【産経主張】ウイグル人弾圧 中国の言い逃れは通じぬ
2019.3.16 産経新聞
中国はあくまで、シラを切るつもりなのか。
米国務省の2018年版国別人権報告書は、中国政府が同年、大量収容を「著しく強化した」とし、その規模は80万人から200万人以上に上ると指摘した。
「新冷戦」の相手で世界第2の経済大国に対して、遠慮のない物言いである。中国の取るべき対応は、批判をかわすことでも米国の移民政策に話をすり替えることでもない。ウイグル人弾圧をやめ、汚名返上することだ。
この問題は昨年来、国連人種差別撤廃委員会や国際人権団体が取り上げ、民族的に近いトルコも非難の声を上げている。
驚かされるのは、ウイグル人の置かれた状況について、国際社会の認識と中国側の説明が、かけ離れているということだ。
全人代(国会)では先に、収容施設は「寄宿制の学校」とされ、「過激主義の除去」に効果を上げていると報告された。
中国のウイグル人は約1千万人である。その10人に1人が寄宿校で、反過激主義を学ぶ光景は想像し難い。国際社会の批判からいつまでも耳をふさいでいられないと知るべきだ。
米中両国は、通商問題のほか、南シナ海や台湾など安全保障を含め全面対立の様相を呈している。米政権に求めたいのは、人権問題を駆け引きに使わないということだ。通商、安保で中国側の譲歩があっても、ウイグル人弾圧の非を鳴らし続けねばならない。
安倍晋三首相は、日中関係は「完全に正常な軌道に戻った」と繰り返している。そういうなら、中国政府に対し、人権問題で率直に注文をつけてはどうか。