強制的な臓器摘出、法輪功から他の民族、宗教へと対象拡大=報道
中国における信仰弾圧を報じる多言語メディア「寒冬(Bitter Winter)」のディレクターは3月12日、中国共産党政権が組織的に、国内外の臓器移植希望者のために、需要に応じて収容者から臓器を強制摘出する問題はいまだに続いていると述べた。被害は、法輪功学習者以外、他の少数民族や宗教グループにまで対象が拡大しているという。
寒冬の創業者でイタリアの宗教社会学者マッシモ・イントロヴィーネ(Massimo Introvigne)氏は3月11、12日、台湾の台北で開催された第15回「インド太平洋地域における市民社会の自由擁護のための対話」に同メディアのディレクター、マルコ・レスピンチ(Marco Pespinti)氏と共に出席した。
衛星放送新唐人テレビ(NTDTV、大紀元メディアグループ)の取材に応じたレスピンチ氏は、中国共産党による臓器強制摘出問題は継続していると述べた。被害は「チベット人のような他の民族や宗教にも拡大している。現在は特に、ウイグル人だ」と語った。
2017年、米国の調査ジャーナリストであるイーサン・ガットマン氏によると、新疆地域と近隣に住む1500万人以上のウイグル人の9割以上は採血を受けていたという。
「人々のDNAを採集し、100万人以上の罪のない人々を拘束することは、何を意味しているのか? この2つの事情は、臓器奪取は止んでいないことをうかがわせる」と、レスピンチ氏はNTDTVに述べた。
米国のサム・ブラウンバック(Sam Brownback)宗教の自由特別大使は3月8日、香港の外国人記者クラブで、中国共産党による法輪功学習者とウイグル人からの臓器強制摘出は引き続き報告されているとし、この非人道的犯罪に改めて危惧を示した。
レスピンチ氏は、共産圏以外の自由主義社会は、臓器収奪問題を停止させるためにもっと積極的な行動を取るべきだと主張する。「止んでいないということは、行動が足りないと言うことだ。このむごい問題はすぐさま止めさせなければならない」
ウイグル族の元外科医アニワル・トフティ氏は3月15日までに、ラジオ・フリー・アジアの取材に対して、アラブ系、とくにサウジアラビア人が新疆で「ハラール・オーガン(豚肉を食べなかった人の臓器)」を調達していることを明らかにした。
寒冬は、中国本土からの情報協力者による寄稿文を掲載している。同メディアが2018年5月に設立して以後、中国本土で少なくとも45人の協力者が「国家転覆罪」または「外国勢力との共謀罪」で拘束されたという。
レスピンチ氏は、中国共産党政府の主張は偽りだと述べた。「(寒冬の協力者は)専門家、ジャーナリスト、罪を犯していない人々だ。彼らは、中国共産党政権が人々の宗教の自由と人権を侵害していると報告しただけだ」
国際的な圧力により45人のうち半数は釈放されたが、のこり22人は依然として連絡が取れない状態だという。
「彼らがまだ生きていることを願っている。しかし私たちには全く情報が入ってこない。彼らの所有する連絡手段はすべて断ち切られたようだ」とレスピンチ氏は述べた。同氏はまた、中国本土で拘束され、釈放されたある記者は翌日、取材活動を継続すると申し出たことを明らかにした。
「共産党は、記者を逮捕してメディア活動を阻止し、情報封鎖したいのだろうが、人々の勇敢さは阻止できない」「信条のある人は、共産党の弾圧を報告することで、困難を抱える他の人々を助けることができると信じている」
(編集・佐渡道世)