国連女子差別撤廃委員会の対応に不満や怒りが広がっている。同委員会が7日に発表した最終見解で、慰安婦問題をめぐる日韓両政府の合意などを批判しただけでなく、最終見解案では、皇位継承権が男系男子の皇族だけにあるのは女性への差別だとして、皇室典範の改正を求める勧告まで盛り込んでいたのだ。日本は国連に世界第2位(約311億円、2014年)、約10%もの分担金を支出しているが、こんな機関に大金を支払う必要があるのか。

 日本の国柄や歴史・伝統を、まったく無視した組織というしかない。
 女子差別撤廃委員会が日本側に提示した最終見解案では「皇室典範に男系男子の皇族のみに皇位継承権が継承されるとの規定を有している」と挙げたうえで、母方の系統に天皇を持つ女系の女子にも「皇位継承が可能となるよう皇室典範を改正すべきだ」と勧告していたのだ。
 そこには、125代の現天皇陛下まで男系継承が続いてきた歴史的事実や、日本国の根幹をなす皇室制度への尊重はまるでみられない。
 日本側は4日にジュネーブ代表部公使が女子差別撤廃委副委員長と会い、皇位継承制度の歴史的背景などを説明して削除を求めた。発表された最終見解からは皇室典範に関する記述は消えていたという。
 慰安婦問題でも、女子差別撤廃委員会の最終見解は一方的だった。
 日本政府の慰安婦問題への取り組みを不十分だと指摘したうえで、昨年末の日韓合意についても「被害者を中心に据えたアプローチを採用していない」と批判したのだ。
 菅義偉官房長官は8日、「日本政府の説明を十分踏まえておらず、遺憾だ。受け入れることができない」と反論した。韓国外務省報道官も同日、日韓合意について「被害者と支援団体の要求を最大限反映させた」と語った。
 日本政府内では「委員会のメンバーは元慰安婦を支援する(反日・左派)団体の主張をうのみにしている」(外務省筋)との観測が出ている。官邸筋は「メンバーには中国出身者もいる。見解からは、この問題で日本を攻撃・けん制したい中国の思惑が感じられる」と分析した。
 有識者らでつくる保守系民間団体「慰安婦の真実国民運動」(加瀬英明代表)は8日、安倍晋三首相と岸田文雄外相宛てに、同委員会の最終見解に強く反論すべきだとする要望書を提出し、記者会見を開いた。
 要望書では、政府に対し、最終見解への反論手続きを進めるほか、慰安婦を「性奴隷」と認定した国連人権委員会の「クマラスワミ報告書」(1996年)の内容の再調査・撤回を国連に要求することを求めた。
 記者会見で、同会幹事の藤岡信勝拓殖大客員教授は「怒り心頭だ。日本がいかに足蹴にされているか」「(国連は)まともな国際機関としての意味をなさない。日本たたきの道具にしかならない国際機関に日本が大金を出すのは不条理だ」と訴えた。