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70年間国連に居直る 嘘戦勝国・支那とは?野放しにした末の暴挙

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仲裁判決受け 中国海軍「島の建設はやめない」

テレビ朝日系(ANN) 7月19日(火)8時1分配信
 南シナ海を巡る仲裁判決を受け、中国軍が動きを活発化させています。海軍司令官は「島の建設はやめない」と強調しました。

 中国空軍の報道官は18日までに、南シナ海スカボロー礁付近で爆撃機偵察機などによる軍事パトロールを行ったと発表しました。「国家の主権と安全を守るため」としていて、今後も軍事パトロールを常態化するとしています。一方、中国海軍の呉勝利司令官は、アメリカ海軍制服組トップのリチャードソン作戦部長と会談して「南シナ海は中国の核心的利益だ。島の建設を途中でやめることは決してない」と強調しました。
最終更新:7月19日(火)8時18分
テレ朝 news
 

人民解放軍はもはや「一戦」を惜しまない!「南シナ海判決」を前に習近平が準備作戦命令 国内では外国排斥運動も

現代ビジネス 7月19日(火)7時1分配信

現代版「義和団事件」勃発か!?

「米国、日本、韓国、フィリピン製品をボイコットせよ!」 

「我が中華民族を愛そう!」

「あなたがいま食べているのは米国のケンタッキーで、失っているのは祖先のメンツだ!」

 7月17日の日曜日、中国河北省唐山市楽亭県金融大街にある「夏日購場」というデパートの前に、数百人の市民が結集。このデパートの1階にあるケンタッキー・フライドチキンの大型店舗前で、シュプレヒコールを上げた。

 同日、中国各地のケンタッキー、マクドナルド、スタバなどでも、小規模なボイコット運動が起こった。すべては、7月12日にオランダのハーグにある常設仲裁裁判所が、南シナ海に関する中国の主張に「NO」を突きつけたことへの反発である。

 「これは現代版の義和団事件になるかもしれない」

 ある中国人の知識人は、こう危惧した。義和団事件は、日清戦争敗戦後の1900年に中国で起こった大規模な外国人排斥運動である。日本を含む8ヵ国軍が鎮圧し、清朝滅亡につながった。

 今回も、中国政府が何より危惧するのは、外国排斥運動の矛先が共産党政権に向くことである。常設仲裁裁判所の判決が出る前日の11日、北京市共産党教育委員会は、北京市の各大学幹部を招集し、共産党中央委員会の指示を与えた。

 「南シナ海の闘争においては、大学生に理性的、合法的かつ秩序だった抗議を求める。大規模なデモや過激な行動は禁じる。そして大学教員と学生たちには思想の統一を求める。

 各大学にはとりあえず、本日7月11日から13日まで、『戦時治安体制』と『毎日報告制度』を適用する。大学教員と学生に対する『思想工作』と『引導工作』を徹底するのだ。同時に、各大学の校門と学生寮の管理を厳重にし、校内の秩序維持に努めるのだ」

南部戦区の前線部隊に「開戦権」を付与!

 人民解放軍もまた、警戒態勢に入っていた。200万人民解放軍を統括する中央軍事委員会(習近平主席)は、「南シナ海判決」が出る前週に、「準備作戦」命令を出したと漏れ伝わってきている。それは、次のような内容だ。

 〈 仲裁裁判ではおそらく、中国に不利な結果が出るだろう。中国政府はこの仲裁に「参加せず、受け入れす、承認せず、執行せず」という立場を公表しており、仲裁結果は中国にとって、「一枚の紙屑」にすぎない。

 だがアメリカは、その裁決結果を利用して、中国に新たな圧力をかけてくるに違いない。すでに「大兵が国境に圧力をかける」状態が始まっている。アメリカは南シナ海に空母を2隻も派遣し、仲裁裁定を理由に、再び「航行の自由作戦」で中国に圧力をかけようとしている。中国の領海である12海里以内に入って、中国の主権と領海を踏みにじろうとしているのだ。

 これについては、もはや容認することはできない。そこで人民解放軍が「一戦を惜しまない」精神で、南シナ海の主権と領土の完全な整備を要求する。全軍が一切の準備を行うのだ。

 具体的には、全軍が「二級戒備」に入ること、南部戦区と戦略核潜水艦部隊は「一級戒備」に入ること、海軍の南海艦隊とロケット軍、空軍は「戦前状態」に入ることだ。

 同時に、南海艦隊の実戦能力向上のために、例年の軍事演習に参加する名目で、北海艦隊、東海艦隊が多くのミサイル駆逐艦を派遣し、南海艦隊に加わる。同時にロケット軍の「東風21D」戦略ミサイルも、南部戦区に繰り出す。中央軍事委員会の指令に基づいて、南部戦区の前線部隊に、事実上の「開戦権」を付与する。〉

 7月5日から11日まで西沙諸島(パラセル諸島)で行われた中国海軍の史上最大規模の軍事演習については、先週のこのコラムで詳述した。だが、この軍事演習に使われたのは、二線級の艦艇だったという声も、中国国内で上がっている。

 115艦艇は「051C型」で、すでに15年以上使用している。136艦艇は、ロシアから購入して20年以上が過ぎた。三艦隊の主力艦艇である「052C型」「052D型」「054A型」は登場しなかったという。また、通常型潜水艦と攻撃型潜水艦、「093B型」潜水艦なども出てきていないというのだ。


テロとクーデターに救われた中国外交

 中国政府はまた、「南シナ海判決」について、対外的に強硬に出ないと国内が持たないと考えた。そのため、判決後初の国際会議となった7月15日、16日のモンゴルASEM(アジア欧州会議)では、李克強首相を始めとする中国代表団は、いつにもまして強硬な外交を展開したのだった。

 結果的に、ASEMにおける中国外交は成功した。ある中国人は、「今回も、まさに天啓は我らにありだった」と、心情を吐露した。


 日本から参加した安倍晋三首相らは当初、ドイツのメルケル首相を始めとするヨーロッパ参加組を巻き込んで、この国際法廷の判決を遵守するよう、中国側に強く迫ることを目論んでいた。

 ところが、7月14日のフランス革命記念日に、フランスのニースで死者84人を出す急進派イスラム教徒によるテロ事件が起こったことで、ASEM初日のヨーロッパ側の話題は、テロ問題一色となった

 続いて、週末の15日夜にトルコで大規模なクーデター未遂が起こったことで、会議二日目の話題は、トルコ問題一色となったのだった。ヨーロッパ側は、記念撮影の時間も惜しんで、緊急会議を開く始末である。

 こうした雰囲気を受けて、「危機が起こってもいない南シナ海問題を話題にすべきでない」とする中国の主張が、図らずも正当性を得る格好となってしまった。ある中国人が私に「天啓」と言ったのは、まさにこのことを意味している。

 また同発言で「今回も」と述べたのは、昨年秋にも同様のケースがあったからだ。昨年11月15日、16日に、トルコのアンタルヤG20(主要国サミット)が開かれ、続いて11月18日、19日にフィリピンのマニラでAPEC(アジア太平洋経済協力会議)が開かれた。いわゆる「ダブル・サミット」だ。

 この時も、中国代表として両会議に参加した習近平主席は当初、南シナ海の埋め立て問題と中国経済危機問題で、参加各国から総スカンを喰らうことを覚悟していた。同じく両会議に参加した安倍首相も、中国に攻勢を強める気構えだった。

 ところが、その直前の11月13日金曜日夜、パリで死者130人、負傷者300人超の同時多発テロが発生した。そのため、ダブル・サミットではこの大惨事の話題一色となり、中国批判など、どこかへ吹き飛んでしまったのである。


安倍首相は李克強首相に何を求めたか

 ASEMについて、もう少し詳しく見ていこう。

 7月15日午後2時半から約30分間、安倍首相と李克強首相との日中首脳会談が開かれた。日本外務省の発表によれば、安倍首相の主な発言は、次の通りである。

 「(8ヵ月ぶりの)再会を嬉しく思う。日中間には依然として難しい問題があるが、共通の課題に前向きに取り組みたい。特に、英国のEU離脱問題もある中、世界経済が危機に陥らないよう、(9月4日、5日の杭州)G20サミットに向けて協力していきたい。また、テロがアジアに浸透しないように、中国を含む国際社会と一層連携を深めていきたい。

 世界経済の先行きが不透明な中、李克強首相が、構造改革を含め、中国経済の舵取りを行っていることを評価したい。また経済面での連携強化のため、日中ハイレベル経済対話を、早期に開催したい。マクロ経済・財務・金融、省エネ・環境などの分野で、具体的に協力したい。テロ対策についても、具体的な協力を進めたい。

 北朝鮮に対して、挑発行動の自制、安保理決議などの遵守を、ともに強く求めていきたい。先般のミサイル発射に対し、安保理はさらなる対応を取るべきだ。これについても、引き続き連携していきたい。互いに『戦略的互恵関係』の原点に立ち、青少年交流の拡充などの前向きな協力・交流に力を注いでいきたい。

 南シナ海に関しては、わが国は従来から、法の支配のもとで、紛争を平和的に解決していくことの重要性を指摘している」

 一方、中国国営新華社通信の報道によれば、李克強首相は、次のように述べたという。

 「ここ数年、中日関係は、改善の方向に向かっているが、その速度は緩慢で、思いがけない複雑な要因が邪魔したりしている。双方が高度な責任感を持って、客観的な現実に照らして、長期戦略の着眼から、中日関係の改善進展の階段を穏当に後押ししていかねばならない。

 それには第一に、両国関係の正確な方向性を把握することだ。健全で穏当な中日関係の発展のために、中国側は一貫した政策方針を堅持している。日本側が『4つの政治文件』の原則を守り、『歴史を鑑として未来に向かう』精神で、積極的かつ友好善隣の対中政策を推進することを希望する。両国が同じ方向に歩み、『互いに提携相手で、互いに脅威にならない』『互いに平和発展を支持する』共通認識を持つべきだ。

 第二に、見解の相違をうまくコントロールすることだ。南シナ海問題に関して、中国の立場は、完全に国際法に合致しており、『南シナ海行動宣言』にも合致している。日本は南シナ海に関して『非当事者国』であり、言動を慎み、引っ掻き回したり介入したりするのを止めるべきだ。また東シナ海の問題に関しては、双方が『4つの原則』の共通認識の精神に基づき、対話と交渉を通じた交渉を継続強化し、誤解と誤認を防止していくべきだ。

 第三に、対話と提携の流れを保持していくことだ。双方は平等と相互尊重の精神に基づき、対話と交渉を一歩一歩回復させ、両国関係改善の積極的な要素を増やしていっている。中日両国は世界の経済大国であり、双方の強みを発揮して、経済的な提携を強めていくべきだ。

 第四は、国際的な地域の問題に関する協調だ。双方はこのASEMG20などを通じて、国際的な反テロ交渉などの提携を強めていくべきだ」

 以上、双方の主張をやや長めに記したが、日本外務省は南シナ海問題に関して、7月12日の常設仲裁裁判所の判決を中国が遵守するよう安倍首相が李克強首相に求めたのかどうかについて、発表していない。


中国側の主張をほんの一部だけ……

 また、6月9日についに人民解放軍尖閣諸島の接続水域にまで入ってきた件に関して、安倍首相が李克強首相にどう抗議したのかについても発表していない。日本外務省が発表しているのは、「東シナ海についても、率直な意見交換を行った」という木で鼻をくくったような一文だけだ。

 これに対して中国側は、自国の主張を、これでもかというほど発表している。新華社通信も連日、南シナ海問題に関して、おびただしい数の報道をしているが、ASEMの報道の一部を訳出してみよう。

 〈 16日に閉幕したウランバートルASEMは、常設仲裁裁判所がいわゆる最終裁決を出してから、中国の指導者が初めて臨んだ国際会議だった。李克強首相は、今回の国際会議を利用して、南シナ海問題に対する立場を鮮明にし、各国の理解を得た。中国の「友達の輪」は、ますます広がったのだ。

 16日午前中に開かれたASEM首脳会議で、李克強首相は4番目に発言した。眼前の安倍首相の仲裁発表に関する発言に対して、こう反論した。

 「南シナ海問題は、そもそもが多国間で討論すべき問題ではない。かつASEMの議題にすべき問題でもない。だがこれについて発言する国があるので、中国側の立場を鮮明にしておきたい。

 中国は一貫して、フィリピンが起こした南シナ海の仲裁案について、参加していない。受け入れもしないし、その裁決なるものを承認もしない。中国がすでに国際法が付与した権利を行使しているのであり、国際法の尊厳を維持しているのだ。中国は南シナ海の領土と主権、海洋権益に関して、仲裁裁決のいかなる影響も受けない。

 中国は当事国と直接、歴史の事実と国際法に基づいて、対話と交渉を通じて、南シナ海の争議を解決し、南シナ海地域の平和と安定を維持していく」

 李克強首相がこのように述べると、各国の代表者たちは中国に十分な理解を示した。そして会議の席上で、フィリピンを除いて、ほとんど誰も安倍の言論の影響を受けなかった。

 李克強首相はASEMで、ラオスベトナムカンボジア、ロシアの指導者と、個別に会談した。その中で、南シナ海問題に関して、ASEANを含む広範な支持を得た。

 ラオスのトンロン首相は、「中国の立場を支持する」と述べた。ベトナムの阮春福首相も、「中国の立場を尊重する」と述べた。カンボジアのフン・セン首相も、「当事者同士が対話と交渉を通じて解決することを支持する」と述べた。ロシアのメドベージェフ首相も、こう述べた。

 「ロシアは中国の原則的立場を尊重し、当事者同士が友好的な協商によって争議を解決することを支持する。そして域外の勢力が手を突っ込み、南シナ海の問題が国際化することに反対する」

 中国のある幹部外交官は、「今回のASEMで、中国の『友達の輪』はますます広がった。中国と見解を異にするフィリピンでさえ、中国との対話を希望してきたほどだ」と述べた。

 結局、李克強首相による各国への働きかけによって、ASEM終了後に発表された「ウランバートル宣言」及び議長声明で、南シナ海問題は提起されなかった。中国のある外交官によれば、ASEMの準備段階で、日本側は常設仲裁裁判所の判決内容を議長声明に盛り込もうと目論んだが、失敗に終わった。〉


「戦争するとしたら、釣魚島よりも台湾が先だ」

 そんな中、人民解放軍の現役将軍が、軍の内部向けに示したという見解を入手した。この将軍は、12項目の質問に答える形で、中国軍の現状について述べたのだった。

 原文は長いので、以下、要約のみを訳出する。

 * * *

 質問1: 中国の周辺が非常に緊張してきているが、どう見ているか? 
 将軍: メディアが大袈裟に報じているほど深刻にはなっていない。

 質問2: アメリカが韓国に配備しようとしているTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)は、どんな影響をもたらすか? 
 将軍: 人民解放軍内部では、とっくに想定済みだ。平時にはこれを非難するだけだが、有事になったらこれを(ミサイル攻撃で)叩き潰す。かつ攪乱用電波を発信する軍用機を(韓国上空に)飛ばす。

 THAADがカバーするのは、中国の東北、華北、華東地区であり、これらの地区に配備してある地対艦ミサイルにとっては、一定の脅威となる。だがTHAADは、わが軍の戦略核基地がある西部地区はカバーしていない。

 質問3: 釣魚島(尖閣諸島)の争奪戦で、中国が日本よりも有利なところはどこか。

 将軍: 私は第18回共産党大会(2012年11月)前に、当時の指導者たちに、「釣魚島問題に対しては主動的であれ」と説いた。「(日中)中間線」を乗り越え、12海里内に入る頻度を上げ、どんどん「新たな現実」を更新させていく。

 だからといって、釣魚島に上陸はしない。もし日本が上陸したらすぐに奪還する構えを見せるだけで十分だ。なぜならこちらが先に動けば、アメリカ軍が強硬に介入してくるからだ。

 当面の目標は、この島が中日間で争議になっているということを、世界に認知させることだ。戦争するとしたら、釣魚島よりも台湾が先だ。中国は当面は軍拡を続け、日本の防衛能力を凌駕していけばよいのだ。

「台湾、釣魚島、南シナ海について『退く』ことはない」

 質問4: 常設仲裁裁判所の判決結果によって、G7が対中経済制裁をかけてきたらどうするのか。

 将軍: そんなことはありえない。中国は南シナ海において、他国に武力行使を行っていない。国際法廷は、あくまでも国際法の解釈を巡る判断だ。

 それにEUもイギリスも、経済的困難に直面して中国を頼っているというのに、中国に経済制裁をかけるはずがない。ロシアに経済制裁をかけられたのは、経済関係が希薄だからだ。

 アメリカ軍は、2005年に6隻の空母をアジア太平洋に繰り出してきたものだが、いまやそんな余力はない。軍事費削減で、そのうちわが海に空母を派遣できなくなるだろう。

 質問5: 台湾が実効支配している太平島(南沙諸島最大の島)を、蔡英文政権がアメリカに租借するという危険な選択はないか。

 将軍: 彼女の1期目(2016年5月から4年間)は、そんなことはしないだろう。だが2期目になると予測不能だ。だから事前に阻止していくことが大事だ。

 質問6: 世界は、「中ロ」対「NATO(北大西洋条約機構)及びアジア版NATO」の二極化に向かっていくのか。

 将軍: それはアメリカの国力が衰退しているからそうなるのだ。2030年には、中国の経済力はアメリカを追い越す。アメリカはそれを見越して身勝手にも、アジア太平洋にTPP(環太平洋パートナーシップ協定)を、大西洋にTTIP(大西洋横断貿易投資パートナーシップ協定)を敷こうとしている。それでも経済力でかなわなくなってくるから、軍事力で中国を締めつけようとするのだ。

 軍事力に関しては、2050年以後も、アメリカが世界トップであり続けるだろう。だがもはや、10隻の空母を維持する経済力はなくなる。中国軍は相対的にアメリカ軍の能力に近づくだろうが、イラク戦争やアフガン戦争のような愚かな戦争は起こさない。

 質問7: 中国はこの2年で、随分と対外的に強硬になった。このままではアメリカと直接対決してしまうのではないか。

 将軍: 政治と軍事分野に関しては、わが国はアメリカに対して、じっと我慢を続ける必要がある。そうして、アメリカ経済の没落の時を待つのだ。生産コストが高いアメリカでは、自ずと製造業が衰退していく。製造業が衰退していけば、国民の雇用が維持できなくなって経済力は落ちていく。その分、こちらが経済力を増してゆけばよいのだ。

 だが、外交分野に関しては、どんどんアメリカ及び世界に攻勢をかけていく。なぜなら、外交問題で妥協すれば、国民が共産党に対する信頼を失い、共産党政権が転覆してしまうからだ。特に、台湾、釣魚島(尖閣諸島)、南シナ海については、「進む」という選択肢しかない。

 中国とアメリカは、多くの分野で提携していけるが、台湾、釣魚島、南シナ海だけは別で、われわれは「退く」ことはできない。この3ヵ所は中国の核心的利益であり、アメリカの核心的利益ではない。アメリカにとってこの3ヵ所は、中国を抑え込む一手段にすぎないのだ。

 もしこの3ヵ所でアメリカが軍を発動するなら、わが軍は迷わずアメリカと対決する。それが中国のボトムラインだ。


「中国の安全にとって、最大のリスクはアメリカだ」

 質問8: 北朝鮮は現在、中国にとってどんな役に立つのか。

 将軍: いま中国の党内、軍内、外交関係者たちの間で、この問題は熱い討論が交わされている。アメリカの朝鮮半島における主要目標は、北朝鮮に核廃棄させることではなくて、北朝鮮の現政権を転覆させることだ。

 われわれは北朝鮮の核問題を巡る交渉で、北朝鮮が核を放棄する代わりに米朝平和条約を結んではどうかと、アメリカに提案した。だがアメリカは断固拒否だ。

 アメリカは北朝鮮が核を放棄して経済発展することを望んでいない。軍事費の負担がかさんで、かつてのソ連のように、突然崩壊する日を待っているのだ。

 では中国はなぜ、北朝鮮を見放さないのか。重要なのは、われわれは台湾問題を考慮しているということだ。それで北朝鮮を使って、アメリカを牽制しているのだ。

 質問9: ヒラリー・クリントン候補が大統領になったら、対中政策はどうなるか。

 将軍: クリントンは典型的なアメリカの正統派(アメリカ式価値観+白人優越主義)だ。オバマ政権1期目で国務長官を務めた時のような外交を行うだろう。すなわち、ヨーロッパとアジアで、ともに強硬だということだ。

 彼女は大統領選挙中に、「ロシアはアメリカにとって、最も直接的かつ緊迫した脅威であり、中国はアメリカにとって、最も長期的な潜在的脅威だ」と発言している。だからまずは、ヨーロッパを使ってロシアを牽制する。中国に一撃を加えようとしても、ロシアが片付いてからだろう。

 質問10: 中国の安全にとって、最大のリスクは何か? 
 将軍: 国内外を問わず、最大のリスクは、すなわちアメリカだ。アメリカ軍は、予測がつかないことがある。ケリー国務長官とはまったく正反対のことを、カーター国防長官やハリス太平洋艦隊司令官が中国に言ってきたりする。ハリスは先日、「今晩にでも(対中)開戦の準備はできている」と発言した。


 これはジョークではないのだ。アメリカが今回、南シナ海に派遣した空母の編成は、一般的な2隻の護衛艦、もしくは多くても4隻の護衛艦ではなくて、6隻も従えてきたのだ。さらに駆逐艦3隻に、潜水艦まで伴っている。本当に、いつでも戦争できる状態だ。

 だがそれでも、有利なのはわが軍の方だ。なぜなら紛争地が、中国のお膝元だからだ。アメリカ軍の空母を沈没させるくらいのことはできる。

 中米の軍事力を比較すると、2030年になっても、軍事技術の7割以上の領域で、やはりまだアメリカに、10年以上の遅れを取っていることだろう。われわれは背伸びをしてはいけない。


「わが軍は情報化技術では自衛隊に劣っている」

 質問11: 人民解放軍の軍事改革の状況はどうなっているのか。

 将軍: 今回の軍事改革で、「軍一級」の改編と異動は、すでに確定した。その下部の細かいところはこれからだ。

 質問12: 近未来の軍隊装備は、どこに重点を置くのか。

 将軍: まずは情報化技術、特に空軍を先端化させる。最近の何度かの演習で分かったのは、わが軍と日本の自衛隊とが釣魚島争奪戦を戦った場合、戦闘機の数ではこちらが勝るが、情報化技術では劣っているということだった。これは偵察能力の差とも言える。

 日本は、警戒機を17機保有しているが、われわれはそれ以下だ。それでもあと3年から4年で、情報化技術において、わが軍は日本を大きく凌駕することになるだろう。そうなれば、日本から釣魚島を奪回できる可能性も高くなる。

 もう一つは、現在のわが軍の戦闘機能力では、多種多様な作戦が取れないことだ。空軍では、第5世代戦闘機のJ20とJ31の配備は終わっている。海軍は、空母や艦戴警戒機、電子戦専用機、対潜水艦機、4万トンの大型水陸両用艦、海底の核戦力などが重点課題だ。

 ロケット軍は、戦略ミサイルや対艦ミサイルなどが重点項目だ。すでに昨年9月3日の抗日戦争勝利70周年軍事パレードで、その一部がお目見えした。

 陸軍は、北方重装師団、水陸師団、山地師団、水陸突撃隊などの専門部隊の設立だ。ヘリコプターも重点課題だ。橋梁部隊なども再配備する。陸軍の規模は縮小するが、作戦能力は倍増させる。

 * * *

 以上である。「第一列島線」を巡る米中の角逐は続き、日本はいやがおうにも、その渦に巻き込まれていく。

 
<付記>
本文で記した米中の「新冷戦」を描いた最新作です。どうぞご高覧ください! 

 『パックス・チャイナ 中華帝国の野望
著者: 近藤大介
(講談社現代新書、税込み918円)
南沙諸島尖閣諸島を巡る強硬な外交で、周辺国やアメリカと軋轢を生んでいる習近平政権。「海の万里の長城」を築き、大海洋国家を目指す習近平の野望ははたして実現するのか!? 
 【今週のアジア関連推薦図書】

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(中経の文庫、税込み864円)

 筆者の下川氏と中田浩資カメラマンはコンビで、いつも一緒に旅をするそうだ。だがこの新作の文庫で描かれた1万8755㎞(! )の道中には、もう一人の同行者がいた。かつて北京の日本人社会で伝説的存在だった須賀努氏である。
須賀氏は、某大手銀行北京代表というお堅い仕事を50歳で早期退職し、趣味である茶研究を極めるため、「アジアの旅人」となった。すでに5年に及ぶアジア歴訪から一時帰国するたびに、ご本人から逸話の数々を伺って驚愕し、抱腹している。
まさに壮絶な男三人の道中だが、バックパッカー第一世代の矜持も、ひしひしと感じた。

近藤 大介