パルデンの会

チベット独立と支那共産党に物言う人々の声です 転載はご自由に  HPは http://palden.org

「北東から東南アジア、メコン川流域、太平洋島嶼国に至るまで「中国の攻撃的な行動」に対しての懸念が拡大している。中国への対抗を念頭に「同盟国や友好国と連携し、外交、軍事、情報を組み合わせた戦略」の重要性を述べた。

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宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)12月15日(水曜日)
通巻第7161号   
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 ●休刊予告●明日12月16日から21日まで取材旅行のため休刊となります。
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 現職の時に発言して欲しかったけれど、安倍元首相「台湾有事は日本有事
  中国高官は呟いた。「火遊びで焼け死ぬぞ」
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 安倍晋三元首相の12月1日の発言(「台湾有事は日本有事」)はアジア政界に大きな注目を集めた。14日に台湾で開催された「国際フォーラム」にも、元首相はオンライン出席し、英語で基調講演を行った。蔡英文総統も出席した。

 安倍元首相は、「民主主義を守るために私たちは闘わなくてはならず、それを強く、新しくしないといけない。この意味で台湾に勝るネーション(nation)はない」と述べた。
「地域」ではなく台湾を「国」と呼んだ点に留意が必要だ。

 また安倍元首相は、中国を名指しした。
「軍事的な冒険を追い求めるのは、自殺的な行為だ。我々は、領土の拡張や挑発を行わぬよう強く促すべきだ」と訴えた。サウスチャイナ・モーニングポストは、この「自殺的行為」を見出しに立てた(12月15日付け)。

 また元首相は(中国の圧力は)「我々への激甚なる挑戦である。とりわけ日本に深く関係する」とし、「日米台は海洋や空中、サイバー空間や宇宙において能力を高め続ける必要がある」と唱えた。

 さらに台湾の環太平洋経済連携協定(TPP)加入申請にも言及し、「台湾は疑いなく加盟資格がある。日米政府は、台湾を世界保健機関などの国際機関に迎える努力をなすべきだ」とした。同席した蔡英文総統は日本側の支持に謝意を表した。

 この一連の安倍元首相発言に中国高官へ言った。
「火遊びで焼け死ぬ」(北朝鮮の独裁者も同じことを言ったっけ)

 12月14日、ブリンケン米国務長官ジャカルタにいた。
 当該地域の安全保障に関して、「北東から東南アジア、メコン川域、太平洋島嶼国に至るまで「中国の攻撃的な行動」に対しての懸念が拡大している。中国への対抗を念頭に「同盟国や友好国と連携し、外交、軍事、情報を組み合わせた戦略」の重要性を述べた。まさに安倍演説とおなじ基調である。
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米軍基地だけじゃない。沖縄の人さえ知らぬ「国連軍基地」の存在

2021.12.14
 
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1996年4月の基地返還合意から25年が過ぎても、未だ危険な普天間基地が閉鎖されず、メディアも「辺野古問題」としてしか扱わない沖縄の基地問題。膠着状態が続く根本原因の一つに、当事者である沖縄県民も沖縄米軍基地について、基礎知識すら持たないままでいることを上げるのは、軍事アナリストの小川和久さんです。今回のメルマガ『NEWSを疑え!』で小川さんは、自著『フテンマ戦記 基地返還が迷走した本当の理由』の記述を引用し、県庁の基地対策課も、抱える自治体の一つである嘉手納町役場も、沖縄県内にある「国連軍基地」の存在を知らなかったという残念な事実を伝えています。

軍事の最新情報から危機管理問題までを鋭く斬り込む、軍事アナリスト・小川和久さん主宰のメルマガ『NEWSを疑え!』の詳細はコチラから

 

キミは沖縄の国連軍基地を知っているか

毎年、今の時期になると1995年9月4日に沖縄で起きた少女暴行事件と、それを受けた琉球放送の番組のことが思い出されてなりません。このいたましい事件が、1996年4月の普天間基地返還合意へとつながっていったからです。

それから25年が経過し、政府が推し進める辺野古移設案が軟弱地盤問題などで視界不良となるなか、原点である普天間基地閉鎖による危険性の除去は忘れ去られ、いつの間にかマスコミでも「辺野古問題」として取り扱われるようになっています。

普天間基地移設問題が膠着している根底には、米軍側の作戦所要を満たさず、建設面からも課題の多い辺野古案をごり押しする政府側の問題があることはいうまでもありません。

しかし、政府がどんな姿勢を示そうとも、それを正していく力が国民の側になければ、無理無体がまかり通ってしまうのは防ぎようがありません。その国民の側がどんな状態だったのか、それを示すエピソードを拙著『フテンマ戦記 基地返還が迷走した本当の理由』(文藝春秋)から引用しておきたいと思います。

「この年(注・1995年)の12月は2回、私は琉球放送の企画のため沖縄各地を歩いた。玉城朋彦キャスターが同行してくれた。それ以来、玉城氏を通じて沖縄のキーパーソンとの関係を築いていくのだが、残念なことに玉城氏は2016年2月2日、59歳で歿した。

 

企画についての琉球放送側の意図は、沖縄米軍基地の実態、そして日米同盟の実像を沖縄県民に正しく伝え、平和に向けての姿勢を正して行こうというものだった。これは玉城氏だけでなく、上司である大城光恵(みつよし)常務の意向だった。

 

そのおり、いたずら心もあって、私は移動中のワゴン車内から玉城氏に3カ所への電話取材を依頼した。沖縄県庁の基地対策課、嘉手納町役場、浦添市にある米国総領事館である。質問は、沖縄県内にある国連軍基地について知っているかどうかだった。

 

言うまでもなく、沖縄県内の国連軍基地は嘉手納、普天間、ホワイトビーチの3カ所である。これは公表されている。だが、残念なことに、嘉手納基地に日米の国旗と国連旗が翻る嘉手納町の役場も、毎年、沖縄の米軍基地に関する報告書を出している沖縄県庁も、どこが国連軍基地なのか全く知らなかった。それとは逆に、米国総領事館は電話に出た館員のレベルでも即答があった。

 

このように当事者意識を欠いていては米軍基地問題を扱えるわけがない。その認識を琉球放送側と共有した点で、極めて有意義な電話取材となった。玉城氏も、沖縄県と嘉手納町の有様を目の当たりにして、深刻な顔になった」

それまでにも、沖縄県民は基地問題について強い姿勢を示してきたことは間違いありません。しかし、その実態は沖縄米軍基地についての基礎知識すら持たないままの、政府や米国側から見れば「遠吠え」のような状態に終始してきたのです。

普天間基地返還合意から25年という時間も、大部分が「遠吠え」のような実効性を持たない形式的な抗議のうちに過ぎてきはしなかったか、と思わざるを得ません。リアリティを備えた議論によって問題を解決していくために、今年も言わせていただきました。(小川和久)

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image by: Shutterstock.com

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地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。