言ったり好きなコンテンツを見たりできて、あまりお金を出さなくても良いサービスを享受できる日本が好き、という中国人もたくさんいます。ただ、特に近年日本に移住している年配の富裕層に顕著ですが、実際に日本の文化に関心があり、リスペクトのある人たちがどのくらいいるかは、やや疑問もあります。

 例えば、往年はタイに移住する日本人の比較的裕福なおじさんっていましたよね。欧米人の場合は現在でも多い。でも、彼らの多くはタイに十年住んでいてもタイ語をほとんど話せなかったりするし、現地の文化にも深い関心は持っていなかったりする。つまり、タイに移住する欧米人や往年の日本人が現地の社会に向ける姿勢と、似たような気配はあると思います。

メントライン:いま、日本は円安ですが、中国人から見ると日本の物価水準は安いのでしょうか。

安田:中国の物価を正確に把握するのは難しいので、なんとも言いにくいですね。とんでもないお金持ちの世界もある一方で、とんでもなく安い世界もありますから。ただ、富裕層から見れば、日本の物価は「驚くほど安い」みたいですよ。

メントライン:私も先日北京に行きましたが、街の売店で100円以下だったお菓子が、ちょっと洒落たエリアのカフェでは900円ぐらいしました。この差はなんだろうと思いました。

安田:中国は明確に階層社会です。むしろ米国と中国という2大国家と比べると、日本の階層意識はかなり薄いわけですが。

 中国は人間が多すぎるので、とにかく競争が激しい。大学入試も就活も大変です。しっかりとしたブランドがある「いい会社」に就職するなら、ものすごい競争を勝ち抜かなければなりません。最近は不況で、修士号を持っている人がビジネスホテルの受付をしているようなケースもあるのですが、これは中国人の価値観では大ショックです。

 一方、日本はそこまで競争が激しくないので、大学で学んだことと関係のない仕事に就くのも一般的ですよね。それがいいことかはともかく、そうなっている。良い面を挙げるなら、職業差別は中国と比べると弱い。

 

 中国では、異なる階級に属する人は、基本的には生活圏も異なります。例えば、中国でバスや地下鉄に乗る人は、基本的には中層以下の人たちです。上層の人はまず乗らず、車で移動します。日本だと、大学教授や大会社の社長が山手線に乗っていても、ガード下で飲んでいても変ではないのですが、ここは大きな違いでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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