パルデンの会

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アフリカの影に 中国あり! 影でアフリカ人を 助ける?抹殺? 無視?



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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成25(2013)年12月24日(火曜日)
通巻第4097号   <増大号>
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南スーダン内戦が激化し国連監視団にも犠牲者
日本、国連経由で韓国軍に弾薬を緊急供与。危機は目の前にきた
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スーダンは「ダルフールの虐殺」で世界に蛮族の印象を与えたが、虐殺の主体はスーダン政府軍。武器を背後で提供していたのは中国だった。
中国はスーダン南部に石油鉱区利権を保持し、「グレート・ナイル・パイプライン」と呼ばれる長距離パイプラインを砂漠に敷設して輸出港へ運び、日量30万バーレルの原油スーダンから輸入してきた。

そのパイプラインを防衛するために数万の中国兵が送られたという説も有力だった。
カントリー・リスクを考慮せず、紛争地へ武器とバーターで乗り込み、石油を有利に買い付ける凄まじき荒技、しかも欧米メジャーに挑戦するわけだから、日本はちょっと中国の芸当はできまい。

2011年7月、スーダンは南北にわかれ、南スーダンが独立した。
慌てたのは中国だった。油田の場所は南スーダン、パイプラインは北へのびて輸出港は(北)スーダン側。スーダンの首都はハルツーム南スーダンはジュバ。独立時、胡錦涛特使としてスーダン入りした劉貴今(中国アフリカ事務特別代表)は「南スーダンともうまくいける」と表明していた。

南スーダンに位置する「ヘグリグ油田」はスーダン産出全石油の半分を生産する。
予想通り、南スーダンは独立後、部族対立が激化し、内戦状態に陥った。2013年8月に西部のダルフールでおきた部族衝突では百名前後が死亡、近隣の金鉱区をめぐる部族対立の結果だった。

東に位置するジョングレー州アコボでも部族衝突が発生し、およそ五百名が死亡した。キール大統領派とマシャール前副大統領派の激突で、キール大統領派はティンカ族出身、副大統領はヌエル族である。宿命の対決である。

12月18日、同所でふたたび軍事対立がありヌエル族の若者二千名が、ティンカ族テントを襲撃し武器を奪ったため、警備に当たっていた国連軍の印度兵ふたりが死亡した。俄に緊張が高まった。

さてわが自衛隊は、この近くに駐屯しているのである。
2012年1月、政府は国連ミッションに基づき、スーダンへの自衛隊派遣を決めた。この派遣は大がかりなもので、C130輸送機四機、空中給油機、大型輸送機(B747)、輸送艦おおすみ」には装甲車を含む車両160両、機関銃5,小銃297,拳銃84,合計350名が駐屯し首都のジュバで復旧工事に当たっている。自衛隊を警備しているのはルアンダ軍だ。


カダフィ体制が崩壊したリビアには36000名の中国人がいた

リビアのケースを思いおこしてみよう。
2011年1月、チュニジアで「ジャスミン革命」が勃発し、独裁者ベン・アリ大統領はサウジアラビアへ逃亡した。
アラブの春」のはじまりだった。

同年2月、隣のリビアに飛び火した「アラブの春」は迅速な勢いで反政府武装集団を勢いづかせ、周章狼狽した中国は、周辺国からクルーズ船、観光船、チュニジアとエジプトからは大型バス130台もチャーターし、そのうえ輸送機イリューシン76機を四機、護衛艦「徐州」などを派遣し、リビアに駐在していた中国人35860名を救援した。

カダフィと取引して中国は武器供与と引き替えに、75の中国企業が50のプロジェクトをリビア国内いたるところで推進していた。
中国の投資は合計180億ドルの巨額にのぼり、石油、鉄道、道路、港湾、通信のインフラ建設を請け負っていた。
内戦突入とともに中国企業は強盗団にしばしば襲われた。

同年8月、カダフィ政権が軍事的に不利となるや、中国は「カダフィとは友人ではない」と言い放って、国連決議を棄権した。

同年9月首都トリポリ陥落、10月20日、カダフィ銃殺の後も、国内はすぐにはまとまらず新政権は国民の全面的な支持を得ていない。新政権はカダフィと密接に繋がっていた中国に不信感を抱いており、中国は本格的にリビアに回帰できていない。

リビアは暫定政権の内部対立、民兵武装解除が進まず、治安が極度に悪化しているが、油田にもどっているのは仏トタル社、伊エニ社。リビア石油は内乱前の165万バーレル(日量)にはいたらないまでも、150万バーレルに回復している(13年11月)。
空爆に貢献した国々はちゃんと利権を得ていたわけだ。

けっきょく、リビアカダフィ政権を倒したのはNATO空爆である。
リビア反政府武装組織が束になってかかっても、NATOの支援がなければカダフィは倒せなかった。その点でもリビア新政権は欧州企業の復帰を大歓迎しても、中国企業の迅速な回帰には同調しないだろう。


▼シリアはどうなるのか、シリアにおける中国企業は?

シリア内戦はスンニ派シーア派の代理戦争の赴きもあるが、欧米は「人道、人権」を理由に内政に干渉し、軍事的に反政府勢力を支援して空爆をおこなうか、ミサイル攻撃を展開する手はずだった。
オバマ政権が口実としたのは「化学兵器が使われた懼れがある」ということで、しかし、それはアサド政権が使ったのか、反政府勢力の謀略を明確にできなかった。

もとより2011年10月、国連のシリア制裁決議にロシアと中国は反対した。
2012年の人道問題への介入でも安保理事会でロシアと中国は反対した。シリアは1956年からロシアとは親密な関係にあり、シリアの港をロシアは黒海艦隊に寄港地として燃料補給ならびに艦船の補修基地にしてきた関係がある。ロシアの軍港咀嚼はシリアへのミサイル提供と取引された。

中国はシリアにスカッド・ミサイルや武器を供与し、かわりに石油鉱区を3億ドル投資して開発してきた。したがってシリアの独裁者アサドが崩壊すれば中国もロシア同様に困るのである。

アサド政権は歴代、ロシアを政治的保護者として、少数派アラウィー派が権力を握る。社会主義を標榜するバース党の独裁政治である。
この党はイラクの前大統領サダム・フセインと兄弟党である。

2013年8月、米国はシリアにトマホーク・ミサイルをお見舞いする準備を整えていた。ヘーゲル国防長官は「いつでも準備は出来ている」と発言し、キャメロン英首相は積極的な賛意を述べていた。

ロシアと中国が猛烈な反対を展開し、また英議会がキャメロン提案を否決し、同時にサウジアラビアなどが、「アサド崩壊はつぎにサウジ、クエート、カタール、UAEの王政を打倒する勢力を助長する」として賛成しなかったため、オバマ政権は面子をつぶされ、ミサイル攻撃は沙汰止みとなった。

中国はかろうじてシリアにおける石油利権を維持したが、今後どうなるか誰も分からない。


パキスタンは中国の同盟国だが。。。

2007年5月、エチオピアの石油鉱区にある中国企業のサイトがゲリラに襲われ、74名が殺害されたが、うち9名が中国人だった。
同年8月、パキンスタンのペシャワール地域で中国人女性が殺害された。翌年1月、パキスタン国内で四名。13年6月、ギルギットで中国人三名が殺害された。パキスタンは中国の同盟国である。

ともかくかように中国の評判は最悪で、つねにテロとの戦いにあるが、それでも構わずにアフリカ諸国へ進出を繰り返す。アフリカ全体にいる中国人は二百万人を超える。
南スーダンの内戦は中国の資源戦略の今後を問う。