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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015)9月2日(水曜日)
通算第4644号
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中国当局、株買い支えに70兆円前後を使い果たした
また12兆円をあらたに投入の構え、それでも下落は避けられないだろう
********************************中国から資本流失がとまらない。
外貨準備高は1014年上半期に3兆9930億ドルと発表されたが、その後、保有する米国債をつぎつぎと売却し、15年2月時点でトップの座から滑り落ち、ふたたび日本が一位に返り咲いた。
六月から始まった上海株暴落が直接のきっかけとなって外貨が流失し始め、公式発表がないが、外貨準備が激減していると推測される。
このため、中国は人民元売りに規制をかけて、自由化に逆行。こうなるとIMFのSDRメンバー入りは向こう数年考えにくいこととなった。
人民元売り規制とは為替予約を抑制させ、予約する場合は20%を「危険準備金」として預託するという、信じられない措置を講じるのだ。
為替予約をするな、と言っているようなものである。
他方、株式市場への当局の介入は凄まじい。
1400銘柄の取引停止、空売りの実質的禁止措置、加えて企業CEOには自社株の売却禁止。そしておよそ70兆円を投入して、株価維持作戦、つまり売りが出たら「官」が買うという、聞いたこともない荒っぽい方法を選択して、暴落を防ぐ。
しかし、向こう一年くらいで、株式は大幅な下落を繰り返し、ピーク5100台だった株価の半値を軽々と破り、1600ポイントくらいまで下がり続けるだろう。実際に2009年に上海株式は71%下落したことがある。
それを見越しているからこそ、中国より欧米、そして日本で株が下がるのである。
日本株は、米国、マレーシアなどと比較すると相対的に対中輸出依存度が低い日本企業の投資リスク分散があって、せいぜい4%程度の悪影響しかないはずなのに、中国関連株は20%前後もの下落をみている。
これは東京市場を主導するのが、もはや野村證券ではなく、ウォール街だからである。かれらは日本経済の先行きなんぞどうでもよく、目先10秒先、1分先の勝負をかけて、先物予約を高く売り、欧米市場の反応を見て、また安く買うという、コンピュータによる巧妙な手法を用いているため、理論値以上の株安を、上海ではなく、東京市場が演じている。