民進党の蓮舫代表(48)が日本国籍と台湾籍のいわゆる「二重国籍」問題をめぐり、10月7日まで国籍法に基づく日本国籍の選択を宣言していなかったことが明らかになった。これまでの対応を振り返ると、国民の不信感の払拭に努める姿勢はうかがえず、むしろごまかしと欺瞞を重ねる発言が目立った。蓮舫氏の過去の発言に焦点を当てて、問題点を検証する。
「台湾籍を抜けたので、それを届けることで2つの国籍の問題を解消させようと思った。ところが台湾籍を抜けた証明書は不受理とされた。相談したら、強く(日本国籍の)選択の宣言をするように行政指導されたので、(戸籍法)104条にのっとって選択宣言をした」
蓮舫氏は10月15日、記者団にこう説明し、初めて日本国籍の選択宣言をしたことを明らかにした。金田勝年法相が前日の14日に、一般論として「台湾当局が発行した外国国籍喪失届は受理していない」と述べたことを受け、離脱手続きの現状を確認する記者団の質問に答えたものだった。
16日には国籍法違反の疑いが指摘されていることを踏まえ、記者団に「法定代理人を含めやりとりし、法務省から違反に当たらないとの考え方を文書でいただいた」と強調した。
だがこの発言は、巧妙な「論点ずらし」と言わざるを得ない。なぜなら、蓮舫氏の言い分は国籍法16条の努力義務の規定に関わるもので、本筋の国籍選択の義務とは別の話だからだ。
分かりにくいので、蓮舫氏側の対応と法律の規定を絡めて説明する。国籍法は14条で、20歳未満の人が日本国籍と外国籍の二重国籍になった場合、22歳になるまでにどちらかの国籍を選ばなければならないと定めている。
焦点となっているのは、まさにここだ。17歳で日本国籍を取得したという蓮舫氏は22歳以降、選択宣言をした今月7日まで25年以上にわたり、この義務を果たしていなかった。金田氏は一般論と断りながら、「法律の定める期限後に日本国籍の選択宣言を行った場合、それまでの間、国籍法上の国籍選択義務14条に違反していた」との見解を示している。
日本国籍を選択する方法には2つあり、国籍法14条の2は(1)外国籍を離脱する、または(2)日本国籍を選択すると同時に外国籍を放棄するとの宣言(届け出)をする-と規定している。
当初、蓮舫氏は「台湾籍を抜いた」として、(1)を履行したと主張していたが、9月12日に台湾籍が残っていたことが判明。台湾当局から台湾籍の離脱証明書の発行を受け、窓口となる都内の区役所(実質的には法務省)に提出した。日本政府が台湾を政府として認めていないため、離脱証明書が受理されずに(2)の手続きを取ったというわけだ。
一方、蓮舫氏側が錦の御旗とする法務省の見解は、国籍法16条に関わり、16条は「選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない」と定める。蓮舫氏側は、台湾籍の離脱証明書が受理されないことから、16条の努力義務を果たせるのかどうか、法務省に問い合わせていた。
法務省民事局は「台湾当局から国籍喪失許可証の発行を受けることは、国籍法16条1項の外国籍の離脱の努力の履行に当たる」と文書で回答し、蓮舫氏側はこの点をもって「違反に当たらない」と主張する。
ただ、ことは国会議員、ましてや野党第一党の党首として首相を目指す人物の国籍に関わる問題だ。蓮舫氏は、せめて「外国籍の離脱について努力義務を定めた国籍法16条違反には当たらない」といった説明をすべきではなかったか。それとも、説明したくない理由があったのか。
そもそも蓮舫氏は「二重国籍」問題が発覚してから「私は日本人だ」と強調する一方、自らの国籍選択について、公の場で明確かつ積極的な説明をしてこなかった。
蓮舫氏が記者会見などで訴えてきたことは、台湾籍の離脱に関する記憶がメーンで、その記憶も「父が全ての作業を終えたとずっと思い込んでいた」「(台湾当局と父との)やり取りが台湾語だった。私は台湾語が分からないので、どういう作業が行われたのか、全く覚えていない」という曖昧なものだ。
常識で考えてみてほしい。国籍というアイデンティティーに関わる重要な話を父親が説明しない、または父親に聞かないということがあり得るだろうか。聞いたとして、それを忘れることは私には考えられない。同時に「父親に任せて自分は知らなかった」という言い分は法的義務を免れる理由にならないはずだ。
さらに首相を目指す以前に、国会議員としての資質に疑問符が付くような発言もあった。民進党代表選の最中である9月7日に行われた産経新聞などとのインタビューで、蓮舫氏は「国籍選択の宣言をしたことによって、私は日本人になっている」と答えた。
蓮舫氏に近い民進党幹部は「国籍を取得したことによって、という趣旨だった」と釈明し、勘違いだったことを強調するが、これも腑に落ちない。蓮舫氏が「国籍を選択したことによって」と話したなら、まだ理解する余地があるものの、「選択の宣言をした」と明言しているのだ。
結果的に「選択の宣言」はインタビューの時点でしていなかったわけだが、国籍法を見れば、「取得」と「選択」または「選択の宣言」が異なる用語であることは一目瞭然だ。勘違いや不注意でインタビューに答えていたというならお粗末極まりなく、そうした議員に国家の命運を握る首相を任せることはできない。
蓮舫氏の発言をめぐっては、10月13日の記者会見でも不可解な一幕があった。戸籍謄本の公表などを通じて国籍選択の宣言をしたかどうかを明らかにする意向があるかと問われ、蓮舫氏は、こう答えた。
「私はこれまでも(戸籍法)106条前段にのっとって、(台湾)籍を抜いたことによって、手続きを粛々と行っている。今、区役所を通じて届け出たところだから、その対応を待っているところだ」
だが実際は7日付で台湾籍の離脱証明書は不受理となり、日本国籍の選択宣言をしていたのだ。会見で自らこの事実を公表することはなく、「戸籍法106条にのっとって、適正な手続きをしている」と繰り返すだけだった。蓮舫氏周辺は「選択の宣言をしたことをどう説明するか、検討していた」と釈明するが、「都合の悪い事実を隠した」と受け取られても仕方のない対応だろう。
私が何よりも違和感を覚えるのは、二重国籍問題と多様性を結びつける蓮舫氏の論理だ。10月6日の記者会見では「多様性の広まってきたわが国で、国籍を重なって持っている方たちも増えている。幅広く多様に生きている方たちに、どのように多様性を認めてさしあげるかという論点もある」と述べた。
現行の日本の法体系では、二重国籍は解消することが求められている。さらに今回問われているのは、国政に携わる議員の資質や適格性であり、多様性とは全く次元が異なる話だ。
一連の対応で発言が二転三転したこともあり、国民の不信感を払拭するには、ほど遠いのが現状だ。自身に向けられる疑念に正面から向き合おうとしない限り、蓮舫氏が「説明責任」を語る資格はないだろう。(清宮真一)
国籍問題を「多様性」でごまかす民進党・蓮舫代表に説明責任を語る資格なし 欺瞞は上塗りされた
嘘つきは 議員の始まり!!