「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成26(2014)年4月18日(金曜日)弐
通巻第4209号
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汚染された中国の農地はメリーランド州の面積に匹敵
農地はカドニウム、ニッケルそして砒素で汚染され、食料生産も危機に直面
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4月17日に発表された中国環境保護部の報告書は衝撃的である。
中国の農地の五分の一が、急速な工業化の結果、毒性のつよい化学薬品、農薬などで汚染され、次の農業生産が危ぶまれているという。
以前から公害反対運動は中国全土で拡大してきた。汚染された河川の水を生活飲料としてきた農村などでは、奇病が蔓延し、電池工場や化学薬品、染料や農薬工場付近では夥しいデモが警官隊と衝突を繰り返した。
報告に拠れば中国の土地全体の16・1%が汚染され、農地では全体の19・4%が汚染されている。この調査は環境保護部が2005年4月から13年度末まで8年をかけて、およそ240万平方マイルの土地を調べた結果である。
主な原因とは農薬、汚染水、殺虫剤の大量使用などが挙げられたが、とくに汚染された農地のうち82・8%で、毒性の強いカドニウム、ニッケル、砒素が発見され、その総面積は米国のメリーランド州全体に匹敵する。
PM2・5問題は北京や上海だけのはなしではない。中国全土の大気汚染は偏西風にのって朝鮮半島から日本にまで及んでいる。
「愛国主義による中華民族の復興が中国の夢」などと、抽象的なスローガンを並べる指導層は現実をどうみているのか。
李克剛首相は「中国の夢」と問われて、「きれいな空気を吸い、安全な水がのめること。それが夢だ」と語って習近平を皮肉ったものだったが。