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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成26年(2014)9月19日(金曜日)
通巻第4340号
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インドのハイテクシティ「ハイダラバード」からも「イスラム国」に
豪で15名拘束、インドネシアでも四人。広がるイスラム世界での異常現象
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習近平(中国国家主席)がインドを訪問し、モディ首相と会談した。総計2兆円にものぼる新規投資をぶち挙げ、「本当か?」と首をかしげた読者も多いだろう。
日本が具体化しつつある新幹線プロジェクトはデリーからムンバイを繋げるインド経済の大動脈で、とりわけアーメダバード(グジャラート州)とムンバイ間では本格的なフィージビリティ・スタディ(商業化の可能性調査事業)が進捗している。
アーメダバードはモディ首相の地盤。ヒンズー教が強い。この周辺に「日本企業専用工業団地」が建設され、すでにスズキ、ダイキンなど日本企業が大工場を林立させている。
習近平は、この地域に中国専用の工業団地建設を要請し、モディも歓迎した。また新幹線プロジェクトも日本の半値という好条件で横取りを狙う。
とはいえ、表面的な経済協力を謳い、にこにこ路線を演出しても軍事的対立は一向に緩和されてはおらず、中印国境では軍事均衡と緊張が続いている。
さて、そのことではない。
問題はインドのハイテクシティにおける異変である。
シリアとイラク北東に盤踞する過激派「イスラム国」(ISIS)は、いまや2万から3万のメンバーで、このうち6000名から7000名が外人部隊。それも西欧の白人が戦闘員に混ざり、気勢を挙げている。
「イスラム国」は世界各国にリクルート部隊を派遣し、若者を洗脳し、兵隊要員として次々と雇用しているが、警備当局は警戒を強め、先頃もインドネシアで四名、豪で15名を拘束した。
インドにも、イスラム国に魔手が延びていた。
インドが衝撃を受けたのは、イスラム教の狂信者は措くにしても、ハイダラバードから、若者が十数名、イスラム国にリクルートされ、出国寸前だったことだ。
ハイダラバードは「インドのシリコンバレー」といわれるバンガロールと並び、IT,コンピュータ、ソフトなどを開発する先端技術が集約した工業都市、技術大学も林立するうえ、たとえばマイクロソフトのCEOにビルゲーツから指名されたのは、このハイダラバード出身のインド人だった。
インドが恐れるのは、こうした理工系の優秀な若者が、しかもヒンズーの強い町で、なぜかくも簡単に敵対宗教の過激派の武装要員にリクルートされてしまうのか、という恐るべき現実である。
かつて日本の某新興カルトにあつまったのも理工系、化学などの専門知識をもった若者であり、その洗脳が深ければ深いほど狂信的ドグマから抜け出すのは容易ではない。