★小誌通巻5900号を更新!
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)11月23日(新嘗祭)弐
通巻第5900号
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バノンと郭文貴が「法の支配財団」 (一億ドル)を設立
海航集団の王健の謎の事故死、カショギ殺害の真相などを徹底調査へ
****************************************トランプ大統領の前戦略官兼上級顧問だったスティーブ・バノンが、米国に亡命中の郭文貴と組んで「法の支配財団」を設立する。
資金は一億ドルで、目的は中国の「海航集団」(HNAグループ)のCEOだった王健の謎の事故死、ジャメル・カショギ殺害の真相、そして英国で殺害されたロシアのセルゲイ・スクリパル事件の背後などを徹底究明する調査に資金を投入する。
とくに注目されるのはインターポール総裁だった孟宏偉が北京に呼び出されたまま拘束され、総裁ポストを離れさせられた事件は、2018年5月にフランスのプロバンス地方を旅行中に崖から転落死した王健(海航集団のCEO)との関連など、謎だらけの伏魔殿の真相解明が目的だというからには、中国にとって、さぞや不愉快な事態だろう。
海航集団は王岐山が深く関わる新興のコングロマリットで、ローカルな飛行機会社からヒルトン・ホテルチェーンの大株主などに躍進し、世界的な注目を浴びてきた。有利子負債が12兆円ほどあるといわれ、このところは海外資産の売却を急いできた。香港の一等地(啓徳空港跡地の住宅開発)の不動産も処分した。
郭文貴は2014年に米国に亡命し、以後はテレビやユーチューブなどで習近平、王岐山らの怪しげな金銭スキャンダルを次々と暴き、米国メディアを通じて世界に中国共産党幹部の不正資金環流、海外蓄財などを告発してきた。
他方、中国は郭文貴が香港で保有する海通証券の株式(時価11億ドル)を凍結し、対決姿勢を強めていた。海通証券は上海と香港に上場する証券大手である。
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■「加瀬英明のコラム」メールマガジン
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中国を兵糧攻めにする? 先端技術の中国流出を阻む米国の戦略
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米中貿易戦争――あるいは関税戦争をめぐって世論がかまびすしいが、米中関係のごく一部しか見ていない。マスコミは木を見て、森を見ないのだ。
トランプ大統領は中国の共産体制を崩壊させることを決意して、中国と対決してゆく方針を固めた。習主席は面子にこだわって、関税戦争を受けて立っているが、中国経済がアメリカ市場に依存しているために、すでに蹌踉(よろめ)いている。
いまではワシントンで、ついこの間まで親中派だった国務省、主要シンクタンクも、中国と対決することを支持している。アメリカの中国観の地殻大変動だ。
トランプ大統領が中国という「悪の帝国」を倒す戦略の中核にあるのが、テクノロジーだ。同盟諸国とともに、先端技術の中国への流出を阻む、兵糧攻めにするのだ。関税戦争や、軍拡競争は脇役になる。
かつてレーガン大統領が、「悪の帝国(イービル・エンパイア)」と極め付けたソ連を追いつめたのも、アメリカを中心とする、自由世界のテクノロジーの力によるものだった。
中国はテクノロジー後進国だ。宇宙ロケットを打ち上げられても、ジェット機のエンジンをつくれないので、ロシアから買っている。
中国の指導部は何千年にもわたって、中華思想による知的障害を患ってきたために、弱い相手は呑み込むものの、まともな対外戦略をたてられない。力を持つようになると、慢心して、外国を見下すために、傲慢に振る舞う。
中華思想は、中禍思想と書くべきだ。ロシアは戦略が巧妙だが、中国は中華主義の自家中毒によって、視野が狭窄している。
習主席は中国悠久の歴史から、学べないのだろうか。
オバマ政権は中国に対して宥和政策をとっていたが、中国はアメリカの弱さだと見縊(みくび)った。
習主席は3年前に訪米して、オバマ大統領と米中サミットを行い、ホワイトハウスで行った共同記者会見で、中国が南シナ海で不法に埋め立てて造成した7つの人工島を、軍事化することはないと、明言した。
しかし、その後中国は7つの島に、ミサイルや、爆撃機を配備するようになった。中国人は平然と嘘をつくが、アメリカ人は嘘をもっとも嫌っている。
私はかねてから、中国人は昔から「吃(ツー)(食事)」「喝(フー)(飲酒)」「嫖(ピャオ)(淫らな遊女)」「賭(トウ)(博打(ばくち))」「大聴戯(チーティンシ)(京劇)」の五つを、生き甲斐にしていると、説いてきた。
清朝の歴代の皇帝も、毛沢東、周恩来、江青夫人も、江沢民元主席も、みな京劇マニアだった。
京劇は甲高い声に、耳を聾するけたたましい音曲と大袈裟な所作によって、誇大妄想を煽る舞台劇だ。
習主席が好む大規模な軍事パレードや、急拵(こしら)えの航空母艦を中心とする大海軍や、絵に描いた餅のような「一帯一路」は、京劇の舞台装置を思わせる。清朝を崩壊させた西太后も、京劇マニアだった。
現在、中国海軍は艦艇数が317隻で、アメリカ海軍の283隻を上回る。西太后が日清戦争前夜に、北京西郊の頤和園の湖岸に、巨額の国費を投じて建造した、大理石の巨船の「21世紀版」だ。
(かせ・ひであき氏は外交評論家)