チベット亡命政府の「新首相」就任、中国統治を植民地主義と批判
インド北部のダラムサラで8日、チベット亡命政府の新首相に選出されたロブサン・センゲ氏(43)の就任式が行われた。9日付の台湾紙、蘋果日報によると、センゲ氏は演説で、中国統治下のチベットは「社会主義でもなく、植民地主義があるだけ」と厳しく批判し、ダライ・ラマ14世(76)の「中間路線」を引き継いでチベットの完全自治を求める方針を強調した。だが中国は一貫してセンゲ氏の合法性を認めておらず、対話を拒否している。
米ハーバード大学の研究員だったロブサン・センゲ氏は、4月に世界中の亡命チベット人による選挙で亡命政府首相に選出された。3月にダライ・ラマ14世が「政治的引退」を表明してから民主的に選ばれた初の亡命政府首相となる。
蘋果日報によると、センゲ氏は演説で、「中国統治下のチベットで行われている制度は、社会主義ではなく、植民地主義だ」と批判。中国当局がチベットに「社会主義の楽園」を築いたと宣伝していることに対し、現在のチベットでは漢族が経済の70%、公共部門の50%以上の職位を占めており、チベット人は高等教育を受けていても40%が失業に直面していると指摘した。
「われわれは中国人民や、中国という国に矛先を向けているわけではない。反対したいのは中国政府がチベットで行っている強硬な政策だ」と指摘し、ダライ・ラマ14世の「中間路線」を堅持し、チベット人のために完全な自治を獲得する方針を強調した。
また国際社会に対し、「われわれが公正、自由、尊厳と平等を勝ち得ることができるよう助けてほしい。同時にチベット問題を平和的に解決できるよう北京を説得してほしい」と呼びかけた。(編集担当:阪本佳代)