パルデンの会

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マレーシア機がウクライナ東部で撃墜 /イスラエル軍/ガザ地区に侵攻

勝谷誠彦氏の有料ブログヨリ

  今朝は平日なので今日も頑張って働くことができる。あなたや、あなたが口惜しがるだろうというような旨い酒肴の話を書いてやろう、くっくっくっと思っていたのに世界は激動している。そうだ、歴史は博多で作られているのではない、ウクライナだ(泣)。

 この日記ではしばしば世界は19世紀後半から20世紀の先の大戦前に戻っていると書いてきた。その時代、時期によっては客船で海外に行くというのは冒険だった。無差別に潜水艦による攻撃が行われていたからだ。しかし、自分の所属を示す電波を出し続けている民間航空機がこういう目にあうことが、いまの時代であるとはねえ。こういう時は愛すべき記者クラブの方々の大日本大マスコミよりはまず外電だ。その中から、まず確認されていると思われる情報だけを引く。
 <マレーシア機がウクライナ東部で撃墜、295人全員死亡/当局>
 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0FM1YV20140717
 <マレーシア航空の旅客機が17日、ウクライナ東部上空で墜落した。>
 <乗客280人と乗員15人の合わせて295人全員が死亡した。>
 <墜落した飛行機は、アムステルダム発クアラルンプール行きのボーイング777型機で、ドネツク市近郊に墜落した。ロイターの記者は、ロシアとの国境から約40キロ離れたグラボベの村で、墜落した機体の残骸と遺体を確認した。>
 記事の全文をリンク先で見ていただければ、私がロイターの報道からですら、どこを抜いているかわかるはずだ。ロイターはまだしも情報源を明記しているからいいのだが、日本の大マスコミはウクライナとロシアのプロパガンダと明らかにわかる味噌も糞も一緒に、しかも自分の手柄のように書く。注意だ。。これからの一連の報道をそういう目で見ていただきたい。
 ウクライナ上空の悲劇について語る前に、ひとつお詫びをしておかなくては。私の見立ては外れたのかもしれない。しかしこれも日本の大マスコミからしかまだ情報を得ていないので、詳細はわからない。もし私の見立てが外れて、本気でイスラエルがガザに入ったのだすれば、そのきっかけはひょっとするとウクライナでの出来事にもあるのか、という複雑な話になるが、まずは事実から。ついさきほど入ってきた。
 <イスラエル軍ガザ地区に侵攻>
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140718/k10013105091000.html
 <パレスチナ暫定自治区ガザ地区に対して空爆を続けてきたイスラエル軍は17日夜(日本時間の18日朝早く)地上部隊による作戦を開始し、ガザ地区に侵攻しました。>
 <作戦の詳しい内容は明らかになっていませんが、ガザ地区にいるNHKのスタッフは、「ガザ東部に激しい攻撃が行われている模様で、ガザ西部からでも大きな爆発音が聞こえる」と話しています。
 イスラエル軍は今月13日以降、ガザ地区イスラエルとの境界線付近に住む住民に避難するよう警告を繰り返し、大規模な攻撃に乗り出す構えを見せていました。>
 NHKはよく早く報じたが、記事の間を抜かしたのは自分での取材ではなくただのプロパガンダを流しているからだ。こういう「本当の戦場」では<ガザ地区にいるNHKのスタッフ>というような表記があることに留意してください。いや、今回はたまたまかもしれないけど、弾が飛んでいるところには日本国の大マスコミの方々はいません。私とか不肖・宮嶋茂樹君とか殉死された橋田信介さんたちとかはいますよ。それはカネになるから。でもね、逃げているなら、ちゃんと「今そこにいない理由」は言わなきゃ。
 もっとも今回の中東の混乱の中では、かなり社員記者たちが頑張っている。それは認めます。「殉死」がでなければいいと思っている。しかしもしそれがあったならば「自衛隊員の戦死」についてのいまのくだらない神学論争が少しまとまってくれればいいとも思う。こんな不幸なことは考えたくないけれども「根拠なき幸福感」を煽る方々ばかりなので、私が言っておく。

 いくら東京から博多まで離れているとはいえ、あまりに話も離れすぎてしまった。どこから戻るか。やはりガザですかね。
 私は「止め男がいないから、イスラエルのガザ入りはない」とずっと言ってきた。つまりバラク・オバマ大統領のあまりの外交的な能力の欠如によって入ったあとの落としどころが見つからないのだ。だから「少しは何か自分というものを見せてよ」と思っていたのだろうが、自国民がとうとうハマスのバッタもんのロケットの「数打ちゃ当たる」で亡くなったので、仕方がなかったのだろう。
 あっ、こういうことを書くと私の仕事場の隣のイスラエル大使館の前でときどき「反原発」のプラカードを「戦争はいやだ」「安倍やめろ」と同じようなデザインで持っておられる方々に叱られそうだけど。あの方々、私が近づくとす~っと逃げるんだよなあ。「所属、氏名を明らかにせよ!」と昔、怒鳴ったせいかなあ。どははははは。
 まずひとつは、ガザへの進入が(私は朝日新聞ではないので「侵攻」とは決して書かない)どの程度のものかだ。正規戦なのか特殊部隊による作戦なのか。私は後者の可能性の方が大きいと思うのだが。
 もし本気の介入だとすればウクライナでの事故で世界中のメディアがそちらに目を向けているタイミングに「今だ」と決めた可能性はなくはない。私はイスラエルの情報関係者に友人が多いが、そういう反射神経はわからなくはない。「ずっと戦争をしている国」だからね。
 ひょっとするとウクライナの事故の前後のオバマさんの発言にほとほと愛想をつかしたのかもしれない。私も仰天しました。「報道によると」というようなことを言っている。アメリカ大統領としては世界最強のインテリジェンスの情報をすべて見て吟味して、一発ことばでかまさなくてはいけない。好きだろうが嫌いだろうが、それがアメリカ大統領の「仕事」なのである。オバマさんはそれが出来ない。この弱みをロシアは見ている。ウクライナの事故はこれからしばらくはプロパガンダ合戦になるだろう。

 マレーシア航空機を撃ち落としたのはどこか。これは、私でもまだ断言できません。繰り返し言っているように「19世紀後半から20世紀前半」に世界は戻っているが、考え方がそうなっているくせに手にしているのは小銃ではなくミサイルなのである。ウクライナ軍と同国に浸透している「親ロシア派」と呼ばれるロシア軍の特殊部隊が、どの程度の練度なのかはわからない、というか、日本の戦国時代の野武士どうしの殴りあいのようなことをしていると思う。しかし、武器の精度はそれなりだ。だから当たってしまう。
 民間機はトランスポンダーとういものを積んでいて「自分は軍用機ではありませんよ」というシグナルを出し続けているはずである。それがあったのかどうなのか。行方不明になったのもマレーシア航空機であったことを考えあわせると、ひょっとしてこの航空会社はそれを積んでいなかったのでは、とまで私は想像する。
 ウクライナが撃ったのか、親ロシア派が撃ったのか。ウクライナ軍機が近くを飛んでいたという報道が出回っているが、いくら何でも視認できる民間機は撃たないでしょう。このあたり、日本の大マスコミの報道部の軍事に対する認識は素晴らしい(嘲)と思う。最初から「ない話」は削れよ。
 ウクライナ国内の「親ロシア派」が「ボクたちそんな能力ないよ」と叫んでいるのも、まあわかる。この日記ではときどき出てくるので、あなたやあなたは知りたくない知識をお持ちだろうが、RPGでは1万メートルの飛行機は撃てない。これは私は本当にしみじみと実感としてわかるのだ。
 イラク戦争の末期、往路に陸路で死にかけた私はバグダッド空港を出る最初の民間機で脱出することに決めた。地上で5割くらいの確率で死ぬか、上空で華々しく散るかにかけたのだ。ヨルダン航空機がある高度に達したらパイロットから「もう撃ち落とされません」とアナウンスがあり、乗客は全員が拍手をした。それがRPGの撃てる限界だ。素人には高高度を飛行する民間機は撃てない。
 ミサイルに国境はないので、ロシア国内からウクライナの親ロシア派を援護するつもりで用意していたものが撃ったのか、あるいは親ロシア派の中にミサイルを持ち込んでいたのか。いかしそれならいかに軍事オンチの大統領がいるアメリカでも、それなりの警告をして、今回も事実を公表しただろう。ロシア領内から撃ってしまったというところではないだろうか。でも、それをロシアは決して認めないでしょうね。撃ったならBukミサイルか。おいおいわかって来るでしょう。

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