中国東北部の北朝鮮との国境地帯で、中国の地元当局が北朝鮮の治安当局者による脱北者の拘束や連行を容認している実態があることがわかった。脱北者の北朝鮮への送還をめぐる国際社会の批判を受け、中国側が拘束してきた従来の方法から転換したという。
複数の中国当局関係者によると、北朝鮮国家安全保衛部などの当局者は、独自に集めた脱北者の潜伏情報をもとに、中国への入国を申請。中国側から、中国領内で使う車両の提供を受け、対象の脱北者を拘束後、連行して一緒に帰国する。中国での滞在期間は通常、1日から数日という。
中国は北朝鮮と刑事事件に関する捜査協力条約を結んでいるが、双方とも自国領内での捜査・逮捕権までは認めていない。しかし、中国東北部の政府関係者は「送還された脱北者が処刑されているとして中国が国際的な批判を受け、数年前から中国の治安当局は出動しなくなった」と話した。
中国での北朝鮮当局者の活動をめぐっては、遼寧省瀋陽の韓国総領事館が今年3月下旬、「中朝国境で北朝鮮による拉致事件が起きている」という注意喚起を韓国人向けに行った。韓国政府関係者も、北朝鮮当局が中国で脱北者の拘束をしている情報をつかんでおり、「中朝の治安部門でなんらかの協定があるのではないか」とみている。
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