東日本大震災のときも、熊本地震のときもそうでしたが、地震が発生した後に必ずやってくるのは風評被害です。専門家のなかには、放出されていないエネルギーがまだあると指摘する人もおり、地元の人々はこれ以上誇張しないで欲しいと望んでいます。すでに、春節を目前にしての地震により、宿泊施設や列車などの観光施設へのキャンセルは9割に達し、現地の観光業の損失は6月までで、少なくとも80億台湾元(約296億円)に上ると試算されているそうです。
そんな状況の中、現地在住の日本人観光ガイドなどは日本人の観光客は、寄付も有り難いが、こんなときだからこそ花蓮に来て欲しいと日本にラブコールを送っています。花蓮は観光が重要な産業のひとつですから、観光へのダメージをいかに早く脱却するかは非常に重要です。
こうした天災があるたびに日台が相互協力しあう姿は、中国には目障りなことに映るという話も先週しました。中国の歯ぎしりは、捜索が打ち切られ、台湾のメディアも地震のニュースは一段落し、ニュースのメインは春節の話題に移行してからも続きました。花蓮県は、中国が友好都市として挙げている数少ない国民党系の街です。だからこそ、地震の第一報が流れた直後には支援の申し出をしました。以下、報道を引用します。
● 台湾東部地震、日本・中国本土と台湾の「距離感」くっきり、思い寄せてくれた国は日本が75%と最高
2月13日、中国の環球時報(電子版)は、台湾東部地震の被災地救援で、日本から派遣された捜索チームが「危険な場所には入れない、とたびたび訴えていた」と伝えた。
(中略)
環球時報は「日本チームは8日昼に現地に到着したものの、積極的に捜索に加わらず、10日は任務を切り上げて台湾を離れた。日本側は『機材を提供し、台湾の人たちに使い方を指導しただけ』と説明している」と報じた。
さらに、中国のテレビ局・東南衛視の記者は、ネット上に「台湾の消防隊が日本の救援チームに『あなたたちの機材の使うのに私たちは慣れていない。現場に入ってくれないか』と頼んだにもかかわらず、日本側は『危ない場所には入れない』と拒否した」と伝えた。
これを受け、環球時報は「台湾の与党系メディアは日本に気を使い、一斉に『台湾側の人員不足で、日本の好意を断らざるを得なかった』とかばい始めた」と報道している。
なお、中国版ツイッター・微博(ウェイボー)では、日本側が台湾側とのやり取りで「危険な場所には入れない」と話している様子を撮影した動画が多数転載されている。
● 台湾地震、日本の救助隊は危険な場所には入らなかった?中国でネガティブ報道
安倍首相のお見舞いメッセージにケチを付けて、「蔡英文総統閣下」を削除させただけでは気がすまず、こんなデタラメまで流すとはあきれてモノが言えません。賢明な読者は、危ない地域には捜索に入れないとの決断もあって当然だとのコメントを残していますが。こんな不毛なことをする労力のほんの少しでも、花蓮の観光業回復に役立てて欲しいものです。
● 台湾地震に関する調査、「最も思いを寄せてくれた国」で日本が1位に、中国はわずか1.8%―台湾メディア
image by: 蔡英文Tsai Ing-wen - Home | Facebook