パルデンの会

チベット独立と支那共産党に物言う人々の声です 転載はご自由に  HPは http://palden.org

ダライラマ書簡

ダライラマ書簡

 地震発生後まもなく申し上げた通り、カムのケグドゥ(ジェクンド、中国青海省玉樹チベット自治州)で発生した地震により多くの命が失われ、多数の重傷者を出し、大きな被害が起きたことを深く悲しんでいます。離れた地にいるため、直接にご遺族や被災した方々の心を癒やすことができませんが、私が祈っていることを、どうか知っていてください。

 被災地で僧侶や若者、その他多くの人々が、何もかも失った家族を支え助け合っている姿を誇りに思います。慈悲の心が育っていくことを願っています。他者への無償の行為は、菩薩の願いの実践でもあります。

 また、中国政府の対応に感謝します。特に温家宝首相は、被災地を訪問して地域住民を力づけたほか、自ら救出活動の指揮を取っていただきました。この惨事と経過をメディアが自由に報道できていることにも、深く感謝しております。

 2008年、同規模の四川省地震が起きた際、中国当局と地方政府の指導者や関係機関は、救援の手を届けるためにたいへんな努力をしてメディアを自由に行き来させ、必要であれば国際救援機関の立ち入りのために道を作りました。そのような前向きな決定を高く評価するとともに、今回も、被災地へのアクセスに関して同様の配慮をお願いいたします。

 亡命チベット人コミュニティーは、被災者救援のためのいかなる支援や援助も惜しまない覚悟でいます。可能な限り迅速に正式な機関を通じて支援したいと願っています。

 2年前に四川省を大地震が襲った際、被災地を訪問し傷ついた人々のために祈り、心を癒したいという願いはかないませんでした。しかし昨年、台湾が台風災害に襲われた際には、被災地を訪れて災害の犠牲者のために遺族と共に祈ることができました。悲しみにくれる人々を少しでも慰めることができたことを、嬉しく思っています。

 今回の地震が起きたケグドゥ(玉樹)はアムド(青海省)にあり、私と先代のパンチェンラマが生まれた土地です。その地に暮らす人々の願いに応えるため、悲しみに暮れる人々の心を癒やすために、被災地を訪ねたいと強く願っています。

 最後に、諸外国の政府、国際救援機関やその他の関係機関に対し、今回の災害で何もかも失った被災者の家族たちが立ち直るために必要な、可能な限りの援助と支援を要請いたします。同時に、この大災害の犠牲者遺族に対しては、すべて起こったことは因果に従うものだと受け止め、逆境を善行の機会に変えてほしい。希望を保ち、失ってしまったものを取り戻すため、苦境に対し勇気を持って立ち向かうことを願います。

 最後に、もう一度申し上げます。亡くなった方々と遺族の方々のために、私は祈り続けています。


2010年4月17日 ダライラマhttp://www.tibet.net/en/index.php#

(翻訳:若松、藤田、中原)


ダライ・ラマ「被災地に来て」 募る住民の思い

【玉樹共同】中国青海省地震の被災地、同省玉樹チベット族自治州玉樹県で、チベット族の住民らがチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の被災地訪問を強く望んでいる。中国当局ダライ・ラマを祖国分裂勢力とみなしており、住民らも表だってダライ・ラマの訪問を要求することはないが、厳しい避難生活が続く中、心の中で精神的支柱への思いを強くしている。

 玉樹県結古鎮の避難所のテント内で薬草商の男性(55)がぼうぜんと座り込んでいた。住む家は倒壊し、義理の母(82)を失った。男性は「今は金も物も何もいらない。ダライ・ラマに来てもらいたい。それがみんなの願い。来なければ、何をもらったとしても心が満たされることはない」とこぼした。

 子どもも同じ思いだ。胡錦濤国家主席が被災地の激励に訪れた18日、避難所でチベット族の小学生らが胡主席の視察を話題にしていた。その中の1人は「でもうちらにはダライ・ラマがいる。ダライ・ラマは太陽だ。本当に(被災地に)来てほしいのは…」と話した。

東京新聞 2010年4月19日