パルデンの会

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エヌビディア 中国向け半導体製造装置の輸出が不許可。株式下落

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 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024)1月7日(日曜日)
        通巻第8083号   
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 昨年のウォール街上場で新記録8兆円はエヌビディア
中国向け半導体製造装置の輸出が不許可。株式下落
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 2023年10月にエヌビディアは高度AI用半導体の中国向け輸出規制について、対象となるのはAI用半導体「A800」と「H800」が含まれるとしていた。米商務省の新規制ではゲーム用半導体「RTX4090」も禁輸対象となった。

 11月にエヌビディアは「AI用半導体は商業向けであり、中国にAI用半導体を販売することは合法、販売する予定である」と楽観的だった。
これらのAI用半導体は中国のアリババ、TikTokの親会社バイトダンス、百度バイドゥ)などが、すでに2024年分として50億ドルを発注していた。この大商いが政治の風圧で飛ばされた

 エヌビディアは、「画像処理半導体GPU)を使用した先端AIコンピューティングシステムが不許可となったため、他の顧客に振り向ける必要があるのだが、(バイデン政権の政策により)米国産業の競争機会を永久に奪われる。将来の悪影響は避けられない」と不満を表明した。

 米商務省は輸出不許可理由を「当該品は最も洗練された、最も処理能力の高い半導体だからだ。こうした最先端の半導体を輸出してしまうと中国は最先端モデルの訓練が可能になる」との懸念を表明した。

 一方、米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は12月6日に人工知能(AI)向けのアクセラレーター新製品(MI300)を発表した。エヌビディアが席巻していた市場にライバル製品の登場となった。CEOのリサ・スー女史(彼女は台湾人)は「A半導体業界は今後4年間で4000億ドルを超える」と大胆な予想を展開した。
MI300の採用を予定しているのはマイクロソフトやオラクル、メタ・プラットフォームズが含まれる。

余談だが、人工知能(AI)と「人間の知能」とが「偶会」した。AMDのリサ・スーはシリコンバレーで伝説化した才女だが、日本の将棋のチャンピオン藤井聡太がスー女史との会見を望んでいた。
「?」。じつは藤井叡王AMDの新型パソコンを自作し、「AI将棋ソフト」によって勝負局面の解析や対局シミュレーションを行ない、勝負能力強化を図ってきたのだ。AMD製品の活用で次々とタイトルに挑戦し続けてきたわけで、2022年にはAMDのブランド広告に藤井が起用された。スー女史は来日時に、藤井の誕生日に合わせて会談を設定した。

▼なぜアメリカは台湾半導体企業を警戒するのか

日本でも波乱の一幕があった。西村産業相は「エヌビディアCEOの黄仁勲(「ジェンスン・フアン=台湾人)から、日本における研究開発拠点の設置の意向が示された」と記者会見で披露した。大規模言語モデルに加えて、ロボティクスの分野でエヌビディアはモデル開発に期待しているという。
エヌビディアが日本と組みたいのはスパコンなど日本が優位を誇る技術との連携で、とくに産業技術総合研究所との連携強化に狙いがある。産総研はエヌビディアからGPU(画像処理半導体)の供給を受けてきた。

 米大手のインテルやマイクロンはバイデン政権の意向に逆らって中国国内で半導体生産を継続している。そのうえラボを設営しており、米商務省の規制には反対の声をあげてきた。
 またTSMCはアリゾナ州に進出するものの、次世代AIは、「台湾で製造する」と言明しており、エヌビディアも先端ラボは台湾で設立するなどの動きをみせている。これらの動きは米国の神経を逆撫でしている。

 懸念する理由ははっきりしている。
 第一にハイテク情報、とくに台湾から中国へ最先端技術の機密漏洩が連続していること。中国のSMICはそもそも台湾TSMCにいた台湾人エンジニア数百人が大陸に渡って仕上げたのだ。

 第二に台湾軍人の軍事機密漏洩がつぎつぎの明るみに出たことだ。
中国は台湾総統選挙に向けてスパイ気球を1月6日までに17個も飛翔させ、武威、威嚇をしめしつつ、裏面では破壊工作に余念が無い。米国は台湾軍高官等の機密売買の実態を把握しており、このため高性能武器の台湾供与を遅らせてきた。

 第三にファーウェイのL540ノートブックがSMIC製造の半導体使用ではなく、TSMCの5ナノ半導体「Kirin 9006Cプロセッサ」だったことがカナダの研究所のモデル解体解析調査で判明した。
 ただしファーウェイのスマートフォン「Mate 60」は、中国製の7ナノ相当の半導体だった。これらは台湾人エンジニアが協力し、中国の技術的独立推進に貢献していた。

 第四に中国に工場を持つ台湾企業の従業員らの心理と背信である。また眼に見えないスパイ工作が台湾で進んでいることも米国に疑念を抱かせる。
 台湾当局は5日、暗号資産を利用して中国から資金提供を受け、選挙活動を行っていた女性候補を反浸透法違反容疑で拘束した。この女性候補は桃園から立候補した馬治薇。彼女は23年に中国の対台湾工作部門の人物から選挙に立候補して選挙関連の情報を渡す見返りに暗号通貨などで470万円を受け取った。
馬は台湾民衆党からの立候補を目論んだものの中国との関係に問題があるとして、同党は推薦せず、無所属での出馬となっていた。

 ▼中国SMICが大量生産に突入する

 2024年の世界の半導体市場を展望すると、6%以上の成長が見込まれている。とくに中国の飛躍が予測されている。
現在も世界の半導体の30%は中国が買っている。

半導体生産は80%がアジア、それも中国、台湾、韓国、日本に集中している。米国の生産は世界の10%、欧州は9%。だから欧米の焦りは並大抵ではなく、WTOが規制する政府補助金をつけて、半導体企業の誘致に余念が無い。ドイツも99億ユーロを補助して半導体企業の誘致をきめた。

 インテルはインドとイスラエル、とくに後者には250億ドルを投資し、イスラエル政府は32億ドルの補助金支出をきめた。
 TSMCはアリゾナに新工場を建設中だが、建設労働者不足と労組の反対運動のため、工期が大幅に遅れている。日本のラピダスは千歳で工場建設は予定通り、TSMCの熊本工場も建設は順調という

 中国のSMICは24年度中に新工場を42ヶ所つくると豪語している。SMICは汎用28ナノ半導体の大量生産をはかり、EVならびにAI向けとする。

 業界がおそれるのは、いきなりの大量生産により中国のダンピング攻勢で世界の半導体市場が攪乱されかねない懼れである。
なぜなら中国は国内消費者に中国製を買えとキャンペーンを張るうえに補助金をつけるからだ。

風力発電太陽光パネル、そして現在のEV自動車の世界への殴り込み、その遣り方、その世界市場独占への道のりを考察すれば、中国の次の一手がみえてくる。

     ◎○☆み□☆☆□や☆◎☆□ざ☆□△◎き◎□☆◎