パルデンの会

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不動産会社の倒産は連鎖で地方の中小銀行を倒産させる。 そのうえ地方自治体は債務を隠蔽している。つまり中国は金融危機に直面しているのだ。

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宮崎正弘の国際情勢解題」 
      令和四年(2022)7月15日(金曜日)
          通巻第7405号
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 中国経済はすでに死んでいる。『心肺停止』だがゾンビはしぶといのだ
  地方銀行のとりつけさわぎが意味するもの
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 「構造的不況」というのは日本と中国では根本のところが異なる。
 国家の組織として組み込まれているプロジェクト、たとえば新幹線は採算なんぞ度外視してがむしゃらに強行される。国家が決めた事業であり、計画を消化する必要があり、また中国鉄建(中国国家鉄路集団)は従業員27万人、関連企業ならびにその家族を含めると300万人ほどが、この中国鉄路集団によって暮らしている。

 そのうえ、この企業は軍の影響下にあって、人員削減、合理化などは出来る相談ではないアンタッチャブルである。

 だから数人の乗降客しかいない辺境や砂漠にも駅舎を建て、イケイケどんどん、営業キロはとうとう4万キロを超えた。それでも利権が広がり、これを維持するためには、さらに2025年に5万キロ、35年に7万キロが目標。累積赤字は公表された分だけでも120兆円、あと3万キロ伸ばすとなると単純計算でも73兆円かかる
高利の鉄道債を起債し、金融機関に強制的に買わせて、資金をまかなってきた。鉄道事業そのものは採算が取れず赤字経営この体質が、おそらく永遠に続く。資本主義システムでは考えられないことが中国ではおこる。中国の鉄道債の金利は6~7%とされる。

 地方政府は、融資平台の焦げ付きが著しく顕在化し、土地売却を急いだが民間企業の応札がない。入札会場は閑古鳥、手元現金がなくなり、地方からの出稼ぎは現場を去った。
 恒大集団、世茂集団のデフォルトがいみじくも、不動産業界のおかれた立場を雄弁に物語っている。民間企業が主だから、解雇されても社会問題化しないうえ、マンションを購入しても引き渡しのない人たちの抗議活動も潰された。

 コロナ禍報道の影に隠れたが、地方政府は公務員の給与を下げた。ボーナスはでない。悲鳴があがる。

 3月以降、深センでは教師らがボーナスを60%削減され、一部は給与がいきなり削減された。厦門や蘇州などでは、手当や補助金取り消された。基本給も20~30%カットされ、中国の有力な経済誌『財訊』は特集を組んだ。


 ▲学校の先生たちもボーナスなし給与カット、遅配に抗議デモ

 6月中旬、山東省煙台市の教師たちが抗議集会とデモを展開した。
「過去2年間のボーナスが支払われていない。減らされた給与を返せ」と訴えた。同様に給与削減は広東省浙江省江蘇省などの公務員に見られ、マイカーも不動産投資も話題からは消えている。子供たちの大學授業料も払えない。海外留学?とんでもないということだろう。
 ただし、現時点で地方自治体は賃金を引き下げたが解雇を避けてきた。今後は大量解雇の状況になる。

 不動産バブルは史上空前の規模で潰えた。1929年の大不況どころではない。その悪政の予兆が随所に出始めた。

 当局は深刻な状況をひた隠すが、幽霊マンションが中国全土にあり建設現場ではクレーンが動いて居らず、労働者が消えているから、おかしいというより、異様な状況におちいっている実態はサルでも分かる。

 2022年上半期に土地取引量は前年比50%以上減少した。商業用住宅の販売面積は前年比23.6%減少、住宅販売面積は34.5%減少した。
 これにともなって国土税と固定資産税のうち、付加価値税は前年同期から28.1%減少土地付加価値税は同9.4%減となった。

 すでに物件の値下げが始まっているが、当局が「15%以上の値引きをするな」としたため、物件が動いていない。
不動産会社の倒産は連鎖で地方の中小銀行を倒産させる。
そのうえ地方自治体は債務を隠蔽している。つまり中国は金融危機に直面しているのだ。
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