前項中国による「チベット平和解放60 周年」式典 その1よりの続き
国際チベットネットワーク より転載
6. 言語:保護ではなく強制同化
中国:“全ての国民は独自の言語(話し言葉と文字言語)を自由に使用し、発展させる権利がある。
がカレッジや大学で専門的な資格を取得することも同じ様に困難です。
資格を取得できる学科をチベット語で教える教育施設はありません」
Tsering Dorje(ツェリン・ドルジェ), 教師 (6b).
教育言語を中国語に統一する青海省の教育改革案に反対して抗議行動を行いました。(6d).街頭標識は中国語で書かれ
、政府の公文書はほとんどが中国語のみで配布されます。またチベット語で、宛て先を書かれた手紙は配達されません。
7. 支配と観光化
1500万人の観光客が訪れると予測」(7a).
事実:北京はチベットの経済開発を進めるために、観光をメイン産業として何百万単位の国内と国外からの
観光客を予想しています。観光収入を最大にする傍ら、訪問者が何を見て何を理解するか、までを当局が管理します。
(理解するかさえ当局は管理しようとしています)。
ツアーガイドやホテルは当局が認可したチベットの歴史のみを伝えるよう圧力をかけられています。
それに背き、共産党の公式見解以外を観光客に伝えたガイドは、それが、たとえ日常会話的な気軽なものでも
、営業停止処分または懲役を受ける危険があります。1959年と2008年の蜂起記念である今年3月には、
最近オープンした高級ホテルグループ「セント レジス ラサ」を含め、数館の高級ホテルが存在するにも関わらず、
当局がチベット自治区全体に対して“宿泊施設の不足”を理由に
観光を禁止しています。(7b)
8.解放ではなく弾圧
チベット人はCPCの政策を深く理解することは不可能である。」
朱維群(Zhu Weiqun)中国共産党中央統一戦線部常務副部長 (8a).
民主改革を行い、何千年にも及んだ極めて暗黒で、残酷で、野蛮で、立ち後れた封建農奴制を徹底的に打破し、
まさに生き地獄を味会わせている”と形容しています。”(8c). つまり、北京政府のチベットに対する批判である
“農奴”の歴史は、典型的な植民地支配者の弁といえます。 侵略を肯定するために“野蛮”であったとしているのです。(8d).
は現在も続く中国による封建的なチベットの植民地支配の象徴です。
9. 自由ではなく宗教弾圧
強要されています。
約6千もの僧院が破壊され、今日では僧侶、尼僧の数が大幅に減少し、仏教の教育施設では厳しい
“愛国再教育”が行われています。(9b)2011年4月東チベットのキルティ僧院では、抗議行動をきっかけに
300人の僧侶が強制連行されました。(9c).1995年、当時6歳だったダライ・ラマが任命(承認)した
パンチェン・ラマ11世が強制失踪させられたまま、現在も消息不明です。1999年、カルマパ17世も
チベットを脱出せざるを得ないと感じ亡命しました。
10. 第3極の危機
国務院常務会議(State Council statement) (10a).
事実:地球上で、第3番目に多い氷河と淡水を貯蔵することから、地球の第3極と呼ばれるチベットは、
温暖化が世界の他の場所よりも2倍の速度で進んでいます。高原から溶けだした氷河は水資源を危うくし、
下流域で洪水を起こし、高原の砂漠化や、無秩序な資源の採掘は環境破壊を進めています。(10c).こうした批判にも関わらず、
中国は、さらに多くのダムを造り続けています。それにより下流域の住民の生活に必要な安定した水の供給を脅かしています。
この水問題に関して中国は、自身の政策を省みず、遊牧民がその原因だとしています。
11. 中国による植民地化
人材もそれに伴って西に流入する。」
李德洙(Li Dezhu)国家民族事務委員会主任(当時) 11a).
事実:1980年代の「改革開放」政策により、中国からの労働者がチベットに押し掛けました。
2002年には当局がインタビューで、中国からの移民を奨励していることを認め、ラサのチベット人は近く、
少数派となるであろうと語り、中国からの移民の増加は安定と発展を導くための経済開発を遂行するためと述べています。
(11c).植民地下のチベット人の生活は絶えず差別と排除にさらされています。
中国:「全ての遊牧民が今世紀末までに遊牧生活を終えること」斉景発(Qi Jingfa)中国農業部副部長1998 (12a).
存続の危機に面しています。(12c).
2000年までに遊牧生活を終わらせるには至りませんでしたが、「西部大開発」が始まって以来、
2011年1月には、当局は143万人の農民と牧民が新しい家に移住したと発表しています。 (12d)
政策の施行により柵で囲まれた牧草地は過放牧となり、砂漠化がすすんでいます。(12e).
強制定住は経済的、社会的な問題を生み (12f), さらなる混乱を招く可能性があります。
13. チベットの鉄道化
中国:「2010年度のチベットにおける投資予算は160億元を計上し、その後46%ごとの年間上昇とする。
この地域の空港、高速道路や鉄道等のインフラを促進する。」ペマ・ティンレー Padma Choling
「経済発展の段階を一気に引き上げることが、我々の目的ではあるが、社会安定を維持することも
非常に重要である」 Zhang Qingli(張慶黎)(13a).
事実:中国のチベットへの金融投資額は膨大です。しかし、その多くが巨大なインフラ整備におかれ、
顕著な例では2006年7月に開通したゴルムド・ラサ鉄道があります。これにより、中国からの移民が増大した結果
、地域のチベット人が地元経済からさらに排除されることとなり、中国の当初の目標であったこの地の‘安定’ではなく、
チベット人住民の反感を募らせることとなりました。同鉄道はさらに迅速な軍事派遣を可能にし、
14. 水源の独占
Zhang [Qingli] (張慶黎)”はチベットにおける水資源インフラの開発の緊急性を強調しました。(14a).
これは世界最大規模の水力発電計画事業といえます。(14b).
そして、生態系が世界でもっとも豊かなこの地域への自然破壊が、心配されています。(14e).
15. 長寿化?反体制派はその逆
中国:「チベット人の寿命は解放前の35.5歳のほぼ2倍の67歳になった。2006年から2010年の間に17億元が
事実:乳児と幼児の死亡率は世界でも最高レベルです。強制定住を余儀なくされた遊牧民は、
約束されたはずの医療提供は、ほとんど与えられておらず、ほとんどのチベット人にとって医療は手が届かない存在です。(15b).
ラサに増えた売春率がエイズの感染を懸念させます。政府に対して反対意見を持てば、必ず寿命への影響は大である。
抗議行動に参加して怪我をした者は当局の監視を怖れ医療処置を受けることを拒み、拘束中の死坊は珍しくありません。
2011年初め、2008年の抗議行動に参加したとして逮捕されたラブラン僧院の僧侶が拘束中に拷問死するといった
事件がありました。
(15c).
続下段へ