WALL STREET jouranal より転載
ジハード呼びかける動画、狙いはウイグル族
2014 年 6 月 25 日 16:14 JST
【ウルムチ(中国新疆ウイグル自治区)】5月にインターネットに掲載されたある動画は、中東のジハード(聖戦)主義者のグループが作成したものとよく似ている。男がスーツケース爆弾を作っているとみられる場面や、混雑した鉄道駅での爆発の瞬間が映し出されており、聖戦についてアラビア語で唱(とな)える音声が聞こえる。
だが、この動画はイラクやシリアの支持者を鼓舞するためのものではなく、イスラム教徒中心のウイグル族へのアピールを狙ったものだ。ウイグル族は中国に約1000万人おり、一部は中国政府の統治に対する抵抗運動を続けている。
インターネットはイスラム武装勢力がプロパガンダを広める主な手段だ。今や、暴力的なジハード集団が、イスラム世界の中心から離れたこの地にイデオロギーや戦術を広めるのに利用している。当地は最近になってようやくインターネットが開通した貧しい地域だ。
問題の動画は、ウルムチの鉄道駅で刃物や爆弾による殺傷事件が起きた後に掲載された。中国では昨年10月以来こうした事件が相次いでいる。動画では、男性がウイグル語で、爆破攻撃実行犯をたたえ、「聖なるこのジハード行為で、中国から移住した侵略者が多数死亡し、負傷した。残った者の心にも、恐怖が植え付けられた」と宣言している。
中国の当局者らは、ウイグル語の動画や他の宗教過激派の素材がインターネットに掲載される例が急激に増えていることが、最近の攻撃の大きな要素になっていると指摘する。こうした動画へのアクセスは検閲でおおむね阻止されるが、アクセス方法を見いだすウイグル人もいるとの声も聞かれる。
中国政府は20日、テロリストがオンラインに掲載した素材の摘発に乗り出した。24日には、新疆分離派によるものだとするジハード呼びかけの動画などを含め、国営テレビでドキュメンタリー番組を放送した。
番組によると、最近起きたいくつかの攻撃の実行犯は、そうした素材を訓練に役立てた。例えば、先月ウルムチの市場で起きた事件では、これまでウイグル人がほとんど使ったことのなかった自爆攻撃とみられる戦術が使われた。この事件では43人が死亡した。
ウルムチの兵士たち。中国では1年に及ぶ反テロキャンペーンを実施 Reuters
ナレーションによると、この番組中の動画は東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)によるものが大半だ。ETIMについて、中国政府はアルカイダと関係があり、最近の事件も含め多くの攻撃の犯人だとしている。番組によると、ETIMが2010年に製作した音声素材や動画は8本だったが、13年は109本に増えたという。
外務省の報道官は今月、ウイグルの騒乱が宗教の制限その他中国の政策に関連しているとの見方を否定した。一方、一部のウイグル人や海外の学者は、インターネットを一因に、中央政府に対する抵抗が宗教的意味合いを強め始めていると話している。