パルデンの会

チベット独立と支那共産党に物言う人々の声です 転載はご自由に  HPは http://palden.org

台湾を守るのは 日・米である。

台湾を守るのは 日・米である。
それを 日本国民はよく考えていなければならない。
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沖縄が日本ののど仏であるようにそれは半分以上台湾が中国に向けのど仏であるからである。


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台湾総統選、民進党の「未来像」なき圧勝

2016年1月18日(月)白壁 達久、安藤 毅

 1月16日、台湾総統選挙の投票が締め切られた午後4時。最大野党の民主進歩党民進党)の本部近くに設営された野外の大規模集会場では、用意された席は既に支持者らで埋め尽くされて会場外の道路にまで人があふれていた。
 巨大なモニターには開票状況が映し出され、事前の予想を超える勢いで民進党の候補者である蔡英文主席がリードするもようが伝えられている。
「私は台湾人」というメッセージをことあるごとに全員で叫ぶ
 総統選は与党・国民党の朱立倫主席との事実上の一騎打ち。その朱氏に、ダブルスコアの差をつけて蔡氏の獲得票数が伸びていく。100万票、200万票、300万票――。票数が大台に乗るたびに会場は盛り上がる。そして会場中の人々が大型モニターに映し出された言葉を叫ぶ。
 「我是台湾人(私は台湾人だ)!!」
 8年ぶりの政権交代。加えて民進党は、初めて立法院(日本の国会に相当)でも過半数(定数108に対して68の議席を獲得)を獲得した。その支持層が最も力を入れて叫ぶ言葉が「我是台湾人」の五文字だったことは、この選挙戦が、「中国」との関係にまつわるアイデンティティの闘争だったことをよく物語っている。
 会場で中国系のメディアを見つけると一斉にブーイング。そして親中派の与党候補であった朱氏が敗北を宣言し、頭を下げる姿がモニターに映し出されると、「どうだ!」と言わんばかりに中国系メディアの記者に対して中指を立てる。
 新政権の描いた未来像に沸くというよりも、前政権が進めた親中路線に「NO」を突きつけ、対中融和の流れを食い止めたことに沸いているような印象を受けた。肯定よりも、否定の歓喜に見えた。

「感情だけでは飯は食えない」

 前政権の政策に対する否定という「過去」はいいとして、民進党圧勝の先に、どんな「未来」が待っているのか。ボランティアとして民進党の選挙戦をサポートした大学生は不安を打ち明けた。
 「はっきり言って、(勝利を)素直には喜べない。台湾人として『ここは中国ではない』ということを示したに過ぎない。この選択が経済環境を良くするきっかけになるんだろうか。このままでは自分の働き口すら見つからないかもしれない。感情だけでは飯は食えないから」
 台湾の民意は、国民党政権が進めた親中路線に歯止めをかけた。だが、問題はこれからの台湾をどう創っていくかだろう。
 中国は台湾にとって最大の輸出国だ。輸出額の4分の1は中国が占め、香港を入れると4割近くに相当する。
 現職の馬英九総統は2008年に民進党から国民党へ政権を奪還して以降、経済成長著しい中国の「恩恵」に預かるべく、対中融和路線を進めてきた。低迷する台湾経済の浮揚がその狙いだった。
 だが、拙速な対中接近は反発も招いた。2013年、中国と台湾で金融や通信、医療、旅行などのサービス関連市場を相互に開放する中台サービス貿易協定を締結。立法院での審議を「時間切れ」として一方的に中断し、強引に批准作業を進めるなどの姿勢に台湾の人々は反発し、「ひまわり運動」と呼ばれる学生の議会占拠にまで問題は発展した。
 それでも馬氏は昨年11月、中国の習近平国家主席と1949年の中台分断後、初のトップ会談を強行するなど、親中路線を突き進んだ。
 中国への輸出額は馬氏の就任時に比べて1.3倍にまで膨らんだ。

民進党に投票した中小企業経営者の声

 新北市で金属加工業を営む50代の男性は、かつて馬氏を支持して国民党に投票した一人だ。
 「中国向けでもっと仕事が増えると思ったけれど、全然増えない。俺たちの仕事が増えるわけではない。むしろ、減っているのが現状だ。馬(氏)は中国に魂を売ったにもかかわらず、何も得られなかったんだよ」
 彼は今回、民進党に票を投じた。
 馬氏は台湾の人々の感情を逆なでしただけでなく、経済環境も改善も実現できなかった。2015年の実質GDP国内総生産)成長率は、7~9月期に6年ぶりにマイナス成長(マイナス1.01%)を記録するなど輸出の不振が続いている。2015年通期で同成長率が1%にも満たないのではないかとの見方も出ている。さらに、馬政権が公約に掲げた「失業率3%未満」も達成できなかった。
 対中接近したにも関わらず、経済が好転しない。であればなぜ、政治・経済のシステムや国家観が大きく異なる中国と融和しなければならないのか。こうした反発が民進党の躍進を後押しした。

選挙期間中は思いのほか静か

 投票前に台湾へ入り、政権交代の熱気に沸く街を想像していたが、どうも記者の期待は大きすぎたのか、やや盛り上がりには欠けているように見えた。選挙期間中、街を歩くと台湾ならではの光景が目に留まる。太鼓を叩くトラックが先導し、その後に候補者の名前や政党名を掲げたトラックが続く。太鼓の音で街行く人に自らの存在を知らせるのだ。
太鼓を叩いて選挙カーの到来を告げる、台湾ならではの選挙の光景
 早朝や深夜でも爆竹を鳴らすなど、過度な演出もあると聞いたが、今回は申し訳ない程度の音の太鼓を叩く車列にいくつか遭遇しただけだ。投票前夜の集会には雨天にもかかわらず多くの支持者が駆けつけるなど盛り上がりを見せたが、街中の人々に話を聞くと、民進党を支持する人からも、未来に向けて新たな希望が誕生するような躍動する感情はあまり伝わってこなかった。
 選挙前から野党・民進党の優勢は伝えられており、政権交代が確実視されていたからかもしれない。ただ最大の要因は、今回の選挙そのものが、新たな台湾を築くという前向きなものというよりも、急速に距離が縮まりつつある中台関係に待ったをかけるというのが第一にあったからではないか。対中融和策を改めたとしても、経済的に中国に頼らざるを得ない部分がある「現実問題」も理解している。政権交代を実現しても、今の台湾は、独自で大国を相手にできるほどの経済的、政治的な力を持ち合わせていない。そう考える人が台湾でも多数を占めるだろう。
蔡氏向けに日本から送られた必勝祈願のダルマも飾られていた
 2000年に総統選挙で勝利した前後は、民進党は台湾「独立」の志向を鮮明に打ち出していた。だが、民進党は2008年に支持を失って下野。蔡英文主席は、急進的な独立論を抑え、対中関係は「独立を求めないが、拙速な融和も進めない」という「現状維持」を打ち出して、急進的な独立派以外の支持を集めた。同じ民進党による政権奪還だが、まだ中台の力が拮抗していた2000年前後に「独立」の未来に熱狂したのと、今回、中国が台頭する中で、かろうじて対中融和の速度を抑える選択をしたのとでは、盛り上がりが異なるのは当然と言えるかもしれない。
 中国は今後も、台湾との距離を縮めてくるだろう。台湾と海を隔てた先にある中国の福建省で長く官僚を務めた経験のある習近平国家主席は、「1つの中国」に向けた道筋を自らの任期中に作りたい野望があるとされる。昨年の中台トップ会談もその布石だろう。
 にじり寄る中国をいかにしてけん制し、経済を立て直すか。選挙期間、蔡氏は「経済的にも強い台湾を再興し、中国と対等に渡り合って妥協点を見いだしたい」と演説したが、その具体策は見えてこない。

経済再生のサポート役は日本か

 アジアでは昨年末に東南アジア諸国連合ASEAN)が域内での人・モノ・カネの動きを自由化させるアセアン経済共同体(AEC)を発足させた。米国主導のTPP(環太平洋経済連携協定)といった枠組みも固まりつつあり、中国主導の国際金融機関であるアジアインフラ 投資銀行(AIIB)も誕生した。周囲の国々が様々な枠組みに参加して自国の競争力を培う中で、台湾は取り残される危機にある。蔡氏はTPPへの参加も前向きに検討中だ。
 選挙後の会見で蔡氏は、経済再生の実現に向けて必要なサポート役として「日本」の名前を複数回挙げている。選挙集会では、記者が日本人と分かると、「日本の助けが必要だ」と手を握って話しかけてきた台湾人男性もいた。
 日本政府・与党は台湾総統選での民進党の蔡氏の勝利を歓迎している。中国に接近して歴史認識沖縄県尖閣諸島などを巡って中台で対日共闘を強めていた馬英九総統とは異なり、蔡氏が日本との関係を重視しているためだ。
 東シナ海南シナ海への海洋進出を図り、経済的影響力を強める中国をにらみ、台湾との関係を重視する安倍晋三首相は自民党の野党時代に台湾で蔡氏と会談。昨年10月には来日した蔡氏と密かに都内のホテルで接触するなど布石を打ってきた。TPPに関しても台湾の交渉参加を後押しする検討を進めており、台湾経済の中国への傾斜にくさびを打ち込む考えだ。
 果たして、台湾は蔡氏の下で経済再生を果たすことができるだろうか。
 感情では飯を食えない――。
 前出の学生の本音が、台湾の人々の不安の根底にある。蔡氏はその不安に応える未来を描けるか。初の女性総統の手腕が問われる。