[大弦小弦]「選挙は人選が8割だ」を持論とする…
内部崩壊する「オール沖縄」
翁長派「新風会」が分裂
知事給与引上げを自民阻止
那覇市議、県議会議員、那覇市長時代を通じて自民党保守勢力のリーダーにのし上がり、普天間基地の辺野古移設そのものに積極的な役割を見せた翁長氏は、ただひたすら己個人の政治的野心を満たすために保守陣営を裏切り、革新勢力に取り入って県知事職を手に入れた。そして、今や共産党勢力が主導権を握ったとされる「オール沖縄」の旗振り役よろしく、日米同盟を根底から揺るがす「辺野古移設反対」の先頭に立ち、県民を法廷闘争に巻き込んで日米政府とことごとく対立している。
数千万円という甚大な訴訟費用を県民の血税で負担しながら、大多数の沖縄県民には分かりにくい何本かの複雑な裁判訴訟を抱える翁長県政。その翁長知事がもっとも頼みとする那覇市議会の「新風会」が今年6月5日の沖縄県議会議員選挙を前にして、四分五裂に陥っている。つまり「オール沖縄」の土台を構成している保守派勢力が完璧にひび割れたのである。
関係者によるとまず、先に行われた市議会議長選挙をめぐって「新風会」に亀裂が入った。金城徹議長(翁長知事とともに反党行為があったとして自民党沖縄県連より除名)が議長交代の約束事を守らなかったため「新風会」内部で対立が発生、3名が抜けて別会派を立ち上げる。さらに、6月県議選を控え、2名が自民党公認の県議候補を応援する側に回った。
さて、「オール沖縄」崩壊の引き金になっている件(くだん)の金城議長は、共産党べったりに変質、共産党機関紙「しんぶん赤旗」日曜版に登場するほか、共産党の講演会に那覇市議会議長として来賓あいさつ、「知事選では初めて共産党の選挙カーに乗った」(沖縄タイムス3月17日付)と言ってのける破廉恥ぶりだ。さらに付け加えれば、沖縄県の副知事・安慶田光男氏は「新風会」が送り出した人物でもある。
また、議会筋によれば、6月県議選に際して翁長・安慶田ラインは、観光業の「かりゆしグループ」と組んで、「新風会」の仲松某予定候補(自民県連から除名)を応援するといわれ、その他の候補者とぶつかり合う構図になる。そしてあろうことか、自民を除名された仲松某は選挙が近づくと「わたしは自民党」と党名を詐称しているようで、自民県連から厳しく注文がつけられたという。
県議選にかこつけた党名詐称に関連していえば、日本共産党が全県下で展開している「沖縄から日本と世界を変えるアンケート」なるチラシは、かなり悪質な選挙の事前誘導型といえる。翁長知事の評価を求め、安倍首相や参院選出馬の島尻安伊子氏を「絶対に許せない」とか手前勝手なことばを並べて「アンケート」とは県民、有権者をばかにしている、といっておこう。共産党と「オール沖縄」のいう「民意」とはせいぜいこの程度のレベルだろう。
ところで、先ほどの翁長・安慶田ラインのなかで、県民の目が点になるような信じがたい出来事が県議会に現出した。平成28年度予算を審議した県議会2月定例会で翁長知事や安慶田氏ら両副知事の大幅給与引き上げの案件を県が委員会に提案してきたのである。全国で一番悪い「子供の貧困問題」をどう予算措置して解消するか。沖縄全体の取り組みが問われる喫緊の課題が審議される状況下で、知事ら県首脳の給与を引き上げる議案が委員会に提出された。
知事らの給与引き上げ提案が委員会審議に入る直前、自民党の野党議員らが激しく批判したため県は途中で案件を撤回せざるを得なかった。あまりにお粗末な翁長県政の正体が露呈した一幕といえようか。ただし、沖縄のマスコミは例によって、こうした事実関係をなんら報じていない。
普天間基地の辺野古移設に関し、ただ反対を唱え、反対のための法廷闘争に走るだけで、問題の具体的な解決策を提示しえない翁長県政および「オール沖縄」野合勢力に対し、県民の視線はいよいよ厳しくなっている。自民・公明体制で佐喜真淳氏が圧勝した宜野湾市長選挙(1月24日)を前例として保守・中道勢力は、自民、公明の協力体制をしっかり堅持・維持して、6月県議選、7月参院選の勝利を期す必要があろう。