パルデンの会

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救う会全国協議会ニュース1月31日、東京連続集会 その2

★☆救う全国協議ニュース★☆(2019.02.05)2回目の米朝首脳談と北朝鮮内部事情-東京連続集報告


■2回目の米朝首脳談と北朝鮮内部事情

アメリカまで届く長距離ミサイルを中国に搬出することで制裁解除なのか

西岡 そういう中で、私が年末に聞いた情報では、以上のことを背景にして、平
壌の中枢の中で、政策をめぐって大議論が起きている。それまではアメリカに対
して6月の談でトランプをうまくだませた。米兵の遺骨を出した。核実験場を
爆破した。その見返りをまずくれと言う。サラミのように少しずつ見返りを取る
と言っていたんですが、トランプ大統領は、「金正恩はいいやつだ」とか言いな
がらも制裁は緩めない。むしろ強めている。

 その結果国内で不満が高まっているのでもう少しカードを切らなければならな
いのではないかという議論が出ている。私が聞いた段階では「検討されている」
ということでしたが、アメリカまで届く長距離ミサイルを中国に搬出する、そし
寧辺の核開発施設を廃棄するというカードでアメリカと交渉して終戦宣言や
経済制裁の緩和を取ろうという話が出ているとのことでした。

 そうしたら事態がその方向に動いている。中国に搬出するということがあるの
で、金正恩は近く中国に行くだろうと、その情報源の人が言っていましたが、そ
うしたら1月7日から10日まで訪中がありました。

 そこで、配布資料にありますが、「朝鮮中央通信」によると、「習近平が北朝
鮮の主張に全面的に同意した。中国は今後も朝鮮半島の安定のために積極的で建
設的な役割を果たしていく」、非核化協議のプロセスについて「中朝が共同で研
究・調整していく」と報道された。

 そういう表に出た言葉と、大陸間弾道弾を中国に搬出するということが、同じ
ことを言っている可能性があるのではないかと思っています。

 ただ、ポンペオ米国務長官が、「完全で最終的な非核化に到達しなければなら
ない」、「米国民に対する(北朝鮮の)リスクを減らし続けるアイデアを巡り、
我々は前進している」と言った。「前進している」と言っています。「米国民の
安全」と「長距離ミサイルの搬出」はイコールです。

 そしてトランプ大統領金正恩に親書を送った。そして金正恩の親書を持って
金英哲(キム・ヨンチョル)副委員長が来た。そして二度目のを今調整して
いる。

 つまり、制裁が効いてきた結果、制裁を緩めるために北朝鮮はサラミを一枚出
した。米兵の遺骨と実験場の爆破では取れないと分かって、アメリカに届く長距
離ミサイルと寧辺の破棄で何か取ろうとしている。

 トランプ政権が効いているカードを使ってしまったら、これまでの努力が水の
泡になりかねない。まさにブッシュ政権の後期に、寧辺の核施設の煙突を爆破す
るショーを見て、ヒル国務次官補、ライス国務長官のラインは一番効いていた金
融制裁を解除してしまった。しかしその後核実験が続いて、核も北朝鮮は止めな
かった。そういうことになってしまうかどうか。制裁が解除されるかどうか。

◆開城工団と金剛山観光を例外的に制裁の対象から外すことになるのか

 色々な報道が飛び交っていますが、「読売新聞」はアメリカが出すカードとし
て、開城工団と金剛山観光を例外的に制裁の対象から外すことが議論されている
と書きました。

 これは金正恩が、1月の新年辞で、開城工団と金剛山観光については障害が全
くなくなったと言った。何を言っているのか。核開発をしたから制裁をかけられ
たのに、「障害がなくなった」等という話ではないと思ったのですが、文在寅
統領が1月10日の記者見で、「韓国側の障害はなくなった。あと国際的な問
題だけだ」と言った。

 しかし、開城工団を中止したのは、天安艦という韓国の駆逐艦が魚雷で沈没さ
せられて、兵士が死んだからです。それなのに北朝鮮はそれを未だに認めていな
い。金正恩が「障害がなくなった」と言ったら、文在寅さんも「障害がなくなっ
た」と言った。

 金剛山観光を止めたのは、観光していた韓国人の女性が撃ち殺された。それで
危険だと言って止めたのです。それについて北朝鮮から遺憾の意があったか、再
発防止策が出たか。ないんです。何もないのに、韓国が独自にかけている制裁と
してはもう終わったと言っている。但し、国際制裁があるから国際制裁を止めさ
せなければならない、と言っています。

 文在寅政権はあまりにも前のめりですが、そういう文政権に、北朝鮮が外貨を
得るルートを与えてしまうと、枯渇していた資金がもう一回充当されてしまう。
共同通信」の報道によると、アメリカはそこまでは譲歩を考えておらず、人道
支援の再開、終戦宣言等だとのことです。

 そこは心配なところですが、とにかく制裁が効いてきた結果、北朝鮮が一部譲
歩し始めた。しかしこの譲歩では日本の安全ははかれませんし、何より拉致問題
が解決しない。この状況で総理が金正恩って、拉致と核・ミサイルを解決し
たとして、国交正常化して不幸な過去の清算に至る段階まではまだ来ていない。

 そこまで彼らが来る前に制裁が緩んでしまうと、日本の立場は大変弱くなると
思っているのですが、ワシントンでは今どんな議論がされているのか。トランプ
大統領は「金正恩とまたうことが楽しみだ」と言っていますが、どんなプレゼ
ントを金正恩に渡すつもりなのかについて島田さんからお願いします。

◆米国がICBMの廃棄に対し制裁を解除する可能性も

島田洋一救う長、福井県立大学教授)

 米朝の動きの大枠については、私が3日前の産経新聞に書いたコラムが配布さ
れていますので見てください。スペースの関係で書けなかった重要ポイントをお
話したいと思います。

 西岡さんが最近取沙汰されているシナリオを紹介されましたが、韓国の文正仁
(ムン・ジョンイン)大統領特別補佐官がエジプトのカイロで、最近それと同じ
ようなことを言っています。

 文正仁というのは北のエージェントのような男ですが、北とも相談の上で観測
気球を上げたのではないかと思われます。まず寧辺の核施設とICBM(大陸間
弾道ミサイル)を北朝鮮が廃棄する。それに対しアメリカが経済制裁を解除する、
と。韓国は明らかにこの方式で進めようとしている。

 アメリカの方は核施設の全リストを出せという要求をこれまでしてきたんです
が、北朝鮮側が、「それはイコールアメリカ側の爆撃のターゲットリストになる
じゃないか。だから平和な状況が訪れるまでは出せない」と言う。

 とにかくアメリカは本土を安全にする、ICBMの廃棄から進めるということ
になっているようです。このシナリオは中国もロシアも公然と支持してきたもの
ですし、またアメリカの国内でもロバート・ゲイツ元国防長官がそうです。彼は
ブッシュ、オバマ政権で国防長官をやっており、共和党民主党人脈がある穏
健な大御所ですが、ゲイツなどは同じような案を出しています。

 そして露骨に、20発ほどの中距離核・ミサイルは残してもいいのではないか
とか勝手なことを言っていますが、アメリカはICBMの廃棄に集中すべきだと
いう意見です。

 そして国務省のOB等も経済制裁緩和のカードを出しながら進めるべきだとい
う、クリストファー・ヒル的な発想を公然と出しています。国務省は体質的にそ
んなものでしょう。

 経済制裁緩和にずっと反対してきた中心人物がジョン・ボルトン全保障担当
大統領補佐官ですが、彼は今ベネズエラの情勢が極めて混乱していて、そこにか
なり時間をとられています。さらにイランからの米軍撤退問題があり、ベネズエ
ラと中東に時間をとられています。

 彼も米朝首脳談が近づいてきたら北朝鮮に関心を向けるでしょうが、今は留
守になっている感があります。

 交渉担当をしているスティーブン・ビーガン氏は元々、東ヨーロッパが専門で、
北朝鮮にだまされたという直接の経験がないので、ちょっと不安な面もあります。
彼はジェシー・ヘルムズという上院のものすごい外交委員長のスタッフだったと
ころから経歴を始めた人で、国務省とは対立する立場で、保守的な人物であるこ
とはまちがいないんですが、どうしても交渉担当になると、決別させたくないと
いう心理が働きます。ビーガン自身は北朝鮮に関して文章を書いたこともないで
すし、就任以降公に発言したこともないので、はっきり言ってどの程度頼りにな
るのか分かりません。

 ということで、日本から経済制裁緩和カードは切るなということを連続的に言っ
ていかないと、現在四面楚歌の状態というか、みんなが危ういシナリオに流れる
方向にあると思います。頼りになるボルトンは他の問題に時間をとられています。

◆制裁解除になると拉致問題の解決が遠のく

 文正仁が出した案の欠陥については西岡さんも触れましたが、経済制裁緩和で
拉致問題解決が遠のいてしまう。また日本を射程におさめた中距離核・ミサイル
が残る。寧辺以外にも核開発施設はたくさんありますが、それらがほったらかし
になる。

 欠陥はいっぱいありますが、アメリカから見ればアメリカに届くICBMが廃
棄できるというのは大きいですから、アメリカの政治家なら当然取引きを考える
でしょう。トランプに限らず。民主、共和、どっちの大統領であってもこの案を
進めろということになるでしょう。

 ただ、見返りに制裁緩和を出すならば困るわけで、そこはしっかり釘を刺し続
けないといけない。といって何も見返りを出すなというわけにもいかない。そこ
朝鮮戦争終戦宣言とか、在韓米軍の削減、撤退というカードが出てくる。

 終戦宣言に関しては、北朝鮮はそれ自体というより、それをきっかけに国連制
裁の解除につなげたいという思惑があるわけです。逆に言えば、制裁解除にさえ
つながらなければ、終戦宣言自体はどうでもいいということになります。

 アメリカの場合、終戦宣言なんか出しても、国家安全保障上重大事態となれば、
翌日にでも抗議するでしょうし、制裁につながらなければ心配ないと言えます。

 在韓米軍に関しては、地上軍の撤退に関する限り、これは北朝鮮ら見ても人
質になっていますから、アメリカが先制攻撃をした時に真っ先に報復を受ける。
だから地上軍がたくさんいるというのは先制攻撃がしにくいという意味で、抑止
力低下につながる面がある。

 今在韓米軍は28,500人います。その内陸軍が18,500人。空軍が8,
000人、海兵隊が2,000人という構成です。アメリカの軍関係者の議論を
聞いていると、韓国にあるアメリカの兵力、施設の内、いわゆるサードミサイル
終末高高度防衛ミサイル)、これは迎撃ミサイルですが、これは中国もカバー
しているので維持できた方がいい。

 空軍基地は皆西海岸にあり、これも中国をにらんでいるので維持で