パルデンの会

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中国軍、習近平主席に反旗 200人粛清で 逆恨み バブル崩壊も加速…

 習近平国家主席が進める反腐敗運動によって粛清の嵐が吹き荒れる中国。巨額収賄の容疑で周永康前政治局常務委員を8日までに送検するなど江沢民国家主席率いる「上海閥」に続き、胡錦濤国家主席の側近、令計画・人民政治協商会議副主席を追い落とし、標的は中国共産主義青年団共青団)出身で構成する「団派」に移行したもようだ。独裁体制を強める習政権だが、反体制勢力の不穏な動きも目立ち、足下は揺らいでいる。中国情勢に精通する評論家、宮崎正弘氏が緊急リポートする。

中国の2015年は、経済的にはバブル崩壊が本格化し、銀行の天文学的な不良債権が露呈するだろう。

世界経済を巻き込む大混乱が引き起こされる可能性が高く、中国経済はその後、「失われた20年」を迎える。このことは、ノーベル経済学賞受賞者で米プリンストン大のポール・クルーグマン教授らも予測している。

政治的には、習国家主席の権力基盤が固まるかに見えて、共産党中枢が「土砂崩れ」を起こす危険性のほうが高い。

以下に理由を列挙してみたい。

第1に「反腐敗キャンペーン」の影響で失脚し、左遷された旧江沢民人脈から思わぬ反撃に遭遇するリスクがある。

現実に薄煕来氏の残党は「毛沢東幇」を組織し、清貧な毛沢東主義に戻れと主張して民衆の支持を拡大した。

この隠された狙いは習政権打倒である。

第2に長老の李鵬氏ら電力利権をもつ守旧派が習氏に協力的ではない。

引退組の宋平氏や李瑞環氏らも習路線を牽制(けんせい)するため、胡前国家主席李克強首相が率いる「団派」の後ろ盾になっている。

 第3に軍は「いつでも戦争の準備をせよ」と号令され、綱紀粛正、宴会禁止となって楽しみが奪われたため習氏を逆恨みしている。そのうえ江沢民派だった徐才厚氏と郭伯雄氏の失脚により、200人近い軍の高層部が失脚、あるいは左遷され、軍の士気は愕然となるほどに弛緩(しかん)した。

一部の跳ね返り組は、ステルス機を飛ばしたり、南シナ海尖閣諸島付近で無謀な行動をとる。典型的な悪例は、習氏がインド訪問のその日に、インド国境の紛争地に軍が侵攻し、メンツを潰したことだ。習氏が軍を抑えていない何よりの証拠だろう。

 第4に「連立」を組む団派との関係は令氏の失脚で亀裂が生じている上、政治局常務委員(7人)の過半は上海派、政治局委員(18人)の過半が団派である。習政権は基幹部分が混乱しているのである。

他方、社会的には治安の悪化、テロ事件の頻発、農民暴動、企業従業員による「山猫スト」(無許可の労働争議)などに加えて大気汚染、食品衛生の悪化、共産党幹部らが大金を持っての海外逃亡も頻発し、人民元高による輸出不振はいずれ経済構造を困窮化させる。

過剰設備の再編も遅れがちで、こうした複合的要素が重なるためGDP(国内総生産)はマイナスに転落するだろう。

米国の学者は16年に中国は昏睡(こんすい)状態に陥ると予測したが、その前段として15年は習政権の基幹が空洞化し、権力構造に異変がおきるリスクが濃厚になっている。

宮崎正弘(みやざき・まさひろ) 評論家、ジャーナリスト。1946年、金沢市生まれ。早大中退。「日本学生新聞」編集長、貿易会社社長を経て、論壇へ。国際政治、経済の舞台裏を独自の情報で解析する評論やルポルタージュに定評があり、同時に中国ウォッチャーの第一人者として健筆を振るう。著書に『2015年 中国の真実』(ワック)、『中国・韓国を本気で見捨て始めた世界』(徳間書店)など