パルデンの会

チベット独立と支那共産党に物言う人々の声です 転載はご自由に  HPは http://palden.org

AIプーム、「宴のあと」にどんな新技術が生まれるのか      WHAT NEXT? 

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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和七年(2025年)11月12日(水曜日)
      通巻第9024号 
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 WHAT NEXT?  それがじつは深刻な問題なのだ
 AIプーム、「宴のあと」にどんな新技術が生まれるのか
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 ソニーウォークマンの爆発的大ヒットのあと、音楽、映画に進出し成功した。『鬼滅の刃』などがあたり純利益が1兆円をこえ、利益ランキングではトヨタと並んだ。
 メタはデータセンターの建築に立ち後れた。


イーロン・マスクはEVがまだ売れると信じて工場の拡大と宇宙通信、バイオ、ロボットに乗りだし、高い目標を掲げるが、先行きは不透明である。まだロボットは一台も売れないのに百万台が目標である。自動運転のロボタクシーも?

 デジカメのヒットはフィルム写真機を駆逐し、町からDPEチェーンが消えた。そのデジカメもAI搭載のスマホが代替した。ポラロイド即席カメラが一時期大ブームだったが、令和になって光学的改良をくわえた新型がでていても、人気はない。
メタバースは二兆ドルの市場だと喧伝され、投資家の夢が膨らんだが、途中で頓挫した。

 スティーブ・ジョブスが急逝した時、親友だったオラクルのラリー・エリソンが辛辣に言ってのけた。
「『次は何か』。おそらくiフォンのあと、アップルは凡庸な製品を市場に供給するが、長期にわたってヒットは生まれまい。(アップルウォッチが代替出来なかったように)なぜならジョブスが消えてしまったから」(トリップ・ミックリ『ジョブス以後』、ハーパー・コリンズ刊から拙訳)。

初期の頃、アップルに着目し、大規模に投資したのは全米一の投資バークシャー・ハザウェイウォーレン・バフェットだった。バフェットは孫たちを連れてマックで食事したおり、子供達の関心がスマホに吸収されている光景を目撃し、投資を決めた。
バフェットは中国のBYDアにも投資したが、途中で全株を売却した。

逆にアップルの大株主でもあった買収王のカール・アイカーンは狡猾にアップル株を高値売り逃げ、18億ドルを稼いだ。
アイカーンはジョブスの死後にCEOのティム・クックとオッペンハイマーをNYの豪華コンドミニアムに招き、三時間もの食事会を行った。セントラルパークを見下ろす53階のテラスで彼はティム・クック(アップルCEO)に言った。
「アップルの海外子会社、現地法人は課税されていない。その利益を担保に借金して米国で現金に戻し株主配当に回せ。課税される前に」と。アップル株は急騰した。以後、米国歳入庁はアメリカ企業海外法人の連結決算をきめ、課税し始めた。アップルは海外に1000億ドルの留保があった。このうちの600億ドル以上を投じて株の買い戻しをしたのでアップル株は高騰を続けた。時価発行総額は3兆ドルを超えマイクロソフトに迫った。


 ▼過当競争、

開発資金の払底、エンジニア不足と電力不足に直面

トランプ政権が発足すると状況は劇的な変化をとげた。
トランプ政権は反中国色がつよくUSTRにライトハイザー、経済政策顧問にピーター・ナボロが陣取った。トランプは米国のハイテク技術が中国にわたり、いずれ中国が米国の技術を凌駕し世界のサプライチェーンを抑える可能性があるとし、製造業の米国回帰を強く求めた。

ティム・クックら首脳陣はワシントンDCにアップル事務所を構えホワイトハウスと議会の動きに敏感になった。トランプ大統領長女イバンカ、女婿のクシュナー夫妻に食い入った。「すでに中国で数百万の従業員が動き、組み立て作業に従事しているがハイテクを盗まれる懼れはない。いきなりの工場移転は困難であり、そもそも米国で優秀なエンジニアを確保するには無理がある。H1Bヴィザ(技能者に発給される優遇ヴィザ)は緩和されるべきだ」と説得した。

ところがトランプは移民政策を切り替えH1Bヴィザ所有者には10万ドルの手数料を課すなどと逆方向に走りだした。もろに影響を受けるのはインド人だが、トランプのホンネは中国人の排除にある。グーグルなどは2000人の外国人エンジニアが去った。

生成AI、チャットGPTの唐突な大ブームは、データセンター建設である。しかしすでに過当競争、開発資金の払底、エンジニア不足と電力不足に直面し、データセンター建設は絵に描いたように円滑には進まないだろう。「ストーリーを売り込み誇大宣伝で投資家やファンドから巨額の資金をあつめる」という方法もそろそろ頭打ちである。

 「次は経済効果でも安全でもない。個人情報の安全やハッカー対策はたしかに危機であるけれども、将来の生命とは“クリプトコズム”だ」とジョージ・ギルダーは『Life After Google』で強調した。(邦訳は『グーグルの消える日』)。

この“クリプトコズム”とはギルダーが創作した“造語である。
ギルダーに思考を煎じ詰めると「終末」、人間はあらゆる進歩をなしとげ、全ての革新は尽き果てたが、人間の精神は革新に満ちており、牽引するのは、現在暗号通貨で重宝されているブロックチェーン技術であると示唆した。AIが人間の知能を超えることがあるとすれば、それはまさしく終末だ。


 ▼甦るかジョージ・ギルダー 

この本がセンセーショナルを巻き起こしたのは「インターネットの世界に激震が起こる」と予測し、グーグルはビッグデータの集中処理を基軸にサービスを無料で提供してインターネットの世界の覇者となった。ところが、セキュリティの脆弱性という致命的な問題をクリアしていない。いずれブロックチェーン技術を活用した新しい勢力が勃興する」と予測したからだ。

暗号通貨の普及で、そのことは部分的に実証されているが、ギルダーは本来が『資本主義の神』という代表作があるように、テクノユートピアンであり、エバンジュリカルだ。

ギルダーといえば『富と貧困──供給重視の経済学』(日本放送出版協会、1981)で知られる作家だが、若き日にはニクソンのスピーチライターもつとめ、レーガンが登場したときはラッファーと並んで、サプライサイド経済学の提唱者として教祖的な存在だった

 ギルダーのテクノユートピアン的な考え方は、テクノ・リバタリアンの代表格ピーター・ティールが言っていることと変わりがない。

ティールは『ZERO to ONE』のなかでこう言う。
「新しいテクノロジーを創造することは、神の御業(みわざ)が人間を通じてあらわれる」。
キリスト教徒はアルツハイマー病を治癒すべきか。人びとをつなぐためのコミュニケーションの道具を開発すべきか。飢えている人びとを助けるための作物をそだてるべきか。 これらの問いの答えはイエスである」
キリスト教と科学の同盟は信仰に置き換えるものではなく、それを補うものである」

 11月11日、市場で異変が起きた。危険信号が明瞭に灯った。
バークレーはオラクルのキャッシュフロー枯渇を指摘し、格付けをさげた。
孫正義率いるSBG(ソフトバンクグループ)はエヌビディアの株式58億3000万ドルを売却した。データセンター、ロボティクス、半導体製造など、新AI投資のため資金調達を進めている。
WHAT NEXT?


●(拙著『WHAT NEXT』(ハート出版)は五年前の著作で、上記に論じた分野とはことなります。念のため)
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