服役中のチベット人映像作家ドゥンドゥップ・ワンチェンがXichuan強制労働キャンプに移送された。家族は彼を解放するための国際介入を求める
チベット NOW@ルンタより
2010年5月19日、チューリッヒ:
2009年12月28日、「国家分裂扇動罪」により、6年の懲役刑を宣告されたチベット人映像作家ドゥンドゥップ・ワンチェンは、西寧の刑務所から同じく西寧にある「強制労働キャンプ(1)」に移送された。
彼の妻をはじめとするドゥンドゥップ・ワンチェンの家族は、今日(19日)、来週中国を訪問するヒラリー・クリントン国務長官に対し、政治的理由により不当に囚われている者たちを解放するため、中国政府に圧力を掛けてほしいと要請する。
ドゥンドゥップ・ワンチェンは6年の求刑に対し、上告していたが、今年4月6日Xichuan刑務所に移送されたということからして、彼の上告は失敗し、審議は終わったと考えられる。2010年2月、彼を弁護するために西寧に向かった中国人弁護士チャン・ボヤンにもドゥンドゥップ・ワンチェンとの面会は許されなかった。さらに彼は3月、当局から、このケースを扱うなら、彼の法律事務所を閉鎖するとの脅しを掛けられた(2)。
今日(19日)、インドにいるドゥンドゥップ・ワンチェンの妻ラモ・ツォは、「私たちは今、絶望的な気持ちに陥っています。勇敢な中国人弁護士チャン・ボヤン及び、かつての弁護士リー・ドゥンヤンは、夫を助けるために危険を冒し、多くのことを実行して下さいました。
しかし中国は、今回、、もはや私たちが法律に則って問題を解決しようとすることの不可能であること示しました。
従って、私は諸外国政府に対し、表現の自由と言う権利を行使しただけで囚われているドゥンドゥップ・ワンチェンを即時・無条件解放するために(中国政府に)介入して下さることをお願いします」と語った。
ワシントンDCにあるLaogai Research Foundation(強制労働キャンプ研究財団)によれば、Xichuan強制労働キャンプはアルミニューム・サッシ、普通レンガ、多孔及び中空レンガ、焼結コンクリート・ブロック(3)を生産しているという。
スイス在住のドゥンドゥップ・ワンチェンの従兄であり、自身も元政治犯であるジャミヤン・ツルティムは今日(19日)、「この工場での重労働はドゥンドゥップ・ワンチェンの健康にとって非常に危険なことだ。去年すでに、彼がB型肝炎を患っているにも関わらず何の治療も受けられないと聞いている。過去にこの強制労働キャンプに送られた数人のチベット人を知っているが、彼らはそこの生活と労働の厳しさについて証言している。私はドゥンドゥップ・ワンチェンのことが非常に心配だ」と語った。
ドゥンドゥップ・ワンチェンは、オリンピック、ダライ・ラマ及び中国政府のチベット政策に関する一般チベット人の意見をインタビューによって集めたとして、2008年3月26日逮捕された。
これらのインタビューは後に「ジクデル(恐怖を乗り越えて、Leaving Fear Behind)」というドキュメンタリー・フィルムにまとめられ、世界30カ国で上映されることとなった。
ITSNはこの件に関し、ヒラリー・クリントンへのアクションプラン等を発動している。
これらについては追ってお知らせする。
追記:チベットのラオガイについて、
http://www.tibet.to/tnd/tnd40.htmlより
「囚人労働力と地元の経済市場の結び付きは、チベット自治区以外のチベット領域でも、地元経済にとって重要な意味を持っている。青海日報の記事が、青海省刑務所労働会議について報じているところによれば、青海省の刑務所全体で1998年には65万トンの穀物と植物油を採る作物を生産した。また「国内資金を注入し、外国との合弁事業を起こす方向で、(刑務所が)積極的な役割を果して行く」とも報じている。青海省刑務所管理局は、「囚人全員の協力と勤勉」のお陰で、1998年には「総額1千万元(1200万ドル、12億6千万円)の赤字を解消することができたと、2月24日付けの記事は報じている。現在青海省にはおよそ19カ所のラオカイ(労働改造収容所)が存在し、実質的な強制労働が行われている。その内の12カ所は、西寧市近郊にあると、ジェームズ・セイマールとリチャード・アンダーソンの共著『新幽霊と古幽霊:中国の刑務所と労働改造収容所(New Ghosts, Old Ghosts:Prisons and Labor Reform Camps in China)』は伝えている。この12カ所の労働改造収容所企業グループは、木材、鋼材、プラスチック製品、衣服、皮革製品、水力発電設備まで製作している」
翻訳小林様
資料
TIN News Update, 27 October 1999
New Prison Capacity in Lhasa : Photographs Indicate Increase in Proisoners
and New Factory Inside Drapchi
チベットのラオガイで、60年初頭をピークに数へ切れないほどのチベット人が死んだ。その数は10万~20万人と言われている。
1万人の収容所の中で生き残ったのがたったの数100人というところもあったという。その地獄そのものであった労働改造所の有様は、アマ・アデさんの証言本などの中に記述されている。
多くのものは餓死した。
ラオガイと聞けば、チベット人はすぐに語り継がれた昔の凄惨を極めていたころのイメージが浮かぶ。
大袈裟と言えばそれまでだが、チベット人にとって、そこは「生きては帰れぬ地獄のようなところ。或いは五体満足で出所することははできないところ」なのだ。。
法王事務所HPより
1999年9月17日
ワシントンDC(ラオガイ・リサーチファンデーション共催会議)
9月17日~19日、ワシントンで中国の強制収容所の生還者80人以上が集まり、中国強制収容所組織「ラオガイ」50年の歴史に関する会議が開かれた。史実を証言するために現存する収容所の多くの生還者が共に参加する事は今までに一度もなかったことである。
「傷がいまだに心の中で疼く」と中国強制収容所に2年半苦渋をなめた女性トン・イー。
94年ロバート・F・ケネディ人権賞受賞の魏京生はこう述べる。
「振り返って見ると、昼夜となく続く苦しみに仲間たちとどうして耐えることができたのかわからない。しかし、不当に死刑を宣告されている人たちがまだたくさんいる。同意なしで妊娠中絶をされる女性囚もいる。収容所に利益をもたらしているのに、毒の入った食事をとらされている数十万の囚人たち。シャワーをめぐって裸でとっくみあいの喧嘩をする女性囚たち。これが中国強制収容所の現実だ」
これらの確信ある証言は「ラオガイ」への関心を高め、こうした体験が確実に歴史に残るために下記の協議内容は編集され出版されることになるはずだ。基調講演は中国強制収容所に収監されていたハリー・ウーとロバート・F・ケネディ記念人権センターの創始者ケリー・ケネディ・クォモ、パネルディスカッションは以前囚人であったウェイ・ジグシェンと中国学者ペリーリンク、中国強制収容所生還者でチベット人活動家レティン・テンパ・ツェリン、ベトナム人収容所生還者でロバート・F・ケネディ人権賞受賞のドン・ヴェト・ホート、旧ソ連収容所生還者で作家のセムヨン・ヴィレンスキーで行われた。
労働改造所(ラオガイ)
中国の廉価な輸出品の多くは、刑務所や強制労働収容所(労改:ラオガイと呼ばれる労働改造所)でつくられている。自身も19年間労働改造所に入れられたハリー・ウー(呉弘達)氏が設立した「労改基金会」によると、現在中国全土には1000を超える強制労働収容所と、4~600万人の囚人がいると推定されている。しかし労働改造所に関する数字は極秘とされ、更に収容施設が突然閉鎖されたり、移転されるため全容の解明は不可能である。
収容者はほとんど無賃で収容所内の農場や工場、作業場で働かされ、日常的に受ける暴行や虐待、慢性的栄養不良、結核や肝炎の蔓延など、極めて劣悪な環境に置かれている。中国共産党の社会主義建設において、この大量の強制労働を効率的に利用した刑務所制度が果たした役割はかなり大きい。またこれほどまでに大規模、かつ多大な収益をあげるために刑務所制度を利用している国は、中国以外には存在しない。
それぞれの刑務所や労働改造所は、生産品を輸出する際にまったく別の企業名を名乗るため、知らず知らずのうちに先進国の人々は中国の蛮行を支援しているのである。当然日本に向けた輸出品の中には、労働改造所でつくられたものが含まれている。
また、きちんとした裁判を経ずに拘留できる、「労働教養」という保安処分があることも問題である。これは警察を主体とする判断によって、最高3~4年まで施設への収容が可能となっている。2003年のアムネスティのレポートによると、2001年初頭で約31万人が労働改造所に行政拘禁されており、「厳打」キャンペーンによってさらに増加していると見られる。
「これが中国の国家犯罪だ」 - 単行本 (2006/1/11) ジャムヤン・ノルブ 戸根 由
著者は米国に亡命したチベット人作家。冒頭で彼は言う、「人間として正しく生きようと思うのなら、”MADE IN CHINA" の製品は買ってはいけない」と。理由は外国に輸出される中国製品の多くは、(1)劣悪な環境の刑務所で囚人をコキ使って作られている。(2)中国国内に無数にある、労改(ラオガイ)とよばれる悪質な労働作業所で、だまされて連れて来られた農村出身の労働者等をコキ使って作られている。(3)軍隊内に労働作業所を作り、いたいけな兵士をコキ使って作られている。労働者はもちろん団結権などあるはずもなく、過酷な労働により怪我をしたり死んだりしても、国家に保障を受けられるチャンスはほとんどない。中国製品の国際的な競争力はこのような恐るべき実態の上に成り立っていると言うのだ。
その他、冤罪、拷問そしてデタラメ裁判で死刑囚を大量生産して、その哀れな死刑囚の処刑直後に臓器を摘出して売りさばく臓器移植のシステムが、警察-裁判所-軍の病院-臓器移植センターの間に確立しているという、身の毛もよだつお話に背筋も凍る。言論弾圧や宗教弾圧はあたりまえ。 さらに北朝鮮、パキスタン、イラン等に大量破壊兵器および通常兵器を輸出して世界のあちこちに不要な緊張をもたらす、とやりたい放題。
上海万博を通じて広く中国をアピールしているが、実体は第二次世界大戦以前のホロコースト並みの国内恐怖人権弾圧が行われているわけである。ラオガイが中国製品の安価の主たる理由であれば、人権を奪っているのは我々かもしれない。¥100ショップ、ユニクロ、洋服の青山など、我々が知らず知らず加担していることをよく知ろう、そして助けだす力を貸そうではないか!!!