http://img.epochtimes.jp/i/2016/07/20/t_imwjhj3hbbqrow13fr1h.jpg 7月16と17日、中国の一部都市で米系飲食チェーン、ケンタッキー・フライド・チキンの店舗前で、一部の市民らが南シナ海をめぐる仲裁判決に対し、抗議活動を行った(ネット写真)
判決に不満 中国KFC店前で抗議活動 国営メディアが沈静化図る
一方、「人民日報」は同SNS微信(ウィチャット)公式アカウントで評論記事を発表し、「経済グローバル化した今日、国内外衣食住のすべての業界の製品に中国人労働者が関わっている」、「われわれはすでにケンタッキーとマクドナルドの株主になっている。彼達をボイコットすることはわれわれ自身をボイコットすることになる。ケンタッキーなどはほかの多くの産業と関わっており、多くの中国国民の生活にも関係している」、「アリババの大株主は日本のソフトバンクだから、「淘宝」(タオボウ)をボイコットしたらどうですか?」と国内の多くの産業に日米などの企業が参入していることから、「ボイコットしたら、国民の生活を誰が養ってくれるのか」とボイコットすることが不可能だと指摘した。
南シナ海判決、米製品に矛先 中国、KFCなど不買運動
南シナ海での中国の領有権主張を否定する仲裁判決が発表された後、ケンタッキーフライドチキンなど米国系商品の不買運動が中国各地で起きている。判決を支持し、同海で「航行の自由」作戦を続ける米国に批判の矛先が向いている。一方、中国メディアは、行きすぎた「愛国」行為をいさめる記事を掲載し始めた。
中国紙「新京報」によると、湖南省や江蘇省などの11都市でケンタッキーフライドチキンの不買運動が発生。フィリピンや日本を批判する動きも出ている。河北省唐山では17日、デモ隊が店の前で国歌を歌い、「あなたが食べたのは米国のケンタッキー、捨てたのは祖先のメンツ」と書かれた横断幕を掲げ、食べないよう訴えた。店内で食事中の客をデモ隊が取り囲み、「米国製品をボイコットしろ」と叫ぶ動画などもネット上に掲載されている。
ニュースサイト「浙江在線」によると、杭州の建築用品会社は社員に対し、米アップル社製スマートフォンのiPhoneを回収し、支給した現金で国産スマホに買い替えることを命じる通知を出した。
一方、共産党機関紙・人民日報は「このような『愛国行為』は、逆に社会や国家に害をもたらす」とする評論を掲載した。中国版ツイッター「微博」でも「愛国を掲げ、個人的な不満を発散させているだけ」などと冷静な意見が目立った。(北京=西村大輔)