パルデンの会

チベット独立と支那共産党に物言う人々の声です 転載はご自由に  HPは http://palden.org

安倍さんの声明文を推敲する段階で、既にアメリカ政府に伝えられていたのではないかとまで推測する

勝谷誠彦氏の有料ブログより

 少し前までは「決められない政治」に日本人はうんざりしていたが、安倍さんの場合は「決める政治」からもう一歩踏み出して「仕掛ける政治」になっている。支那朝鮮、それに加えてアメリカにも今回、こちら側から「奇襲」をかけたと言っていい。もとより奇襲は日本人の得意とするところだが、戦後長らく萎縮し封印されてきた。
 奇襲に必要なのは「名分」である。相手の油断を突くのは戦の常道だが、こちらが卑怯の誹りを歴史に残してはいけない。大東亜戦争での真珠湾への奇襲が残念なのは、外務省の怠慢によって宣戦布告が遅れたことをずっと非難され続けていることだ。そういう意味で、安倍さんは考え抜いていた。産経新聞はそれを見出しにちゃんと押さえている。
 

<安倍首相が靖国神社に参拝/政権1年 就任後初/「恒久平和の誓い、お伝えした」>

 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131226/plc13122611340014-n1.htm
 <安倍晋三首相は政権発足から1年となる26日午前、東京・九段北の靖国神社に参拝した。首相による靖国参拝は平成18年8月15日の小泉純一郎首相以来、7年4カ月ぶり。首相は第1次政権時代の不参拝について、かねて「痛恨の極み」と表明しており、再登板後は国際情勢などを慎重に見極めながら参拝のタイミングを探っていた。首相は参拝後、記者団に「この1年の安倍政権の歩みをご報告し、二度と再び戦争の惨禍によって人々が苦しむことのない時代をつくるとの誓い、決意をお伝えするためにこの日を選んだ」と語った。>
 参拝そのものも大切だが、そのあとの「談話」こそが今回の真骨頂だと言っていいだろう。支那朝鮮が因縁をつけてくるたびに、これまでわが国は「個別撃破」をしてきた。「局地戦」であり、それも受け身だったと言っていい。あちら側は勝手に攻撃場所を見つけられるのだからやりたい放題だ。しかも政府なのか民間なのかも不明な「便衣隊」のような連中まで繰り出してきた。
 今回、はじめてわが国は正規軍を出して主導権をとったのである。と同時に安倍さんは声明文で戦場をきちんと指定した。うちの主張はこうですよ。さあ、どこを攻撃してきますか、と宣言したのだ。さきほど触れた「名分」つまり宣戦布告である。

 その文章を見ておこう。

 <安倍首相談話「恒久平和への誓い」(全文)>


 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20131226-OYT1T00598.htm
 <今の日本の平和と繁栄は、今を生きる人だけで成り立っているわけではありません。愛する妻や子どもたちの幸せを祈り、育ててくれた父や母を思いながら、戦場に倒れたたくさんの方々。その尊い犠牲の上に、私たちの平和と繁栄があります。
 今日は、そのことに改めて思いを致し、心からの敬意と感謝の念を持って、参拝いたしました。>
 これこそが「道徳」なのである。なんとかノートのようなくだらない教科書だか副読本だかを読ませるよりも、心ある先生方は今日、子どもたちにこの安倍さんの声明を学ばせればいい。一方でこちらは「社会」の「憲法」だ。憲法にの精神である平和主義をこれほど明確に語った首相はいない。
 <日本は、二度と戦争を起こしてはならない。私は、過去への痛切な反省の上に立って、そう考えています。戦争犠牲者の方々の御霊を前に、今後とも不戦の誓いを堅持していく決意を、新たにしてまいりました。>
 ただし。安倍さんはここで巧妙な仕掛けをする。支那朝鮮を特別扱いはしないと言い切るのだ。
 <アジアの友人、世界の友人と共に、世界全体の平和の実現を考える国でありたいと、誓ってまいりました。>
 極道やチンピラの因縁は聞きませんよ。町内みんなで仲良くしていきましょう、ということである。極道やチンピラはムカッとしているに違いない。そしてダメ押し。
 <中国、韓国の人々の気持ちを傷つけるつもりは、全くありません。靖国神社に参拝した歴代の首相がそうであった様に、人格を尊重し、自由と民主主義を守り、中国、韓国に対して敬意を持って友好関係を築いていきたいと願っています。>
 「いやいや、そっち側のみなさんも、更生して下さいよ。『自由と民主主義』っていいもんですよ」。わははははは。
 なかなか練られた、戦略的な文章である。これを読むと、村山談話だの河野談話だのがいかに稚拙で、つけこまれやすいものだったかが、よくわかる。あんなものは、これで上書きされて吹っ飛んだのではないか。英文を同時に発表したのもいい。

 その極道とチンピラだが、意外とまだ反応が大人しい。むしろ国内の朝日新聞をはじめとする売国マスコミの罵詈雑言の方がすさまじいほどだ。あまりに下品で、日記が腐るといけないので引用もしないが、今朝の天声人語などは、自国の首相をここまで貶めて書いて恥ずかしくないのだろうか。社説から何から、もはやヒステリー状態だ。
 「奇襲」は相手が予想もしていないタイミング、もしくは何らかの理由で脆弱化しているところを狙うのだが、支那と韓国はまさにそういう状況にあった。支那は、まさか建国の父の記念日に奇襲を受けるとは思っていなかったろう。

 <毛沢東生誕120年迎えた中国、記念行事は規模縮小/左派の動揺受け


 http://jp.reuters.com/article/wtInvesting/idJPL3N0K508320131226
 <中国は26日、中華人民共和国建国の父とされる毛沢東の生誕から120年を迎えた。しかし、習近平政権が打ち出した経済改革計画が左派(保守派)を動揺させていることもあり、記念行事の開催規模は全国的に縮小されたもようだ。>
 面子を潰すのが目的ではない。記事にもあるように、国内の権力争いの上で、まことに微妙な時機だったのだ。指導部は外向きの対応の即決がしにくかっただろう。
 韓国も同じである。ここでは「銃弾1万発」がきいている。ご存じのように朴槿恵大統領は今に至るまで提供に対する謝意を示していない。ところが現場の部隊は感激してお礼を言ってくれている。そもそも自衛隊と韓国軍は仲が悪くはないのである。逆に、軍の内部で朴大統領に対する批判が急速に高まっているらしい。経済の不振などもあって、韓国も外とケンカしている場合ではないのだ。
 そのタイミングの「奇襲」だった。

 さて、アメリカである。外交の機微はここにあると言っていい。朝日などは駐日米大使館が批判的なコメントを出したと大喜びをしている。

 <靖国参拝、在日米国大使館の声明全文>


 http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312260575.html
 <日本は大切な同盟国であり、友好国である。しかしながら、日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに、米国政府は失望している。>
 しかし、声明は結語でこう言う。
 <米国は、首相の過去への反省と日本の平和への決意を再確認する表現に注目する。>
 これ、私はデキレースだと思うんです。<失望>の文字に反日マスコミは喜んでいるが、冒頭と結語で日本との連帯を確認している。また、コメントの掲載があまりに早く、大使館を通じて出された。本来ならばもう少し時間をおいて、本国の報道官が喋るはずだ。私は、安倍さんの声明文を推敲する段階で、既にアメリカ政府に伝えられていたのではないかとまで推測する。安倍声明文と、今回の批判声明文とは呼応しているのである。
 支那朝鮮を「正規戦」の戦場に引きずり出すことが今回の参拝の目的だ、とさきほど書いた。「堂々とやろうぜ」だ。実は、アメリカに対しても安倍さんはそれを仕掛けたのだ。アメリカは支那や韓国と関係悪化についてずっとグジグジ言ってきた。日本は日本で尖閣でコトがあった時に、アメリカは本当に助けてくれるのか、と心配していた。それやこれやで、靖国参拝という「内政」であり「国家の尊厳を護る行為」になかなか踏み切ることができなかった。だったら、いちどアメリカに叱られてもいい、堂々とやろう、というのが今回の安倍さんの行動なのだ。
 しかし、そのための根回しはまことに慎重に行われてきた。振り返ってみれば、この12月26日という「締め切り」のために逆算して、かなり無理をしてまで環境を整えてきたのがわかる。私でも批判した特定秘密保護法の強引な成立しかり。NSCの創設と即座の運営しかり。そしてダメ押しが辺野古への移転の決定だ。こうやって並べてみればわかるように、すべてはアメリカの「懸念」を払拭するために、長年の宿題を一気に片づけたのだ。やることをやっておいて「では、これだけは許してね」ということである。
 アメリカも一枚岩ではない。親日派も、内部を説得するのに苦労しているのだ。そうした人々の背中を支えるためにも、一連の「決定」は必要だった。
 当面、本当の敵との戦いは「内戦」になるだろう。反日売国マスコミは「最後の戦い」くらいの覚悟でやって来る。安倍さんにはくれぐれも身内の醜聞に気をつけてほしいと申し上げたい。卑劣な朝日などは、あらゆる手段をとってくるはずである。


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