パルデンの会

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中国の生命保険会社も危機水域の一歩手前にきた 会社格付け低下、国有企業劣化の波のなか、支払い能力に疑問符

 
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 平成25(2013)年9月10日(火曜日)
      通巻第4017号
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 中国の生命保険会社も危機水域の一歩手前にきた
  会社格付け低下、国有企業劣化の波のなか、支払い能力に疑問符
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 英誌エコノミストは「中国の銀行は所謂『銀行』ではない」 と書いた。自由競争がなく、金利の自由化がなく、 おまけに為替レートは準固定。外資銀行は制限が多くて、 自由な銀行業務ができていない。

 同様に中国の保険会社は所謂『保険会社』なのか?
 2000年頃まで、中国に生命保険はなかった。共産党は「 ゆりかごから墓場まで」面倒をみるタテマエになっていたから、 老後の不安もなかった。 生命保険が一般化するや一大ブームとなって、トップの中国人寿、 二位の平安保険など、怒濤の如くに設立され、 契約者は引きも切らず、 たちまちのうちに世界有数の生命保険会社に成長した。

 しかしもともとの設立動機が怪しく、 株式会社として設立されて株式市場に上場し(日本は長い間、 保険会社は相互会社で株式上場はみとめられなかった)、 増資につぐ増資を繰り返し、不動産投資、 株式投資を展開してきた。

こうなると株安となれば、財務力が脅かされ、 不動産価格が下落すれば簿価が下がり、 とても契約者に保険満期のおりに支払いが出来なくなるのは火を見 るより明らかだった。

 あまつさえ汚職、腐敗の温床とされ、とりわけ業界第二位の「 平安保険」 は温家宝前首相夫人との黒い癒着が前々から指摘されてきた。 平安保険本社ビルのワンフロアを温夫人が占有していた。

 いま各社のソルベンシーマージン比率は以下の通り( 数字は日本経済新聞9月6日)。
 中国人寿      238
 平安保険      163
 太平洋保険     282

 ソルベンシーマージン比率というのは、 保険金支払い能力を意味し、総資産+保有株式含み益、 内部留保などを総合し、それが100に近い数字は「危機水域」 に限りなく近くなったという悪い経営状態を意味する。
すなわち保険金支払い能力が不能になり、 100を切ると新規支店開設などが認められなくなる。げんに「 幸福人寿保険」(北京市)などは13年三月に100% を割り込んで支店増設不許可となった。

 そのうえ、 保険料自由化へのうねりが始まって保険会社が自由競争にちかくな り、 加えて少子化による社会情勢の激減から保険加盟者が減少に転じる 。


▼企業格下げも急増中だ

 36社から78社へ。しかもことし後半、 おそらく100社を超える。
何の数字か?
中国企業社債格下げの数である。 中国の格着け期間は証券監査委員会の許可を得て設立されているが 対象となる社債発行企業は3233社にものぼっている。

すでに倒産寸前の民間企業には容赦なく格付けをBBからCCCへ とランクダウンしてきた中国の格付け機関は、 国有企業の社債にも厳しい評価を下すようになった。
2012年に僅か36社だった格着け低下は、 ことし2013年八月までに78社、 年内におそらく百社を越えるだろうと予測される。

とうに生産停止、工場閉鎖(江蘇省旺達製紙など) の企業もあるが、国有企業は銀行融資を受けられるので、 あまり問題視されなかった。その国有企業、 地方政府経営企業にもメスがはいり、 たとえば重慶交通旅遊投資集団などが冷酷に格下げ。

設備投資過剰、生産激減、 景気低迷による売掛け金の回収不能などの状況に陥っていることが 第三者的な判断によっても実証されたことを意味する。