パルデンの会

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アップルの中国撤退、インドへ工場移転はどこまで本気か

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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)10月5日(水曜日)
         通巻第7483号
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 アップルの中国撤退、インドへ工場移転はどこまで本気か
  牽引しているのは台湾の鴻海精密工業、チェンナイで生産開始
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 ロシアのウクライナ侵攻をうけて真っ先にロシア撤退を決めたのはアップルだった。そのロシア市場の隙間を埋めたのは中国のファーウェイ、小米、オッポなどだった。
 ロシア撤退は政治的理由が歴然としている。

 アップルは表だって表明してはいないが、中国からの撤退も実行中で、2025年にはiフォン生産の5%をインドへ移転するほか、ベトナムでiパッドと時計の生産工場をまもなく開始する。

 アップルは2021年第4四半期に中国で5000万台を出荷した。首位だったファーウェイは五位以下に転落し、アップルを追うのはサムソン、小米、オッポなど。アップルは世界売り上げの24%を中国で稼ぎ出していたが、22年第一四半期は990万台に激減した。コロナが原因である。くわえて半導体不足という異常事態が加わった

 中国と対決姿勢を強め、制裁を強化しているバイデン政権の中国政策がもろに影響していると考えがちだが、じつは理由は異なる。 
 第一に上海都市封鎖がニケ月に亘り、サプライチェーンが寸断されて、生産体制が頓挫したことだ。
 iフォンの下請け企業はおよそ200社、上海の西、昆山工業団地に駐中している。台湾の大手だけでも16社、日本企業はその隣の蘇州に集中している。

 それまでは米国から生産の管理監査要員が、「毎日」五十名、ユナイテッド航空のビジネスクラスで往復していた。コロナでヴィザ発給が停まり、中国人スタッフの代替にも限度があった。

 第二に、事実上アップルを組み立てているのは台湾企業である。鴻海精密工業(フォックスコム)、緯創資通(ウィストロン)、和埠総合科技(ペカトロン)などが、中国の台湾虐め、台湾侵略シナリオに基づく軍事演習などで、すっかり嫌気をさして、中国からベトナム、印度へと移転を加速化させた。

 第三に世界的な半導体不足、半導体製造の抜本的な世界戦略の立て直しが必要とされ、この欧米の動きに敏感に反応し、適応しているのがインド、台湾、おくればせ韓国、さらに周回遅れの日本という構図になる。

 鴻海はいち早くインドのチェンマイに進出し、すでに九月には計画を半年も前倒しでiフォンの生産を開始した。同社はまたモディ首相の出身地グジャラートへも進出し、現地企業と合弁で半導体製造工場を建設している。

 インドは台湾と伍せるような半導体ハブを狙っている。
台湾、韓国、インド、ベトナムの迅速な適応力は強かである。彼らの最終的な市場目標は欧米である。したがって中国工場は中国国内の需要をみたす必要があって、完全撤退というわけにもいかないというディレンマがある。

 □☆み□☆☆□や☆□☆□ざ☆□☆□き☆□☆□