パルデンの会

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中国による「チベット平和解放60 周年」式典 その2


前項中国による「チベット平和解放60 周年」式典 その1よりの続き





国際チベットネットワーク より転載

6. 言語:保護ではなく強制同化
中国:“全ての国民は独自の言語(話し言葉と文字言語)を自由に使用し、発展させる権利がある。
中華人民共和国憲法 第4章 (6a)
事実:「中国語で教育を受けていないチベット人に高収入の職業を得ることは難しく、チベット語で教育を受けた生徒
がカレッジや大学で専門的な資格を取得することも同じ様に困難です。
資格を取得できる学科をチベット語で教える教育施設はありません」
Tsering Dorje(ツェリン・ドルジェ), 教師 (6b).
2008年以降、中国はチベット語の使用を阻害してきました。(6c).2010年10月、1万人のチベット人学生と教師が、
教育言語を中国語に統一する青海省の教育改革案に反対して抗議行動を行いました。(6d).街頭標識は中国語で書かれ
、政府の公文書はほとんどが中国語のみで配布されます。またチベット語で、宛て先を書かれた手紙は配達されません。
中国政府によるチベット語廃絶の努力にも関わらず、チベットではチベット語文化を守る運動が起こっています。(6e).
 
7. 支配と観光化
中国:「チベットの観光収入は226.2億元に達し、およそ年間30%の上昇…地域の観光事業局は2015年には
1500万人の観光客が訪れると予測」(7a).
事実:北京はチベットの経済開発を進めるために、観光をメイン産業として何百万単位の国内と国外からの
観光客を予想しています。観光収入を最大にする傍ら、訪問者が何を見て何を理解するか、までを当局が管理します。
(理解するかさえ当局は管理しようとしています)。
ツアーガイドやホテルは当局が認可したチベットの歴史のみを伝えるよう圧力をかけられています。
それに背き、共産党の公式見解以外を観光客に伝えたガイドは、それが、たとえ日常会話的な気軽なものでも
、営業停止処分または懲役を受ける危険があります。1959年と2008年の蜂起記念である今年3月には、
最近オープンした高級ホテルグループ「セント レジス ラサ」を含め、数館の高級ホテルが存在するにも関わらず、
当局がチベット自治区全体に対して“宿泊施設の不足”を理由に
観光を禁止しています。(7b)
 
8.解放ではなく弾圧
中国:「チベットの平和的解放なくして、中国共産党人民解放軍への入党なくして、被支配層の農奴である
チベット人はCPCの政策を深く理解することは不可能である。」
朱維群(Zhu Weiqun)中国共産党中央統一戦線部常務副部長 (8a).
事実:中国共産党は”チベットの各民族人民を指導して、ダライ・ラマ集団(8b)の武装反乱を平定し、
民主改革を行い、何千年にも及んだ極めて暗黒で、残酷で、野蛮で、立ち後れた封建農奴制を徹底的に打破し、
代々搾取にあえいできた百万の農奴を完全に解放した”と語りました。これに対し2009年3月、ダライ・ラマ
中国政府のチベット政策について、“チベットの人々を深い苦しみと困難の淵に落としいれ、
まさに生き地獄を味会わせている”と形容しています。”(8c). つまり、北京政府のチベットに対する批判である
農奴”の歴史は、典型的な植民地支配者の弁といえます。 侵略を肯定するために“野蛮”であったとしているのです。(8d).
侵略を受ける前のチベットにおいて、既に多くのチベット人は彼等の制度の中の封建制に気付き、ダライ・ラマは改善を始めていました。
現在、チベット亡命政府民主化されたのに対し、2009年に制定された「チベット百万農奴解放記念日
は現在も続く中国による封建的なチベットの植民地支配の象徴です。
 
9. 自由ではなく宗教弾圧
中国:「全てのチベット人は信教の自由を完璧に保証する政策に守られ、その自由を謳歌している」
秦宜智(Qin Yizhi)中国共産党ラサ市委員会書記  (9a).
事実:中国の侵略後、チベット仏教はその中心的存在であるダライ・ラマへの忠誠を否定するよう
強要されています。
約6千もの僧院が破壊され、今日では僧侶、尼僧の数が大幅に減少し、仏教の教育施設では厳しい
“愛国再教育”が行われています。(9b)2011年4月東チベットのキルティ僧院では、抗議行動をきっかけに
300人の僧侶が強制連行されました。(9c).1995年、当時6歳だったダライ・ラマが任命(承認)した
パンチェン・ラマ11世が強制失踪させられたまま、現在も消息不明です。1999年、カルマパ17世も
チベットを脱出せざるを得ないと感じ亡命しました。
中国政府は今ではトゥルク(化身ラマ)さえ政府の認可が必要だとしています。最近のダライ・ラマの発言
(「転生制度自体を廃止してもよい」)を受けこの無宗教政権は「ダライ・ラマは転生すべきだ」とさえ主張しているのです。(9d).
 
10. 第3極の危機
中国:「」チベット高原環境保護を強化することは“国境地方の安定と民族団結、そして豊かな社会を築くために重要である。」
国務院常務会議(State Council statement) (10a).
事実:地球上で、第3番目に多い氷河と淡水を貯蔵することから、地球の第3極と呼ばれるチベットは、
温暖化が世界の他の場所よりも2倍の速度で進んでいます。高原から溶けだした氷河は水資源を危うくし、
継続的な生業を危険にさらし、河川下流に暮らす10億人の生活を脅かしています。(10b).中国がチベット
占領して以来、その環境政策は地域一帯の飢饉を引き起こし、チベットで過度の森林伐採が行われた結果、
下流域で洪水を起こし、高原の砂漠化や、無秩序な資源の採掘は環境破壊を進めています。(10c).こうした批判にも関わらず、
中国は、さらに多くのダムを造り続けています。それにより下流域の住民の生活に必要な安定した水の供給を脅かしています。
この水問題に関して中国は、自身の政策を省みず、遊牧民がその原因だとしています。
 
11. 中国による植民地化
中国:「『西部大開発』(西部大開発http://ja.wikipedia.org/wiki/西部大開発)を実行し、開発を促進することで、
人材もそれに伴って西に流入する。」
李德洙(Li Dezhu)国家民族事務委員会主任(当時) 11a).
事実:1980年代の「改革開放」政策により、中国からの労働者がチベットに押し掛けました。
2000年に行われた、150のチベット自治県を含むチベット高原全体の人口統計では、約1000万人の中から軍人と
出稼ぎ労働者を除いた540万人がチベット人で、残りは漢民族とそのほかの中国人です。 (11b).
2002年には当局がインタビューで、中国からの移民を奨励していることを認め、ラサのチベット人は近く、
少数派となるであろうと語り、中国からの移民の増加は安定と発展を導くための経済開発を遂行するためと述べています。
(11c).植民地下のチベット人の生活は絶えず差別と排除にさらされています。
 
中国:「全ての遊牧民が今世紀末までに遊牧生活を終えること」斉景発(Qi Jingfa)中国農業部副部長1998  (12a).
事実:チベットでは少なくとも225万人がチベット社会独特の遊牧または半遊牧生活を送っていました。
(12b).中国は支配下にあるチベット遊牧民を’野蛮’であるとし、彼等の生活様式は中国政府の農業集団化政策による
存続の危機に面しています。(12c).
2000年までに遊牧生活を終わらせるには至りませんでしたが、「西部大開発」が始まって以来、
バラック建てのコンクリートで作られたキャンプへチベット人強制移住させる計画は、さらに勢いを増しています。
2011年1月には、当局は143万人の農民と牧民が新しい家に移住したと発表しています。 (12d)
気候変動の世にあって、‘環境保護’を理由に遊牧民から奪った土地はダム開発や採掘作業のために使用されています。
何千年もの間、チベット遊牧民達は高原で継続的に生きてきました。現在は、中国の‘牧草地を農地へ改造’する
政策の施行により柵で囲まれた牧草地は過放牧となり、砂漠化がすすんでいます。(12e).
強制定住は経済的、社会的な問題を生み (12f), さらなる混乱を招く可能性があります。
 
13. チベットの鉄道化
中国:「2010年度のチベットにおける投資予算は160億元を計上し、その後46%ごとの年間上昇とする。
この地域の空港、高速道路や鉄道等のインフラを促進する。」ペマ・ティンレー Padma Choling
「経済発展の段階を一気に引き上げることが、我々の目的ではあるが、社会安定を維持することも
非常に重要である」 Zhang Qingli(張慶黎)(13a).
事実:中国のチベットへの金融投資額は膨大です。しかし、その多くが巨大なインフラ整備におかれ、
コミュニティーが必要とするプロジェクトはないがしろにされており、貧しいチベット人のためには使われません。
顕著な例では2006年7月に開通したゴルムド・ラサ鉄道があります。これにより、中国からの移民が増大した結果
、地域のチベット人が地元経済からさらに排除されることとなり、中国の当初の目標であったこの地の‘安定’ではなく、
チベット人住民の反感を募らせることとなりました。同鉄道はさらに迅速な軍事派遣を可能にし、
遊牧民生活様式チベットの自然資源の両方を破壊しています。(13b).
 
14. 水源の独占
中国:「チベットは豊かな水資源と水力発電資源に恵まれているが、水資源こそがチベットの開発を妨げている要因である」
Zhang [Qingli] (張慶黎)”はチベットにおける水資源インフラの開発の緊急性を強調しました。(14a).
事実:チベットにおける、その他の開発事業と同様にダム開発に関する事業決定権はチベット人に与えられていません。
近年までチベットは、世界最大のダムの無い河川、ヤルンツァンポ川(Yarlung Tsangpo)を保有していました。
2010年に中国は 蔵木(ザンム) 水力発電所を含む5箇所以上のダムをこの川の中流に建設する計画を発表しました。
これは世界最大規模の水力発電計画事業といえます。(14b).
下流域諸国の安全で安定した水資源の提供への影響と、(14c) 地震活動のある地域へダムを建設する危険(14d) 、
そして、生態系が世界でもっとも豊かなこの地域への自然破壊が、心配されています。(14e).
15. 長寿化?反体制派はその逆
中国:「チベット人の寿命は解放前の35.5歳のほぼ2倍の67歳になった。2006年から2010年の間に17億元が
チベット人農民と遊牧民のための無料の医療を提供するために使われた」 (15a).
事実:乳児と幼児の死亡率は世界でも最高レベルです。強制定住を余儀なくされた遊牧民は、
約束されたはずの医療提供は、ほとんど与えられておらず、ほとんどのチベット人にとって医療は手が届かない存在です。(15b).
ラサに増えた売春率がエイズの感染を懸念させます。政府に対して反対意見を持てば、必ず寿命への影響は大である。
抗議行動に参加して怪我をした者は当局の監視を怖れ医療処置を受けることを拒み、拘束中の死坊は珍しくありません。
2011年初め、2008年の抗議行動に参加したとして逮捕されたラブラン僧院の僧侶が拘束中に拷問死するといった
事件がありました。
(15c).
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