中国の政治的主張、スポーツ界にも影響-「体育法」改正で批判封じ
(ブルームバーグ): 中国は国際スポーツ大会で外国などから主権を損ねられた行為があったと見なせば、それに反撃できる法改正を行った。
中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)の常務委員会は24日、「体育法」改正案を可決。国営新華社通信が配信した改正体育法の全文によると、他国や地域、組織が中国の主権や安全保障、開発の権利、威厳を損ねる行為をした場合、対抗措置が可能。ただ、具体的な行為の詳細は示していない。改正法の施行は2023年1月1日。
中国共産党はウクライナに侵攻したロシアとの密接な関係であれ、新疆ウイグル自治区での人権を巡る問題であれ、わずかな批判でも厳しい対応をとることで知られる。新型コロナウイルスを徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」戦略に関し、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が「持続可能」ではないと先月指摘すると、中国外務省の報道官は直ちに「当該人物」が「事実に対する理解を深めるよう努力し、無責任な発言を控えるよう望む」と反論した。
自国の政策を擁護しようとする中国の極端な反応はスポーツ界にも影響を与えている。
米プロバスケットボールNBAのボストン・セルティックスに所属するエネス・カンター選手は昨年、中国のチベット統治を非難。習近平国家主席を「残忍な独裁者」と呼び、「チベットはチベット人のものだ」と主張したが、その後、中国のテンセント・ホールディングス(騰訊)はセルティクスが予定していた試合のライブストリーミングを全面的に取りやめた。
19年にはヒューストン・ロケッツのゼネラルマネジャーが香港の民主化運動を支持するツイートをしたことで、中国のファンや企業スポンサーが反発。国営中央テレビ(CCTV)はNBAのコンテンツ放送を約1年間中止した。
原題:China Changes Law So It Can Hit Back at Insults at Sports Events (抜粋)
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