パルデンの会

チベット独立と支那共産党に物言う人々の声です 転載はご自由に  HPは http://palden.org

救う会全国協議会ニュース1月31日、東京連続集会 その3


★☆救う全国協議ニュース★☆(2019.02.06-1)2回目の米朝首脳談と北朝鮮内部事情-東京連続集報告


■2回目の米朝首脳談と北朝鮮内部事情


◆制裁は少しでも緩和すると、静かななだれのように緩和に向かってしまう

島田 今、「現在の核」より「未来の核」が優先という話でした。その人がどう
いう人か知りませんが、よく国務省の宥和派が使ってきた言葉です。例えばクリ
ントン政権の時に例の「枠組み合意」というのをやりましたが、あの時も北朝鮮
が持っている「現在の核」よりも、とにかくこれ以上作らせないことがまず第一
だとしていました。

 そしてクリントン政権は既に北が持っているであろう核を「ブッシュの核」と
呼び、これはブッシュの親父の方ですが、要するに自分の政権の前に作られてし
まったものということで、クリントン政権の時には止めましたと。これがまず業
績になるという発想です。

 その関連で言うと、現在持っている北朝鮮の核をまず出せというのが一番大事
なはずなんですが、そこは置いておいて、増産を止めるというのはいはば国務省
的な発想ということになります。これでは危ないことになると思いますが、北朝
鮮問題を考える際に、対イラン政策との兼ね合いが大事で、これはボルトンさん
が以前から強調していることです。

 だからボルトン氏が制裁解除に反対している大きな理由は、イランに対して経
済制裁をもっと強める。イランや北朝鮮の核開発が進んでいるわけですが、北に
対して緩和したりすると、イランに対する制裁も、論理的には弱くなるので、北
への制裁を弱めてはいけない、と。

 そして一旦緩めると、イランに対しても相当な制裁があったのに、オバマの時
にいい加減な合意をして安保理制裁がとれてしまった。イランが違反しているこ
とが分かったら、直ちに制裁を元に戻すと言っていましたが、一旦解除すると中
国、ロシアが絶対に制裁には反対します。そして本当にイランが違反しているの
かどうかまず調査委員を立ち上げるべきだ、と。それで時間を稼がれる。ごま
かされるということになります。

 一部でも制裁を緩和すると、雰囲気的にアメリカは緩める方向に行ったのだな
と、じゃあごまかしても厳しく追及されないのではないかとなります。現在でも
韓国、中国、ロシアが制裁を守っていないわけですから、アメリがちょっと緩
め始めると、静かななだれのように制裁解除が進んでしまう。警戒しなければな
らないことだと思います。

北朝鮮は今も核物質の生産を続けている

西岡 配布資料の中で、昨年12月のアメリ国務省の戦略報告書を引用したの
ですが、「短期的には北朝鮮の核開発、核・弾道ミサイルの実験、核物質の生産
を凍結することに焦点を合わせなければならない」と、「凍結」と書いてありま
す。止めるということを国務省が目的としているという点では今島田さんが言っ
たような懸念があるかもしれない。

 私が聞いた米軍関係者の話では、先にそれを破壊すると、破壊して濃縮ウラニ
ウムを止めさせなければならないということだったのですが、核物質の生産は今
も続いているわけです。これは間違いない。アメリカの情報機関がそういう分析
をしています。

 ウラン鉱山で大規模にウランを掘り出す作業が続いていることが衛星で確認さ
れていますし、濃縮ウラン工場の場所も特定されています。次々と核弾頭の数が
増えていくということは、輸出にもつながることですし、トランプ大統領と
た後もそれをやっていることが分かってきているので、トランプ大統領が金正恩
うということはパフォーマンスの領域かもしれませんが、制裁を緩めたら北
朝鮮が一息ついてしまうということについては、アメリカの情報機関も分かって
いるのではないかと思います。ボルトン氏も分かっていると思います。

 日本としても、マクシマム・プレッシャー(最高度の制裁)という言い方をし
て、総理が提唱してトランプ大統領も同調してここまでやってきたんですね。3
9号室資金を枯渇させるということが彼らの弱点だと、これは我々がずっと言っ
てきたことです。北朝鮮の弱点は統治資金の枯渇だと。

アメリカがもし制裁を緩めたら拉致解決が遠のく

 リビアカダフィのように、石油という絶対に売れるものを持っていれば、密
輸ができて外貨不足にはならないのですが、北朝鮮の石炭は中国にとって絶対に
買わなければならないものではないから買わないわけです。アメリカからセカン
ダリー・サンクション(二次的制裁)をされるようなことで買う必要はない。

 どんどん外貨が減っているのも間違いない。朝鮮総連からの送金は止まりまし
たし、韓国からの送金も今はできないようになっている。ここまで追い込んで、
この力を拉致被害者救出に使わなければ、ブッシュ政権ヒルさんたちがテロ支
援国家の指定を解除してしまったような、せっかく追い込んだのにということに
なりかねない。

 そういう点でも強い危機感を持っているんですが、総理は国の所信表明演説
でも、「自分が金正恩って話をする」と強調しています。「不幸な過去の清
算をする」と言って、北朝鮮に対して話をしようというメッセージを送り続けて
いる。

 但し、北朝鮮が日本の経済支援に魅力を感じるとしても、今の段階経済制裁
が緩んだら、拉致解決には来なくなる。一息ついてしまう。だから日本が経済協
力するということを材料として話し合いができる条件は、核・ミサイル問題の解
決です。大陸間弾道弾だけの解決で取引に入ることは難しいし、北朝鮮も日本に
はまだ来ない。

 日本にとって一番苦しくなるのは、アメリカが制裁を緩めてしまって、国連制
裁も一部緩んだ段階で金正恩おうと言ってきた時です。核・ミサイル問題が
日本の安全保障にとって100%とは言えない。そこは反対しなければいけない
のに、日朝首脳談のシナリオがそこで出てくることになると、股裂きのように
な状況になりかねない。

 それに真の意味で北朝鮮の非核化はできていないわけですから、北朝鮮の非核
化を実現させて、拉致被害者を返さないと制裁は緩めないという枠組みを維持し
なければならないというのが今の局面だと思っています。

 米朝首脳談が具体的に決まるようなことになったら、トランプ大統領の性格
から言うと、すべて下が詰めてから行くのではなくて、「いくつかの選択肢を準
備しろ。俺が北朝鮮と取引するんだ」という形になると思うので、安倍総理に是
非ワシントンに一泊二日でも行ってもらって、すり合わせをしてほしい。そして、
今まで通り、強い圧力を背景にして核とミサイルを止めさせ、被害者を取り戻す
という枠組みを崩すようなことはするな、と。

 6月の時(米朝首脳談)にその枠組みが崩れたかどうかで色々な議論があっ
たのですが、6月の時は崩れなかったのです。口では、「いいやつだ」といいま
したが、制裁は緩んでいない。だから北朝鮮は困ってきたんです。

 北朝鮮は6月の時、内部では「勝利した」と言っていました。「トランプをだ
ませた」と言っていたんです。トランプ大統領ツイッターだけ見ていると、だ
ませたような気になるかもそれませんが、政策は緩んでいない。

 「トランプ大統領を見る時にツイッターだけ見てはだめで、政策や人事を見な
ければならない」というのが島田さんの持論ですが、トランプさんが今回金正恩
って何を取ろうとするのか。今あるICBMだけでいいのか。作らないこと
を保証させるのはそう簡単ではないと思います。その辺はどういうことを考えて
いると思いますか。

◆米国の安保担当補佐官と強い連携を

島田 トランプ氏自身は現段階では何も考えていないと思います。大統領という
のはそうでないとやっていけない面がある。世界中のことを相手にしなければな
らないし、内政問題もあるし、今この瞬間で言うと2月5日に一般教書演説があ
りますから、それの準備とリハーサルに相当時間をかけているでしょうし、また
ベネズエラが急場ですのでそちらにもかなり時間をとられているでしょう。

 米朝談の2週間くらい前になってブリーフィングをさせ、方針を決めていく
ということになると思います。ボルトンがなぜキーパースンになるかというと、
彼が安全保障補佐官として常にホワイトハウスに詰めている、そういう位置にあ
る。

 大量破壊兵器の問題にしては、ボルトンが専門家中の専門家ということになっ
ているんです。彼は国務次官の時に大量破壊兵器の担当でしたし、その後の国連
大使の時もまさに北朝鮮の核問題、イランの核開発に関わってきた。地上戦、通
常戦では彼は元々軍事でもなく弁護士ですから専門家ではないんですが、大量破
壊兵器の問題については軍のどの人間よりも詳しいという評価があります。

 それで彼の発言力も増大していますし、ポンペオという人は若い頃ちょっと陸
軍にいましたが、その後民間で弁護士をしたり、それから商社に勤めたりして、
その後下院議員になって、CIA長官を経て国務省長官になっています。彼は大
量破壊兵器の問題を扱った経験もないし、ボルトンと比べると発言力が全然違う。

 現在国防長官は不在ですが、マティスの後シャナハンという人が国防長官代行
をしています。彼は元々ボーイングの筆頭副社長で、ペンタゴンいる人たちを
相手にしており、日本で言えば防衛施設庁長官のような人です。なので戦略問題
大量破壊兵器の問題は全然詳しくない。そういうこともあり、この問題ではボ
ルトン氏の発言力が強いので、日本としてはしっかりボルトンと連携していくこ
とです。

 議も大事ですが、議はピンポイントでマルコ・ルビオという共和党の議員
が重要です。彼は外交委員に留任しましたが、ベネズエラの問題でも中国に対
する圧力強化やファーウェイの問題でも、このルビオが議を主導して進めてき
ています。連日のように彼はテレビのインタビューにも出ますし、しゃべるのも
うまい人です。だからボルトンやルビオ、この人たちをしっかりつかまえる外交
力が日本にあるのか。

 残念ながらルビオと接触した議員が一人もいないと聞いていますが、本来なら
官房副長官あたりが、総理の外遊には必ず付いていくわけですから、またそのク
ラスの人なら上院議員うでしょうから。しかし、そのパイプづくりができて
いないのは極めて問題だと思いますが、せめてボルトンだけでもしっかりつかむ
というのが絶対に必要ですね。

(4につづく)