パルデンの会

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33年ぶりの日本株檜舞台、「日本復活論」は本物なのか

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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)6月5日(月曜日)弐
       通巻第7782号 
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  ウォール街は弱気、日本の兜町は強気に転換した? 
    33年ぶりの日本株檜舞台、「日本復活論」は本物なのか
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 日米のマーケットは対極的となった。
 株暴落を懼れるウォール街は弱気に溢れ、悲観論が拡がっている現実とは対照的に、日本の兜町は俄然、強気になった。かつて米国経済を牽引したシリコンバレーは失業、ホームレス、オフィスビル空室30%となり、ならば次の牽引役と言われる生成AIもチャットGPTも懐疑論に蔽われている。GAFAは黄昏た。

 さて33年ぶりに出現した日本株の檜舞台は本物なのか? 一時的現象ではないかとする理由は 日本株を爆買いしているのが外国ファンドだからである。

 6月3日にバイデン大統領が署名した「財政責任法」は、債務上限枠の逐次上乗せをやめ、現行法を2025年まで停止するという、まるで奇術のような手口で、深刻な債務問題が再燃するのは三ヶ月か四ヶ月後である。
 なぜなら31兆4000億ドルの上限枠がなくなるのだから、このままバイデンのばらまき予算が続行すれば、50兆ドルになっても不思議ではない。
 ちなみに上院は「予算法」(BUDGET RESOLUTION)。下院はHR3746だ。これが「債務上限停止法」(読売新聞)「財政責任法」(日本経済新聞)と翻訳されたが、原文は「FISCAL RESOLUTION ACT OF 2023)である。直訳なら財政責任法だろうけれど実態は「債務上限停止法」のほうが近い。

 日本株高騰の理由は何か?
 第一に円安である。外国投資家からみればドル建てだから日本株すごい割安感がある。輸出産業は為替差益に沸く。しかし円安はたしかに輸出競争力を富ますが、原油高のうえに為替相場により二重に高くなっている事実がある。

第二に米国はLGBT、銃規制、妊娠中絶などで鋭角的に国論が分裂しているが、非中国では世論が統一している。
6月1日にコロラドスプリングで開催された米空軍アカデミー卒業式という晴れ舞台でバイデン大統領はまた転んだ。そのバイデンとて反中国の旗を降ろさず、謂わば挙国一致の反中国だから、日本を見直す反作用が産まれた。
産業経済の最大の競合相手が日本から中国になったので、これまでの日本たたきが雲散霧消した。

 第三に日本企業が内部留保路線から投資拡大に転じたことで、代表的な動きが官民あげての半導体投資である。ルネサス、キオクシア、ラピダスの新工場投資が10兆円に迫る勢いにあるうえTSMCインテル、マイクロン、サムソンが日本に工場を建設中である。

 日本の経済論壇は財務省主導でバランスシート重視だが、そもそも赤字国債を対GDP比で論じるのはトリックである。
赤字は国民の金融資産との比較で論ずると、米国の赤字累積およそ32兆ドル。アメリカ人の金融資産は18兆ドル。そのアンバランスは凄まじい。
日本は赤字累積、建設国債も含めて1300兆円。国民の金融資産はおよそ2000兆円。米国より日本がはるかに健全である。国の赤字は国民の資産を担保としているからである。


 ▲檜舞台の落とし穴

 だが落とし穴はないか?
 イーロンマスク訪中が象徴するように、JPモルガン、アップル、スタバなどのCEOが陸続と北京に詣でている。米国の反中国は安全保障方面に限られている。中国における投資を増やし、自動車など米企業は中国撤退の意思がない。ハイテク供与だけを封じこめているに過ぎない。

円安によるドル転換という資金調達の手口も、円高になれば収束する。
 賃上げ方向が確定的だが、日本は賃上げをしても、保険など実質増税であり消費が急回復するシナリオは実現しないだろう。またこれほどの円安状況下では外国人労働者も日本には来ないだろう。
 というわけで日本株の檜舞台が強固な基盤のうえに成り立っていないという冷厳な事実に留意しておくべきだろう。
     ◎☆□☆み□☆☆□や☆◎☆□ざ☆□☆◎き☆□☆◎ 

 

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