パルデンの会

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中国共産党は巨大な財閥


中国共産党は巨大な財閥


世界の権力構造の変容と日中関係~歴史戦争は終わらない
ノンフィクション作家 河添恵子

 ノンフィクション作家の河添恵子氏はこのほど、世界日報の読者でつくる「世日クラブ」(会長=近藤讓良・近藤プランニングス代表取締役)で、「世界の権力構造の変容と日中関係~歴史戦争は終わらない」と題し講演を行った。河添氏は、「中国共産党は巨大な財閥」と述べ、習近平国家主席がトップへと昇りつめた背景には福建省出身の華僑との強い結びつきがあると指摘した。以下はその要旨。

簡単には崩壊しない/習近平の後ろ盾に華僑
文革に似る沖縄の状況
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 かわそえ・けいこ 1968年千葉県生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、86年より北京外国語学院、87年より遼寧師範大学(大連)へ留学。94年に作家活動をスタート。現在、(株)ケイ・ユニバーサルプランニング代表取締役産経新聞や『正論』『WiLL』『週刊文春』『新潮45』『テーミス』などで執筆。NHK、フジテレビ、テレビ朝日他、テレビ・コメンテーターとして出演。ネットTV(チャンネルAJER、チャンネルくらら)にレギュラー出演中。40カ国以上を取材。著書は、『世界はこれほど日本が好き No.1親日国・ポーランドが教えてくれた「美しい日本人」』『中国人の世界乗っ取り計画』『だから中国は日本の農地を買いにやって来る TPPのためのレポート』『国防女子が行く』など多数。

 中国はこれからどうなるか。何年も前からの中国バブルがそろそろ崩壊する、共産党政権も崩壊するのではないかと言われている。しかし、私の見解では、中国共産党政権はそう簡単には崩壊しない。

 まず、中国共産党政治結社であるが、同時に大財閥だと考えている。彼らの実態は、世界にお金を回し、世界に利権を構築しながら、拡大志向で生息しているグローバリストだ。それを北京という場所でコントロールしている。しかもチャイナ7という合議制を採っており、金王朝ルーマニアチャウシェスク政権とは異なる。つまり、万が一、習近平国家主席の身に何かが起きても、それがイコール崩壊となるかは疑問だ。

 その上で、共産党にとって、人民は自分たちの都合で使うコマでしかない。移民や難民としてどこかの国に送り込むこともするし、“爆買い”をさせるために日本に送り込むこともする。また、「日本にひどい目にあって、14億の人民が怒っている」というような時にも“人民”という言葉を使う。

 この四半世紀の間に、中国共産党の幹部はそれぞれの一族で巨大な財閥を形成しており、闘争も熾烈(しれつ)化しているが、まったく別の、新勢力が中国を乗っ取るということは、当分の間、考え難い。

 しばし聞こえてくるのは、「習近平は裸の王様」「可もなく不可もなく、たいした実績もないのにトップになった」という説だ。1000%そんなことはないと私は断言したい。なぜかというと、まず裸の王様でも偉くなれるような“優しい”システムは中国に存在しないからだ。しかも、お金でポジションを買うことも手段として横行している。そして何よりたとえ太子党とはいえ、「たいした働きもせず」国内外で人脈と金脈、つまり強い後ろ盾を持つことはありえないと考えるためだ。

 では、習近平は何を後ろ盾にしながら、ここまで上がって来たのか。彼は1985年から2002年まで福建省にいたが、その時から習近平のネットワークとして構築されていったのが、福建省出身で主に東南アジアに散らばる華僑だと考えられる。だから、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の構想も成り立った。東南アジア諸国連合ASEAN)の政治そして経済を、表裏一体となり握っているのは華僑であり華人マネーだからだ。

 習近平が国家副主席になった頃から、ある人物の名前が急に写真付きで出るようになってきた。インドネシア華僑のジュハル・スタント(林文鏡)だ。彼と習近平が手をつないでいる同じ写真がインターネットのサイトに散見する。彼が習近平の出世の立役者であると見て間違いない。

 なぜかというと、”小平が87年に「華僑から華僑の資本を、華僑から外資を、華僑から台湾の資本を」という政策を出したが、この87年という年は、台湾の戒厳令が解かれた年だ。そして、台湾から華僑の資本の第一号を持って来たのは、ジュハル・スタントの母親で、その場所は福州市。これに習近平が関わっていた。

 つまり、習近平がトップにまで上りつめる過程での重要な任務は、華僑工作だったのだ。これに関する、彼の論文も見つけた。「移民1世の華僑たちは出生地やルーツに対するノスタルジーが強い。ところが2世、3世になると移住した場所に自分の気持ちがある。だから、早いうちに1世を通じて次世代との関係構築をしていく必要がある」という内容だ。

 中国には、かつてから「幇」と呼ばれる黒色組織がある。上海幇と福建幇はとりわけ米国はじめ海外でも強い力を持っている。習近平は、ある時期からその部分も掌握していたと考えるのが自然だ。もう一つ、上海幇の親玉であるのが江沢民だ。とすれば習近平江沢民派を粛清しようと躍起になっているのは、理屈に合う。いずれにしても、中国国内の権力闘争と矮小化すべきではない。それは先ほども申し上げた通り、中国共産党は各々、海外ネットワークで肥大化してきたグローバリストだからだ。江沢民派と太子党の一部が、改革開放以降、力とノウハウを蓄えてきたのが「金融」である。子供や孫の職歴からも、ウォールストリートと相当程度、癒着があることは確かだ。

 中国の4大商業銀行の収支は滅茶苦茶だったのに、なぜかすべて上場している。真っ黒な帳簿を白くしたのは、ウォールストリートだ。中国の4大商業銀行は、今でもフォーチュングローバル企業50の中で、利益率のベスト10に入っている。しかも、中国系企業を上場させて、上場益を得た後に潰す、もしくは上場廃止といったことも度々起きている。企業の上場も、中国と国際金融の一部勢力による、マネーゲームなのだ。

 一方で、こうした米中一部の癒着による暴走を良く思っていなかったのは、ヨーロッパ勢力であり、その筆頭は英国だろう。であれば、習近平が進めている今の粛清を歓迎しているはずだ。つまり、ヨーロッパも今の習近平政権の後ろ盾だと考えられる。
 英国には、2014年、李克強首相が行ったが、その前にキャメロン政権は「ダライ・ラマとは二度と会わない」という約束を、中国政府と交わしたとされる。人権というカードを捨てざるを得なくなったほど、英国が「貧すれば鈍する」になってしまっていることを示している。

 今年3月、ウィリアム王子が中国に行ったが、その時に中国側がセッティングしたのは不可思議な場所だった。普通に考えればパンダを見せるはずだが、ウィリアム王子は、北京から遠い雲南省にある野生の象の保護区に連れていかれた。なぜかと言うと、ウイリアム王子は、「中国の密猟によって、野生のアフリカ象が絶滅の危機にある」と世界で講演していたからだ。その口を封じるために、わざわざそこまで連れて行ったのだ。王室のカードだった「人権」に次いで、「動物愛護」も中国に対して使えないようにした。

 沖縄については、中国の文化大革命と似たような状況になっていくのではと危惧している。今、沖縄には生活保護者が増えていると聞く。そうでなくとも、国民年金で暮らしているご老人の生活は大変だ。そういう人たちが道でリクルーティングされ、日当8000円で座り込みをしないかと言われる。さらに「基地があるから沖縄に企業が来ないし、産業が発展しない」「日本政府が悪い」と吹き込まれている。沖縄県民を働かせず、ただただ疲弊させ、さらに素人活動家を増やしていく。悪循環による時間稼ぎが行われている。こんな状況に一体誰がしているのか? 背後に中国がいて、そのように動かしているとしか考えられない。

 1984年の世界日報に「南京大虐殺はなかった」という記事が出ている。その当時から、そういう意見があったが、結果的に今年ユネスコの世界記憶遺産に登録されてしまった。悔しいことだが、撤回できるチャンスはまだ半年ぐらい残っていると思う。

 今年の8月15日、サンフランシスコのチャイナタウンに「海外抗日戦争記念館」がオープンした。名誉総裁のフローレンス・ファン氏が開館の主旨として「ユダヤ人大虐殺に関する記念碑や記念館は世界に167カ所あるが、中国は日本に3500万人殺害されたにも関わらず、記念碑や記念館が一つとしてない。その最初の一つだ」と書いている。これは、新たな歴史戦争の始まりであり、宣戦布告だと読み取れる。こうした流れをどこかで断ち切らないと、日本は残虐非道な民族という不名誉かつ、負の歴史ではなく「嘘の歴史」が残されてしまう。