パルデンの会

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カリブ海に浮かぶ島々で何が起きているか   投資移民で市民権取得ができると聞いて中国がごまんとやってきたゾ

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宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成26年(2014)10月8日(水曜日)
通巻第4355号
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 カリブ海に浮かぶ島々で何が起きているか
投資移民で市民権取得ができると聞いて中国がごまんとやってきたゾ


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ヘミングウェイの遺作に『海流のなかの島々』がある。
名作である。舞台はカリブ海
この島々で、中国は何をやらかすつもりなのか。
カリブ海に浮かぶ有名なリゾート地、ナッソーはバハマ諸島だが、
ここに中国国有企業の「中国建設エンジニア」が、バハマに設立した「バハマル」という開発会社を通じて、2011年からハイヤットホテルと並ぶほどの豪華リゾートを建設している.

そのほか、三万平方メートルの敷地内に豪華カジノ、
18ホールのゴルフ・コースに加え、有名歌手に設計させたナイトクラブを建設しており、中国企業は4000名の労働者を中国から連れてきて朝から晩まで働かせ、工期を急がせている。

ところが、
アンゴラスリランカなどで工期を早めることができた建設工事もバハマではついに息切れ、2014年内のオープンは無理となった。

カリブ海のリゾートは冬場が稼ぎ時なのである。「
15年夏には間に合わせたい」バハマルの幹部は発言しているが、ひょっとして中国国内バブル崩壊の影響をもろにうけて、ナッソーの豪華リゾートも「廃墟」と化ける懼れがでてきた(ウォールストリート・ジャーナル、10月1日)。

第一は現場の労働事情による。
バハマ諸島の失業率は公式にも15%、実際は30%近い。にもかかわらず、中国の運んできた巨大プロジェクトからの恩恵に預かれず、地元にちっとも利益還元がなく、労働争議が頻発した。

第二に世界共通だが、中国人労働者は建設現場内のプレハブなど?
場で寝泊まりし、そこで食事をするため、現地のロッジもレストランは期待はずれだという不満が爆発している。
現地人らは「
中国から連れてこられている現場労働者はおそらく囚人だろう」とささやき合っている。

▼本当の難題は投資移民制度の不法利用


第三に資金難に陥った様相があり、
現地下請け企業への支払いが滞りはじめ、契約慣習の違いから現地人との軋轢がすさまじさを増している。
このプロジェクトに中国輸出入銀行は 25億ドルを出資した。現地パートナーが8億五千万ドル、
中国建設エンジニアが米国子会社を通じて、1億五千万ドル。合計35億ドル(3850億円)のプロジェクトだ。

胡錦涛時代に鳴り物入りで始めた唐山工業特別区(天津の北方、
唐山プロジェクト)は10兆円を投じたが、すでに「廃墟」と化け、いま残骸を晒している。
バハマ諸島でも中国のプロジェクトは挫折し、廃墟が出現する?

第四に、じつは最大の問題が横たわっている。
それはカリブ海島嶼国家が歓迎してきたリゾートマンションや別
荘購入と引き替えの「市民権」(パスポート)供与という「投資プログラム」がまったく絵に描いた餅となって、犯罪者やマネーロンダリングに利用され、不正に利用されているという現実が絡むからである。

最初の投資と交換プログラムによる市民権授与はロシア人、
そしてイランなど「政治的にややこしい国々」からの人々が多かった。
というのも、米国の金持ちは飛行機のアクセスがよくて、
観光客も多いスポットに豪華ホテルも建てて投資するが、観光インフラが整わない、しかも飛行機便が不便な、たとえばセントルシア、バルバドス、グレナダなどに何ほどの魅力を感じないからだ。

そもそもアメリカ人はカリブ海島嶼国家の市民権獲得を必要とし
ない。ロシア、イラン、そして中国人はカリブ海島嶼国家の市民権を得ることが目的なので、長期滞在は稀、投資物件にも住むつもりがない。
最初はロシアのマフィアが資金洗浄に使い、
イランは不法手段や脱法行為(たとえば見せ金で実際には投資せず、パスポート取得後は消える)頻発により、開発が停滞した。
そのうえせっかく建てた豪華リゾートに客が寄りつかず、「
絵に描いた餅」化していた。
ここに中国人が現れたのだ。


▼先進国の移民規制の余波を利用したつもりだったのだが。。。

かれらは札束を見せびらかしながらカナダ、豪、
ニュージーランドで不動産物件は片っ端から買い占め、交換にパスポートを手にいれた。あまりにも夥しい中国人が移民してきたため、カナダはことし二月から閉め出しに動いた。

米国は投資プログラムの規制を強化しはじめた。
偽書類などによる不法移民が夥しく、しかも不正書類、
マネーロンダリングの手口が目立ち、当局は悲鳴を上げるにいたった。
さすがの中国人も投資交換市民権取得の矛先を変える。
目を付けたのがカリブ海に浮かぶセントキッツ、ネービス、アンチグア、グレナダなどである。いずれも40万ドル以上の不動産購入か、ホテルへの投資が条件。

だが、廃墟を作るだけで当てが外れるのは目に見えている。
相手が中国人であることを彼らは知らない。
△◎○   ◇◎ ▽ □◇


infinity>国際>中国はいま某国で [中国はいま某国で]
ヤップ島に中国資本
大開発始めるワケ
2012年05月11日(金)谷口智彦 (慶應義塾大学大学院SDM研究科特別招聘教授)

ヤップ島と聞くと大戦中日本軍が展開していたのを思い出す。今はダイバー天国だとか、行くにはグアムで乗り継ぎ1時間半ほど飛ぶ。

 石を貨幣として使ったことでも知られる約100平方キロの平和な島が、じき姿を一変させる。中国企業が一大リゾートとして開発するからだ。
中国人の中国人による
中国人のための開発


 四川省成都市に本社を置く「会展旅游集団(Exhibition & Travel Group=ETG)」が中国側主体で、会長の鄧鴻氏がヤップへ行き、今年1月12日に地元代表と覚書を交わした。

報道によれば計画はゴルフコースを15もつくったうえカジノを複数開き、ホテルを10棟建てようとするものだ。合計室数は当初4000、将来棟数を増し2万室にする意向もある。

覚書は島の伝統や自然を守るよう定めた項目を含むものの、冒頭の2項でETGが「フル・スケール」の開発を実施できること、地元はそれを最大限支えるべきことを明記している。

順調に運んだ場合、小豆島より小さいヤップ島は、計画第一期が終わる2015年頃までに姿形をすっかり変貌させていることだろう。

鄧鴻氏は飛行場を拡げ、日本や韓国からの直行便を受け入れたいようだが、一島丸々借り上げるに等しい事業の採算は、中国人が大挙来るのを当てにし たものに違いない。グアムと違ってヤップでなら、中国人は初めから一番客になれる。中国人の中国人による、中国人のための開発となるだろう。

鄧鴻氏はランボルギーニなど高級車の収集が有名な富豪で、長者番付の常連である。米国紙の取材で「友人と政治のどちらを取るか」聞かれ、政治(= 党)だと躊躇なく答えたことがある。数百億円は下らないという個人資産を築くに当たっては、党との密接な関係を随所で役立てただろう。

鄧鴻氏は03年、四川省アバ・チベット族チャン族自治州の森を切り開き、インターコンチネンタル・ホテルを誘致した。現在はチベット仏教の聖地ラ サに一大ホテルをやはりインターコンチネンタルと組んで建設中だ。前者はユネスコ世界自然遺産の指定を受けた地域を劣化させかねない一角での事業、後者は チベットの世俗化・漢族化を象徴する企画で、いずれも北京の意向を暗黙裡に体して動いたと見る方がむしろ自然だ。
 
ヤップ島だけではない。鄧鴻氏はサモアとも覚書を手交済で、ホテル建設に乗り出す。中国の影響力浸透が著しいフィジーは、中国と南米を結ぶ航路の中間点に当たり海軍寄港地として好適だ(本欄10年11月号)。やや東北東にあるサモアにも同じ意義があろう。翻ってヤップは中国が言う「第2列島線」上、真珠湾からフィリピンに向かう米海軍を牽制し得る位置にある。だからこそ戦時中、帝国海軍は近くのトラック環礁を泊地とした。

どうやら中国が望む西太平洋分割の方法論が透けて見えだした。手つかずに等しい小島嶼国に民間を装う資本を大量投下し、中国人滞在人口を増やした 後、やおら政治・軍事的浸透を図る戦略か。その関心は、戦前日本に属し、今米国の保護下にあるいわゆる南洋諸島をひとつの焦点とする。

ヤップ島が属すミクロネシア連邦は独立国で、大統領は日系のエマニュエル・モリ氏。「冒険ダン吉」のモデルとされる高知出身・森小弁の曾孫だ。さ りとて日本には時々会議を開いて氏らを呼び(今年はその「島サミット」開催年)、限られた援助を与えるくらいしかできない。米国も、保護国としながら管轄 を国務省でなく国立公園などと同様内務省に任せて今まで来た。

弱いところを中国はうまく衝いた。ヤップには独立気運がある。実現でもした日には、北京が真っ先に承認することだろう。