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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和2年(2020)5月1日(金曜日)
通巻第6447号
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アジアに拡がる反中感情、フィリピン、インドネシア等で抗議デモ
オーストラリアの中国人は130万人、反中ムードに華僑は警戒強
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ラッド政権時代。豪は国を挙げて親中路線だった。なにしろ鉱山投
ケビン・ラッドは駐北京豪大使館の一等書記官の経験があり、20
シドニーは人口450万の大都市だが、中国人がいつのまにか50
2018年の豪政府統計局の調査で中国人の人口が120万(全体
メルボルンもキャンベラも、大きなチャイナタウンが開けており、
豪の空気が変わったのは鉱山企業大手BHPに、中国が買収を仕掛
日本で言えば国家の基幹産業である日本製鉄に買収をかけるような
モリソン現政権は中国に厳しく、米国の路線と協力し、南太平洋の
パプアニューギニアで開催された2018年のAPECで豪政府は
同じ大英連邦としての同盟国、ニュージーランドは、豪とは異なっ
もっとも深刻な反中感情が渦巻くのはインドネシアである。
ブキテンギ地方にあるノボテル(一流ホテル)にデモ隊が押しかけ
インドネシア政府は中国系住民に対してコロナ検査を実施している
インドネシアは先年まで華僑系には公務員資格を与えず、華僑の子
基本的にインドネシア経済の金融と物流を華僑が抑えていることへ
▼フィリピンの大学「中国人は授業にでないで」
フィリピンはスカボロー礁を中国軍に不法占拠され、国際裁判所は
この弱腰のフィリピンもコロナ感染以後、まず出稼ぎのアマさんた
見渡せば、銀行、流通、小売りが華僑の手にあり、マニラのチャイ
他方、フィリピンの現地人は路地裏の貧困地区に密集して住み、こ
マニアのアダムソン大学では「中国人留学生は授業にでないように
決定打はマカティである。
フィリピン最大のビジネスセンター新都心は大成功した華僑が建て
▼ヨーロッパ人の偏見がアジアに持ち込まれた
かくして東南アジア一帯に普遍的となったアンチ・チャイナ。
社会的な基盤にある反中感情とは、富への怨念。富裕層を敵視する
のんびりした南洋の現地人は働くことを嫌うが、移民してくる中国
この差別の原因はむしろヨーロッパ人だった。
自らがユダヤ人を閉じこめ、差別し、虐殺を繰り返してきた過去の
1596年にオランド艦隊がジャカルタに入ったとき、すでに中国
1602年にジャワ島を訪れた英国人は「ここにも中国人がいて貿
1723年にフランスはインドシナ半島の植民地支配に乗り出すが
こうしてヨーロッパの植民地主義者らが構築した「アジアのユダヤ
影響力は大きかった。
1914年にタイ国王は冊子を発行し「アジアに拡がるユダヤ人=
▼シナ人を中間の搾取に用いた押収の植民地支配構造
植民地経営のヨーロッパ人は、この反中感情の政治的利用をおもい
つまり直接的な搾取を回避し、中間にシナ人を税金の取り立てやア
英国はインドで、フランスはベトナムで、オランダはインドネシア
大戦後も、この偏見は持続し、経済危機が訪れると必ず華僑が不満
最近もベトナムで反中暴動が突発した。
抑圧され偏見に満ちた差別に対抗して、華僑は何を学んだか。
かれらは政治に発言力を求めて、当該国家の政治指導者へ食い込み
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